インフィニットストラトス サタンと契約した憤怒の一夏
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仇
IS学園の地下五十メートルの解析室には織斑千冬、山田真耶そして、更識楯無の三名がいた。
「では、更識。お前が戦った無人機はその時学園に侵入した男が青い炎で倒したのだな?」
「ハイ!右腕だけでしたが、ISを展開し、無人機を一撃で倒しました」
「織斑君の他にも、男性でISを使える人がいることにも、びっくりですが、無人機を一撃で倒す青い炎が不思議ですね!」
山田先生は真剣な顔をして機体全体が溶けてる無人機を見ながらそういった。
「…すまないが、少し一人で考えたいことがある。山田先生と更識は部屋を出てくれないか」
「分かりました」
そう言って、真耶と更識は部屋から出て行き、しばらくして千冬はポケットから一つのお守りを取り出した。
「…一夏…」
それは最愛の弟の形見であり、同時に千冬に自分の罪を見せつける物でもあった。あの日、日本政府は一夏が誘拐されたのをして、あえて、決勝戦が終わるまで私に教えなかった。ドイツ軍の協力もあり一夏が誘拐されている場所を見つけ私は急いで一夏のもとに向かった、しかし、誘拐場所は無人機を燃やしたのと同じ青い炎で燃え盛っていた。炎が消え、中にあった遺体は全て原形をとどめておらず灰になっていた。その場に落ちていた一夏のお守りだけが落ちていた。
(束はIS『サタン』を探しているが見つからず、犯人は分からぬままだったがようやく見つけた)
「…もうすぐだ一夏。必ずお前の仇がとるぞ」
千冬はお守りを強く握りながら、そうつぶやいた。その仇が弟だと知らずに。
IS学園のトーナメントの試合から一週間がすぎ、そろそろ金銭的問題でヤバくなってきたので休業していた仕事を再開しようと思い俺はある小さい店の中に入っていった。
「永良いるか!?」
「お~一夏君。いらっしゃい」
緩い返事でしゃべっているのは情報屋の永良(28)。俺がこの仕事を始めてからよくひいきしている情報屋だ。店の中に俺と同い年位の美人な見慣れない女子もいた。
「…永良…お前とうとう女子に手を出したか」
「ちょっと、何で俺を引いた目で見るの?彼女は、朝川水美ちゃん。ちょっと訳ありでね、仕事を手伝う代わりに家で引き取ったんだ。ほら、水美ちゃんも挨拶して」
「朝川水美です」
「織斑一夏だ」
朝川は生気の無い声で自己紹介をして来たので、俺も自己紹介をした。
「一夏君が何で家にきたのは分かってるよ。ハイこれ」
永良は机の中から一枚の紙を取り出した。そこには鬼のような面をしたおっさんの顔写真があった。
「郷田組組長郷田明。人攫いから、麻薬取引、臓器売買その他諸々色々やってるゲス野郎だよ」
「ヤクザか、確かに金を持ってそうだな」
俺と永良の喋りを横で聞いていた朝川が憎しみの混じった顔で郷田の写真を見ている。
「どうした朝川?そんな顔をして」
「コイツのせいで、私の家族はめちゃくちゃになったんだ!」
朝川は怒り半分悲しみ半分の声で確かな憎しみをしゃべった。
「どうゆうことだ、永良?」
「彼女のご両親は近所の蕎麦屋をやっていてね、郷田のせいで店を潰され、ご両親は心中して残されたこの子は常連だったうちで引き取ったんだ。この整った容姿だ、あのまま放置したらなにされるか分かったもんじゃない」
「コイツさぇいなければ、母さんも父さんも……お願い、コイツを殺して!私には何も出来ないの!」
朝川は俺に涙を流しながら郷田の殺しの依頼をしてきたが、俺は少し、朝川に苛立ちを覚えた。
「…お前は、俺に頼む前に郷田を殺そうと思わなかったのか?」
「えっ?」
「だから、俺に頼む前に郷田を殺そうと思わなかったのかと聞いてるんだ」
「思ったわよ!けど、私は何も無いのよ。人を殺す力も、家族を取り戻す力も…だから私は」
「なら、お前は指を加えて待ってるだけかよ!?誰かが助けてくれると思ってるのかよ?この世の中そんなに甘く無いんだ。誰も助けてくれない、指加えて待ってる奴に何も慈悲は無いんだ!」
俺はまるで昔の自分を見てるみたいでいやになり、大声で朝川を怒った。永良は「ちょっと、一夏君」とうろたいている。
「お前は郷田を殺したくないのか?」
俺は冷静になり朝川に聞いてみた。
「殺したいわよ!」
「なら、手助けする。だから郷田はお前が殺せ!」
「……手伝ってくれるの?」
「ああ。邪魔する奴は俺が消す。俺がお前を全力で守る!」
俺がそう言うと、朝川はなぜか顔が赤くなってしまった。俺はそんなのお構いなしにもう一つ聞いてみた。
「やるのか?やらないのか?」
「やる。私が二人の仇を取る」
朝川は袖で涙をこすり、真剣な顔になった。俺は目的の場所を紙に書いて朝川に渡した。
「なら、この場所に午後10時に来い」
俺はそう言って店を出た。
後書き
オリキャラを二人出しました。変かも知れませんが暖かい目で読んで下さい。
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