世界征服を剣のみで行おうとする猛者が降臨しました。
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第一話
前書き
これからよろしくお願いしますッ
死にました。その後蘇りました。詳細はこれです。
ーー俺はいつもの様に高校へ登校、いつもの様に授業を聞き流し、いつもの様に学食を平らげ、いつもの様に下校した。家に帰ると誰も居なかったからアイスミルクティーを買おうとコンビニまで出掛けようとマンションのエレベーターに乗った所、その中で意識を失い、暗黒に染まった暗闇の世界で、あの男に出会った。
その男の話が本当だとすれば、これもまた美味しい話なのだが、どうも信じれそうに無い。
この男はマキと言うらしい。マキは地球ではない別世界に住んでると言う。そっちの世界では魔法や魔物があったりするらしい。マキは別世界と地球を行き来する道具を極秘で手に入れ、それを使用した。するとワープ先は確かに地球だったが、事故があり、不時着したが、そこに俺が居て、止む無く俺を殺す、という事になってしまった。
意識が戻った後マキは、命が半分半分だとか何とか。言い訳も甚だしい。
ーー「……ッ!」
ここは何処だ……。……これはまさか、アイツの言ってた別世界か。本当にあったのか。周りは木々に囲まれている。時間は分からないが、昼である事は確かだ。
「お?」
目の前に焦点を合わせると、土の地面に突き刺さっている。
「じゃあ取れって事だなこれは」
剣を抜き取ると、途端に俺の頭の中に何かが過る。
まるで頭の中を何かが走り抜けた様な感覚。
「半分は俺って行ったろ?」
「……だ、誰?」
「マキだよ」
勿論そこにマキは居ない。と言うかマキの容姿を知らない。
「何処に居る?」
「何処にも居ないぜ。今は霊みたいな姿だから見えないんだろ」
「へえ。で俺剣なんか持っちゃって何すんだ?」
「好きな事しろよ。取り敢えず夜まで待ってモンスターとでも戦ってみたらいいんじゃない」
「ぜっっっっっったいにボコボコにされるだろ」
「良いから待て!」
身体に何かを制御されている気がする。やはり半分半分とはこのことか。
俺の予想からしてマキはこの剣だ。俺がこの剣を持っている限り、マキは俺の中で生き続ける。逆に俺が剣を手放してしまえばマキはこの世から消えちまう。
ーー段々と日が沈んで行く。森の中と言えども夕日は覗けている。
「何だ?」
何処かに気配がする。マキでは無い。後ろ、いや木に隠れているのか?
「上かよ!」
鬱蒼と葉が生える木の上から何かが降って来る。マキが何か情報とかを教えてくれるかと思ったが全く音沙汰無い。結局身体を動かせる人がやらなければいけないと。
目の前に見えるのはヒト型の魔物で、背丈は俺より低め。因みに俺の身長は170センチ程度。
やるしか無いか。相手は槍を持っているが、まずは槍で攻撃出来ない様にしたい。取り敢えず距離を置き、相手が来るのを待つ。こんなに冷静で居られるのは初めてかも知れない。
しばらく待っていると、ヒト型魔物は指を動かすジェスチャーをした。俺を挑発しているのか、それとも仲間を呼んでいるか。
結果は後者。更に近い位置に四体程ヒト型魔物が降って来た。群れてるのかコイツら。
「ハッ!」
正当防衛です。飛掛かって来たから横に剣を振ったらヒト型魔物が青い液体を出しながら倒れて死にましたがこれは正当防衛です。
「グオォォォぉ!」
「来んな変態ヒト型魔物!」
飛掛かって来るのが必殺技ですか。ならこっちは飛掛かって来た物を斬るのが必殺技です。とでも言うかの様に華麗にヒト型魔物を斬り続ける。
ーー結局一体残らず倒してしまった。要した時間、約2分。青い液体も地面に吸い込まれる様に消えた。
「おう、よく頑張ったな」
「お前俺を見捨てたな!」
「人聞きが悪いな。見学してたんだぞ。それにしてもそこそこな腕前だったな。何てったって俺の能力だからな。身体はお前が占領しているらしいが、半分、つまり神経なんかは俺そのままなんだ」
「ほうほう」
「それ使って悪用……すんなよ?」
俺が悪用をするかの様な顔だったらしい。
「へへへへへ」
「話の前に、前方のゴブリンを退治した方が良さそうだぞ」
マキは一体何処から見ているのか。前方にはさっきのヒト型魔物だ。ゴブリンと言うらしい。
「片付けるッ!」
さっきの様に仲間を呼ぶ前に斬る。瞬く間にゴブリンは飛ばされ、消えてしまった。やはりこの身体は使いやすいし、とても快適だ。悪用にはもってこいだな。
「よし、この世界を俺の物にしてやろう」
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