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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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-機械戦士-

 
前書き
注意事項が幾つかあります。
1、この小説は作者の自己満足の処女作です。
2、作者は文才、デュエルタクティクス共々皆無です。
3、元々回らないデッキを使ってるのでかなりのご都合主義です。

それでも良いという心の広い方、お入り下さい。 

 
 ――デュエルアカデミア。次世代のデュエリストを育成するために作られた、デュエルの専門高校である。その実技テストがここ、海馬ランドで開かれようとしていた。

(ってところだな。ナレーションは)

 ……俺の名前は黒崎遊矢。デュエルアカデミアを受けに来た受験生の一人で、筆記テストの順位は二番だった。

「それデーはこれよーり、入学テストの実技を始めるノーネ!」

 変なイントネーションで喋る白い外人の先生の挨拶が終わり、120番から5人ずつ、実技テストが始まっていった。

 スタジアムの上にある観客席で、多くの生徒は自分のデッキを確認していたり、俺を含めてぼーっと下の奴のデュエルを眺めていた。そんな時。

「デッキの再確認もしないとは、余裕なのかい、二番くん?」

 横から他の受験生に話しかけられた。白い服に身を包んだその男は、二番である俺の隣にいるということは、必然的にこの受験生のトップに存在する人間であるということだ。

「俺の名前は二番なんて番号じゃない。黒崎遊矢だ。お前の名前は?」

「おっと、すまない。自己紹介が遅れたな。俺の名前は三沢。三沢大地だ。よろしく」

 その一番の男は三沢大地と名乗りながら、お互いに頑張ろうという意味か手を出して来たので、とりあえず握手をしておいた。

「ところで、さっきの話だが、君は何故自分のデッキを再確認しないんだ?」

「そりゃあもちろん、決まってる。俺は自分のデッキの仲間を信じているからな」

 それを聞いた三沢は一瞬驚いたものの、すぐにその顔は笑みに変わっていた。

「驚いたな。クールそうに見えて、なかなか熱い奴じゃないか」

「そ、そうか?」

 俺のその反応が面白かったのか、三沢が失礼にも声をあげて笑う。外見でクールだと思われることはたまにあるが、そこまで笑われるとは心外だ。

「お前こそ」

「ん?」

「お前こそ何で、デッキを一回しか確認しないんだ?」

 我ながら小さいことをしたものだが、そのまま反撃とばかりに受けた質問を返してみると――

「俺は自分のデッキを信じているからな」

 ――と、ほとんど同じ答えが返って来た。三沢大地……こいつとは仲良くなれそうだ。それから三沢と雑談している内に受験は進んでいき、五番から一番。つまり、俺たちの番がやってきた。

「お互い頑張ろう、黒崎」

「黒崎じゃなく、遊矢って呼んでくれ。俺は名前の方が好きなんだ」

「……分かったよ、遊矢。お互い頑張ろう」

「ああ」

 ……しかしそんな三沢との会話に反して、デュエル場に着いて見れば、試験官の先生達数人の様子がおかしかった。

「どうかしたんですか?」

 名前を呼ばれてからデュエル場へと行く決まりだったが、気になったので近くの先生に聞いて見ると。

「いやあ、なんだがデュエル場の機械の調子が悪くてね。すまないが、直るまで待ってくれないか。」

「でしたら、俺が見てみましょうか? 機械には詳しいんです」

 先生方は少し考えたものの、門外漢な自分達が見るよりも、わざわざ言って来た俺に見せた方が良いと思ったのか、意外とあっさりとデュエル場を見ることを許してくれた。

 ……そしてそんな様子を、もう合格が決まった彼女、天上院明日香は見ていた。

 明日香は、新入生の実技テストを見に来ていた。だが、今年の一年生のレベルはあまり高いとは言えず、亮の弟というのも期待したほど強くなく、オシリス・レッドでギリギリだろう。退屈なのでそろそろ帰ろうかと思ったけど、一応最後まで見ることにした。

「モンスターで直接攻撃!」

「ぐあああああ!!」
 新入生のトップ、三沢大地のデュエルが終了する。流石はトップというべきか、彼のデュエルは一見してレベルが高い。

「流石は新入生のトップ、三沢大地だな」

「ええ…あそこが、最後のデュエルのようね」

 デュエル場の不具合で遅れていた場所だ。そこに立つ生徒…二番、黒崎遊矢。髪の色は漆黒のショートカット……顔立ちはまあまあ。そんな生徒、黒崎遊矢のデュエルが始まった。

「これより実技テストを始める。勝敗は結果に関係が無いから、落ち着いて、いつも通りのデュエルをするんだ」

 サングラスをかけ、青い服を着た先生が遊矢に向かって言う。遂に迎えたアカデミアの実技テストに、俺は一息深呼吸を入れた。

「はい。分かりました」

「「デュエル!」」

「先行は君に譲ろう」

「どうも。俺のターン、ドロー!」

 先攻を譲られた俺がまずはドローする。集まった六枚のカードを吟味しながら、まずはモンスターをデュエルディスクにセットする。

「よし、頼むぜ…俺は《マックス・ウォリアー》を攻撃表示で召喚!」

 三つ叉の槍を持った機械戦士が現れる。その瞬間、会場からどよめきが走った。

(やっぱりか…)

 この会場のざわめきは遊矢が予測していた通りの状態だ。

「え~と、君」

 聞きづらそうにしながらも、試験官の先生が遊矢に尋ねだした。自分の予想が外れていることを祈りながら。

「まさかと思うが、君のデッキは…」

「お察しの通り、ウォリアーと名の付いた戦士族中心の、【機械戦士】デッキです」

 その遊矢の一言によって会場のざわめきが更に大きくなる。受験を終えて見学していた受験生だけでなく、先生や上級生からも例外なく。
 ――おい、確か【機械戦士デッキ】って……

 ――ああ。噂のデュエルモンスターズ最弱のテーマデッキだ。

 ――え、あのデメリットカードしか入って無いって奴?

 ――何考えてるんだあいつ?

 そしてその波紋は一般生徒だけでなく明日香と亮も襲いかかっており、驚きながら会場の《マックス・ウォリアー》を見ていた。

「まさか、あのデッキを使ってる者がいるとはな」

「ええ。それも入学テストに。舐めてるのかしら?」

 生徒達が言っていることは、大体真実である。ほぼ全てのカードが、低レベル・弱小・デメリットカードという三重苦を抱えているため、デュエリストの間では、『デュエルモンスターズ最弱デッキ』と呼ばれている……それが【機械戦士】というデッキなのだ。

「君は一体、何を考えているんだね?」 対戦相手の先生も苦笑いである。その言葉に――遊矢はというと。

「うるせぇぇぇぇッ!!」

 叫んだ。力の限り、自らのデッキが馬鹿にされたと分かった瞬間、ほぼ反射的に。

「人のデッキにケチつけるのが、そんなに楽しいかお前ら……デュエルは勝ち負けじゃない。大事なのはデュエルしてて楽しいか楽しくないかだ! 俺はこいつらと一緒に戦えて楽しい! だから使っているんだ、他人にとやかく言う権利はない!」

 遊矢が突如として発した叫びに、会場は反応が追いつかずに先程とは逆に沈まり返っていた。……その沈黙を破ったのは。

「良いぞ~二番! もっと言ってやれー!」

 さっきまでいた受験生の中には見覚えのない、茶髪に黒い服の男子生徒だった。近くには三沢もいて苦笑いを浮かべている。……ああ、もっと言ってやろうじゃないか。

「それに、勝った方が楽しいからな。負ける気はないぜ。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
 
 ターンが回って来た相手の先生は真剣な表情を崩さず、静かに自分のデッキへと手を添えた。

「これも先生の務めだ。いつまでもファンデッキが通用しないことを君に教えてやる!」

「さあ、来いよ先生」

 ――楽しんで勝たせてもらうぜ!
 
 

 
後書き
まさかの入学テストが一回で終わらない斬新なラスト。…すいません。長くなりそうだったんです。感想・アドバイス待ってます。 
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