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銀色の魔法少女

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第二話 出会い

 
前書き
どうも
そろそろバイトしないとまずいな、と思い始めているやややです!
今回からやっとなのはの世界に突入です。
エアコンなしの暑さに負けなければ毎日更新する気概で行きたいです。
では、本編へどうぞ! 

 
side ???
 
 ふ、ふふ、ふふふ!

 遂に! 遂にやって来た!

 前世ではモテなかった俺が、リリカルなのはの世界に転生できた!

 これはもうハーレムを作れと神は言っているに違いない!

 まあ、本人に言ったら引かれたけど

 今の俺の年齢は五歳、まさか幼児から人生をやり直すハメになるとは思っても見なかったが、まあそれはもういい!

 遂にこの時がやってきたのだ!

 なのは五歳時に起こるこのイベント。

 公園にひとりでいるなのはにこの俺の好印象を植え付ければきっと俺にメロメロ(死語)になるに違いない。

 そう思って俺は公園で待機していると彼女がやって来た!



side なのは

 それは突然だったの。

 公園でひとりでいると急に変な子供がやってきて、私に話しかけてきた。

 けれど、何言っているのかよく分からないし、勝手に頭を撫でようとしてきてとても嫌だった。

 そんな時、その子の後ろから変な音がしたの。

 というか、その音がしたと同じくらいの速さでその子が横に倒れたの。

 衝撃的だった。

 あの子が倒れたのもそうだったけど、それ以上にこの子の姿に驚いたの。

 透き通るような白い肌。

 宝石のようにきらめく緑色の瞳。

 とても綺麗な男の子が目の前にいたの。

 

side 戦場 遼

 買い物帰りに嫌なものを見てしまった。私はそう思った。

 ふと、気まぐれにいつもとは違う道を通って見たのだけれど、公園の前を通りかかった所でそいつが目に入った。

 赤い髪の少年が同じくらいの歳の少女に詰め寄っていた。

 まったく、この歳からナンパとは嫌な子供だ。

 …………まあ、多分私と同じくらいの歳なんだろうけど。

 取り敢えず、イラついたのであいつをぶん殴ることにした。

 

side 紅生 刃

 なんだこいつは! いきなり俺をぶん殴りやがって!

 せっかくの俺の計画にいきなり邪魔物がやって来やがった。

 多分恐くだが、こいつはモブキャラだろう。しかも男。

 他の転生者に会ったこともあるが、こいつにはその違和感がない。

 『自分はこの世界の人間ではない』

 これは転生者全員に当てはまる認識だ。

 だからこそ、俺たちは互いにその違和感を感じることができる。

 言葉には表せないけれど、転生者は全員その違和感を纏っている。

 だが、こいつにはそれを全く感じない。

 こいつは間違いなくこの世界のモブキャラだ。

 なら! 主人公である俺の邪魔をしていいはずがない!



side ALL

「お前! いきなり何しやがる!」

 そう言うと刃は遼に掴みかかる。

 遼は抵抗せず、ただ彼の瞳を睨みつける。

「この子、嫌がってる……」

 それで十分とばかりに遼はこれ以上何も言わない。

 その全てを見通すようなその瞳に気圧され、彼は思わずその手を離す。

 彼女は自由になると右手で胸元を正す。

 その様子をただ見ていた刃だったが、ふと我に返ると遼に向けて殴りかかった。

(こんなガキ相手に俺の能力を使うまでもないな、この体の基本性能なら誰にも負けるはずがない)

 そう思っていた。

 遼は左手に持っていた買い物袋からみかんを取り出すと、そのまま握りつぶした。

「う、おおおおおおおおおおおおお! 目が! 目がああああああああああああああ!」

 飛び散ったみかんの汁が刃の目にうまく入ったようで、彼は目を押さえて地面を転がる。

「今日のおやつ…………」

 遼は無残に握りつぶされたみかんを残念そうに見つめる。

 これではもう食べても美味しくないだろう。

 精々料理の香り付けぐらいにしか役に立たない。

 そう落ち込んでいると懐かしい黒電話の音が辺に響く。

 遼は右手で携帯電話を取り出そうとして、右手がベタベタなのを思い出して左手で電話にでる。

『ああ、遼、買い物にしては少し遅いですけれど何かあったのですか?』

「ちょっと道に迷っただけ、すぐ帰る……」

『道に迷った! 大丈夫なのですか!? 知らない土地で一人寂しいのではないですか!
待っててください、今位置を特定して救出に――』

「慌てすぎ、後五分以内に帰るから、待ってて……」

 遼はそう言って電話を切ると、走ってその場を後にした。

 なのはの存在を忘れて。


side なのは

 一体彼は誰だったのだろう。

 突然現れてはこちらに目もくれず、そのまま走り去っていった彼。

 次に会った時はちゃんとお礼を言おう。

 ちゃんと名前を聞こう。

 きっと、きっと、彼とはお友達になれると感じたから。

 …………それはそうとそこで苦しんでいるあの子には関わりたくなかったので、急いで家に帰ることにしたの。

side 遼

「ただいま」

 扉を閉め鍵をかけると、台所から走ってくる足音が聞こえる。

「遼! 遼なのですね! ああ待ちわびましたよ遼! 変なの人に声かけられたりしてませんか? どこか怪我していませんか? 変装は完璧ですがそれでも遼の美貌は――」

「クリム、苦しい……」

 急に抱きつかれて、彼女の胸に埋もれる私。

 これが男の子なら喜ぶべき状況なのだけれど、生憎私は女の子、少し羨ましいとは思うけれど、欲情はしない。

「ああ、すいません遼! 私としたことがつい」

 彼女の胸から解放され、ようやく彼女の姿が目に入る。

 クリーム色の髪に、炎より赤い瞳。

 幻想的な戦乙女を連想させられるその容姿は街ゆく人々を魅了するだろう。

 ただ普段の彼女はあまり外に出たがらないため、彼女を知る人はあまりいない。

「大丈夫、それよりお腹すいた……」

 彼女の頭を優しく撫でる。もちろん左手で。

「はい、じゃあ荷物は私が持ちますから、遼は手洗いとうがいをしてきてください」

「うん……」

 私はクリムに荷物を預けると洗面所へと歩いて行った。



side クリム

「ああ、遼、今日も元気そう」

 彼女は今日も何事もなく、実に美しい。

 彼女の美貌は去年から着実に進化している。



 私が、彼女の両親を殺した、あの頃から。





side ???

 悔やんでも悔やみきれない過去の記憶。

 紅蓮の炎が周囲を包む。

 辺に響くのは無数の悲鳴と怨嗟の声。

 ある者はその炎に全身を焼かれ、

 ある者は瓦礫に潰され、

 ある者は心を病み、自ら命を絶つ。

 この世の地獄が顕現していた。

 その地獄の中心に泣き叫ぶ少女の姿があった。

 また、やってしまった。

 そう彼女は何度も何度も自らの命を絶とうとするも、その身に刻まれたプログラムがそれを許さない。

 その刃を喉に突き刺そうとしても、彼女を包む無色の鎧がそれを阻む。

 そんな時だった。

 彼女の視界の端に動く者がいた。

 それは少女だった。

 彼女の側に横わたっているのは恐く彼女の両親だろう。

 瓦礫の破片がその身に深く突き刺さり、既に絶命している。

 彼らを見下ろす彼女の頬をきらめく涙が流れ落ちる。

 彼らに向けて何か話しかけたようだったが、爆音と悲鳴が邪魔で聞き取ることができない。

 彼女は辺りを見渡す。

 するとこちらに気がついたようで、近づいてくる。

「来ないで!!」

 私は精一杯、拒絶の意志を彼女に叩きつける。

 同時に、私の周りを紅蓮の炎が包む。

 これは私の意思とは関係なく、私に近づく者全てを焼き尽くす。

 この地獄もこの炎が原因だ。

 こんな力があるから、私は何度も何度も殺してしまう。

 だから、せめて彼女だけでも、生き残って欲しかった。

 なのに、



 彼女はその炎を突き抜けて来た。



 彼女の体のあちこちに炎が燃え移り、その身を焦がしている。

 なんで! どうして!

 私は訳が分からなかった。

 逃げれば良かったのに、そのまま助けを求めてどこかに行けば良かったのに。

 彼女は私の所にやって来た。

「だいじょうぶ? どこかいたいの?」

 彼女はそう言って私の手を握る。

 ああ、あああ、ああなんて、なんてすごい子。

 こんな小さい子に、私の悲しみはきっと分かっていない。

 けど、私が悲しんでいると感じたこの子はそれだけの理由で炎を乗り越えた。

 なんて優しい子。

 この子なら、この子なら大丈夫かもしれない。

 恐れを知らないこの子なら、私のマスターに相応しい。

「うん、大丈夫、私は怪我してないよ」

 よかった、そう呟くと彼女は力なく倒れる。

 私はそれを慌てて受け止める。

 無理もない、こんな小さい子が今生き残っていることこそが奇跡なのだ。

 むしろ、今までよく意識を保っていたと言える。

「マスター認証、開始」

 彼女の唇に私の唇を重ねる。

 これはマスターの意識がない時用の緊急措置。

 目が覚めたら正式に契約する必要がある。

 けど、そんなことはどうでもいい。

 今は目の前の少女を助けたかった。






                そうして奇跡は起きた。 
 

 
後書き
はい、もうお分かりでしょうけど
この戦場 遼が転生後の主人公です。
読み方は後で設定に追加しておきますけども、
(いくさば はるか)と読みます。

今回の遼の容姿ですが、帽子をかぶり、ズボンを履いているため、みんな男と勘違いしています。

、、、、、関係ないけれど、今日の三時半ふと温度計を見ると36.3℃
見なきゃよかった 
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