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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)

作者:BK201
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エピローグ アーネンエルベの夜に

 
前書き
今更な、おまけエピローグその一。その二は何時書くかも未定。とりあえず、書くとか言って書かない詐欺はしちゃいけないと思ったので投稿。後書きの時よりも蛇足感半端ないので、そう言ったことを望まない方はこっそり戻るボタンを押してください。 

 
シトシトとドイツのベルリン雨が降る中で傘を差し、夜となって雨足が強まっている最中、一人の男性が通りがかった喫茶店に入る。

「いらっしゃいませ」

アーネンエルベという名前のバーとも喫茶店とも判別がつかないような店。位置取りは寂れているが、中々に雰囲気は良いものだと男は思う。

「いい出会いがありそうな気がしてね、ちょっと居座っていいかい?」

冗談めかしたように入ってきた客の男性がそういう。店で接客をしてるであろう女性は眉を顰めるがチップを多めに差出、見逃してもらうことにし、それと一緒に注文を取る。

「リンツァートルテと―――フリースラントの紅茶を」

何となく、甘いものも紅茶も言うほど好きではないが何かに惹かれるようにそれを頼んだ。しばらくして紅茶とお菓子を楽しみ席についていると、ドアの鐘の音を鳴らしながら新たに客が一人、入ってくる。

「相席、構わないかね?」

「―――どうぞ」

雨で客足が遠のいており、明らかに空席が目立つにもかかわらず、目の前の客は相席を所望した。予感がしていた。だがそれでも、珍しいこともあるものだとは思う。これも女神の寵愛か。そう思いながら彼らは互いに出会いを得た。

「久しいな。そして初めましてだ。メルクリウス」

「こちらこそ、というべきかね?アグレド」

雨は未だに止む気配を見せなかった。




******




メルクリウスとアグレド。旧知であり初対面の二人は共に相席しながらもしばらくは言葉を発さなかった。メルクリウスが頼んだ紅茶が半分くらいまで減り、冷め始めたころ彼は口を開く。

「まさか、君がここに来ているとは思わなかったよ。まだ、私に隠し事をしているのかね?」

ここ、とはアーネンエルベのことを指しているわけではない。この世界に、という意味でだった。アグレドのいる場所は座の影響こそ受けるが、それとは関係なしに彼を閉じ込める檻なのだ。にも拘らず、彼がその檻から出ている。状況次第では一大事と言えよう。
そして、それが万が一、彼の信奉する女神に危害が及びうるものであれば彼はこの場で全力を開放することすら厭わないと、そう暗に仄めかす。

「いいや、別に何の理由もない。ただ単に偶然が重なっただけだ。偶々、偶像なりうる存在がいて、外に出ることを許されて、ここでお茶を飲もうと思っただけだ。総ては意図してやったことではない。偶然が重なりあった結果だよ」

或いはそうなるように仕組んだか。彼の思惑を読み切ることは、座から離れた彼には出来ないし、しようとも思わない。何故なら彼らは彼らなりの信頼を築き上げているのだから。
こと、彼らに限っては互いの詐称を知るが故に互いを信じている節もある。友であり、同種であるからこそ彼らは共に信じている。

「《死》や《罪》はどうした?あれは己の束縛から逃れえたのか?」

別段、興味があるわけではないが他に話す事が少ない彼はそれを尋ねる。

「ああ、彼らは己の道を歩んでいるとも。もうすでにその名は返上されてしまった。特に《罪》などはラインハルトと共に歩んでいるぞ」

「フフフ、それはそれは―――中々に興味深い」

和やか、というには彼らの気配は明らかに怪しいが二人にしてみればこれは世間話なのだろう。

「しかしだ……私の望みは君のその手伝いによって叶ったわけだが、君自身の望みは叶ったのかね?」

単純な疑問。メルクリウスにとって友ともいえるであろう彼が自分の為に総てを投げ売ったのではなかろうかと、彼はそう思っていた為にそれを聞く。それに対する答えは―――

「否、だよ。そもそも前提が間違っている。私は願いを叶える為にいたわけじゃないのだから」

そう答えた。




******



「さて、雨も止んだ。そろそろお暇させてもらおう」

そう言ってアグレドは立ち合がり、支払いを済ませた後にアーネンエルベのドアを開けようとする。だが、それを行おうとしたタイミングと同時に新たな客が入ってきたようだ。自然、それを避け、相手に先に入るように促す。

「ちぃーす、アンナ、パシアス。来てやったぞー」

声は若い。見た目も普通の若者だ。だが、その存在は興味深い。

「いらっしゃい、ロートス君。ほらアンナ、彼が来たわよ」

「ロートス!遅いわよ、来るって約束してたじゃない!」

「悪い、悪い。お詫びに何か奢ってやんよ―――」

その声を発している人物の名はロートス。藤井蓮の核となった存在であり、本来ならばいるはずのない人物。だが、総ての歯車は形を変え、回転を繰り返し、有り方を変えた。故に彼は此処にいる。
そして、その声に応えた相手はチップを渡した少女であるパシアス。彼らはこの新世界での友人なのだろう。

「さようなら、メルクリウス、ロートス・ライヒハート。そして、この世界に住む総ての人々よ。俺は心から君たちの生きる道を祝福するよ」

カランとドアを開け、鈴の音を鳴らしながら彼は雨が止んだベルリンの夜風に吹かれ、アーネンエルベを後にすると同時に、彼は粒子となって消え去った。
 
 

 
後書き
まあ、まずは一番原作と乖離しているメルクリウスとロートスがどうなったのか的なもの。ロートスはアンナといちゃついているようで何より。マッキーはいません。これを最後の生としたいと発言していたので出てくる必要がありません。
喫茶店アーネンエルベ。ベルリンのどこかにあると言われている知る人ぞ知る隠れた名店。決して別時空の吸血鬼やらサーヴァントやら死線が見える目を持つ人やらが来る店ではない!名前の由来はロートスとアンナが所属していた、まさにアーネンエルベそのものから来ている。店員にパシアスがおり、客としてアンナとロートスは来ていた。 
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