問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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自由に散歩
時間はさかのぼり、召喚された四人が湖に落ちたころ、一輝は一人、森の中を歩いていた。
「ふう~。やっぱり森の中はいいよな。木々に囲まれてて、涼しいし。勝手に抜け出して正解だったな!」自由すぎるだろ。何やってんだ。
《別に、ただ落ちていく際に式神を投げて、そいつを俺に化けさせただけだよ?》
だ・か・ら、何でこっちに対して返事を返してんだ!聞こえないはずだろ!!
余談だが、式神が感じた五感は一輝も感じることができるため、湖での会話はリアルタイムで聞こえている。
《ふーん。ギフトゲームね、それは楽しそうだ。でも今は・・・》
一輝は少し開けたところに出ると周りを見回しながら一言、
「このすばらしい景色を楽しむとしますか。ざっと三、四時間くらいはのんびりできるだろ。」と言った。この目的のために一輝は式神に命令し、黒ウサギを弄ることになる。
そんなことのために弄るな。
そんな感じに、のんきに歩いていると急に背後から声がかかった。
「ここ、いいところですよね。空気は綺麗ですし、自然はたくさんあります。」
「!?」
一輝は背後を取られたことに驚き、あわてて振り向く。
するとそこには巫女服を着た黒い長髪で、一輝と同い年ぐらいの十五、六歳くらいの少女が立っていた。
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さて、一輝は驚きはしたものの、すぐに落ち着きを取り戻してレジャーシートを敷き、簡単なティーセットを並べると、何をしだしたのかと見ていた少女に「どうぞ座って」と言い、二人で座った。
メニューとしてはパックの紅茶にチーズケーキだ。
「さて、じゃあ自己紹介からでいいかな?」
「はい、どうぞ」
「では、俺は寺西一輝。趣味は読書に散歩にアニメ。今日箱庭に召喚されて、いい景色が見えたから散歩してた。一輝って呼んで。君は?」
「私は六実鳴央といいます。趣味は散歩などです。ここはお気に入りの場所なので結構頻繁に来てます。では、私も鳴央でいいです。」
二人は話しながら食事を始めた。
「じゃあ、質問タイムにしてもいいかな?お茶にお菓子もまだまだあるし。」
「はい、一輝さんからどうぞ。」
「じゃあ一つ目の質問。何であの場で俺に話しかけてきたの?」
「ええっと・・・いつも誰も来てない所に人がいましたので、気になりまして。」
「ここっていつもは人がいないの?こんないいところなのに。」
ここはとてもいい場所なのでそんなにたくさんではないにせよ、人は来ると思っていた一輝はそう聞き返した。
「はい。このあたりには幻獣がいますから。」
「危険だってことか。次はそちらからどうぞ。」
「ではこちらから。一輝さんはもうどこのコミュニティに所属するかは決まっているのですか?」
「いきなりそれをぶっこんで来る?」
「い、いきなりって言うほどのことでしょうか?」
「言うほどのことだろ。普通は目的の質問は最後に来るものでは?」
「ももも、目的って一体何のことですか?心当たりが無いのですが。」
《ごまかしきれてないが・・・まあいっか。どっかで解るだろうし。》
「俺の勘違いならそれでいい。」
「ホッ。」
《隠す気あんのかな・・・》
「まあ、今のところは俺を召喚したやつのいるコミュニティに入る予定だけど。」
「なんていうコミュニティですか?」
「名前は聞いてないけど、黒ウサギってやつがいる。」
「実際にウサ耳の生えてる?」
「そいつ。」
そう答えると鳴央は、
「それは・・・もし、一輝さんが箱庭で有意義な生活をしようと思っているなら、やめておいたほうがいいです。」
と答えた。
「?なんで?あいつはけっこう強そうだし、そのコミュニティも十分に強いと思うんだけど?」
確かに、黒ウサギは何かを隠しているように話しているので、コミュニティについて何かあるとは思うんだが、強さとは関係ないと一輝は踏んでいた。
しかし、鳴央が言ったことは、その想像とはまったく違う真実だった。
「いえ、あのコミュニティはかつてはとても強いコミュニティでしたが、魔王に襲われてしまいとても、強いとはいえません。」
一輝は何があったのかが気になると同時に魔王に対するものすごい興味を抱いていた。
後書き
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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