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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第四十一話~再会と新しき出会い~

 
前書き

規模の大きい戦闘は書くのが難しいです(^_^;)

今回も文字数多めです。
では本編どうぞm(_ _)m
 

 



ミッドチルダ・地下水路


 ライはギンガを助け、雷光を破壊したフォワード陣に合流する予定であった。しかし、蒼月のセンサーが拾った音によりそれが出来ないでいた。
 蒼月の拾った音はホイール音。そしてそれはスバルやギンガのものとは違い、ナイトメアフレームのものであった。地下の探索がどの程度の時間を要するのかはっきりしない今、雷光と違い小回りのきくナイトメアフレームの排除は優先的にしておきたかった。

「音と音源の移動速度から敵機はグラスゴータイプと予測。数は3機、移動先はこのまま行くとスターズFとライトニングFの方に向かうことになると思われます」

(敵機が破壊された雷光の方ではなくあの4人の方に向かったということは、レリックは4人のいる方にある。だけど………それにしては相手の対応が遅すぎる)

 蒼月からの報告を聞き、ライは内心で自分の考えをまとめていた。
 今までの戦闘では、ナイトメアの実戦投入のタイミングは戦略的にはあまり意味をなさないものが多かった。そしてそれについて、ライはナイトメアの有用性をコンバットプルーフするためのものであると予測をつけていた。
 そして今回の戦闘ではナイトメアが戦闘以外の目的を持った行動をしている。そのことを意識するとライの中では戦場で感じる気持ち悪さを感じた。

(ここまで、順調に行き過ぎている。何を見逃している?僕は何が気になっている?)

 自分の記憶を掘り返しながら、ライは自問する。だがどの推測も予想の域を出ず、確信を持った答えがでないことに内心苛立った。



ミッドチルダ・上空


 ライたちが地下の水路で各々行動している時、ミッドチルダの上空では更なるガジェットの増援が姿を現していた。しかも纏まった部隊ではなく、幾つかの部隊に別れ多方向から接近していた。更に今回の増援は全てが実態というわけではなく、幻影が混じっており対処に向かっているなのはとフェイトの2人はもちろん、ロングアーチの索敵班も混乱させていた。
 事ここに至っては、ライの指示通りにヘリの護衛を続けることもできず2人はヘリから離れてガジェット迎撃に参加していた。しかし多勢に無勢、リミッターを付けている今の2人ではこのまま押し切られることになりそうであった。
 少し前までの2人であったのなら、精神的に乗り切ることも可能であったのかもしれない。しかし2人はライの過去を見ているため、敵の航空戦力が本当にガジェットだけなのか確信が得られず、常にフロートユニットを装備しているナイトメアが現れないかと緊張状態を維持している。その為、2人は精神的に疲弊していた。

「フェイトちゃん、大丈夫?」

 肩で息をしながら、なのはは背中合わせになっている相方に声をかける。

「うん、なんとか。でも――」

「ヴィータちゃんがみんなの所に行ったのは痛いね」

 敵の増援が現れる前、ヴィータがここら一帯のガジェットを破壊し地下のフォワード陣に合流するために離脱していた。
 ヴィータが完全に離れたあとになってから、敵の増援が現れたため今ここになのはとフェイトがいるのだが、敵の増援のタイミングが六課側にとっては最悪のものであった。
 いよいよ、ジリ貧になってきた彼女たちはリミッターの解除を考え始める。しかしそこに1本の通信が入ってきた。

『2人とも、今から大きいの1発かますから気ぃつけてな!』

「はやてちゃん?」

「なんで騎士甲冑?」

 通信用の空中投影ディスプレイに映し出されたのは騎士甲冑を纏い、ライの魔力光と告示した銀の魔法陣の上に立つはやての姿であった。

『ここで2人がリミッターを解除するよりも、私がリミッターの限定解除をしたほうがベターと判断したんや。やから2人はカウントが始まってからヘリの護衛に戻ってな』

 そのはやての言葉に納得した2人はお互いに頷いて見せ、改めてガジェットの方に視線を向けた。



ミッドチルダ・地下水路


 レリックを探索していたフォワード陣たちは、無事にギンガとも合流しレリック入りのケースを発見するまで至っていた。だが、そのケースを回収すると同時に横槍が入る。
 突然の襲撃とケースの強奪。それを成したのはルーテシアとその彼女の使い魔であるガリューであった。更には、アギトも遅れて参戦しケースを取り返すことはできたが、いまだに睨み合いは続いていた。
 硬直状態が続く中で、互いの動きを観察する中で天井から轟音が響き始める。

「でりゃああああああああああああ!!」

 轟音と同時に天井の一部が破壊され、その中からデバイスであるグラーフアイゼンをラケーテンフォルムにして振りかぶるヴィータが姿を見せる。

「ぶっ飛べーーーーーッ!」

 気迫のこもった掛け声と共にヴィータはグラーフアイゼンをガリューに叩きつける。攻撃を受けたガリューはなんとか両腕でその攻撃を受け止めようとしたが、鉄槌の騎士の一撃は伊達ではなかった。
 防御の上からでも伝わる衝撃を感じながら、ガリューは壁に叩きつけられる。
 そして、ガリューが壁に叩きつけられると同時に別方向にあった通路から爆発音と煙が流れ込んできた。
 突然のことにその場にいた皆はその通路の方に視線を向ける。そんな中、ルーテシアとアギトはこれ幸いと逃走の為に転移魔法の準備に入っていた。
 皆の視線が煙に注がれる。その煙の中から幾つかの物体が音を立てて転がってくる。それが鉄の擦れる不快な音を立てながら転がり続け、壁にぶつかりその動きを止める。そこで初めてその場にいた全員がその物体がナイトメアの破片であることに気付いた。
 ルーテシアはその隙に転移魔法を発動させる。タイミング的にもう自分を止めることができないことを確信した彼女は視線を辺りに向けようとして、ある一点で止まった。

「………ライ?………」

 未だに煙が流れてくる通路から、緑の翼を広げ勢いよく飛び出してきたのは自分が再開することを望んだ青年であった。

「ルー?!」

 ライの方もルーテシアの存在に気付いたのか驚きの表情を浮かべて彼女の名前を口にしていた。お互いが望んでいた再開であったが、ルーテシア自身が発動させた転移魔法により、その短すぎる再開は幕を閉じた。



 ライがフォワード陣やルーテシアたちのいる場所にたどり着く少し前、ライは敵ナイトメアと交戦していた。
 自分が合流する前に潰せる敵は潰しておくという方針をライはとっていた。何故なら、水路などの密閉空間はナイトメアにとってのアドバンテージが大きい。そして逆に小隊単位とはいえ、複数人の味方で敵に対応するにはここの通路は狭すぎた。その為、ライは1人での戦闘を選んでいた。その為、ここに来るまでにライは3回程、敵性ナイトメアと交戦していた。
 現在は合流地点が目の前というところで敵月下タイプとの交戦を行っていた。ここに来るまでにライはかなりカートリッジを消費し、エナジーウイングは左右2発ずつ、ヴァリスの方は4発ほどしか残っていなかった。
 月下が守りに徹し、こちらの消耗を増やそうとして来る。ライは渋りながらも自分の手札を一枚切る。

「コンプレッション」

 パラディンを剣からヴァリスに形態移行させ、ライはその銃口を月下に向ける。空薬莢が排出され、甲高い音が辺りに響く。

「カートリッジ、ロード」

 2回目の電子音声。それと同時にエナジーウイングが展開される。自分の体に浮力を感じた瞬間、ライは引き金を引いた。
 パラディンから放たれる超高圧縮された魔力の弾丸が高速で月下に迫る。
 月下はAMFを展開した刀を振ろうとするが、魔力弾の速度の方が月下の反応速度を超えており、月下はその刃を振り遅れる。その結果、魔力弾は月下の装甲を貫き動力炉を破損させ爆発した。
 爆発の際に生まれた煙が狭い通路を埋め尽くし視界を遮るが、ライは構わずその中を飛行し、進んでいく。そして煙から抜けきった時、視界の中で紫の髪をした見知った少女の姿を捉えた。

「ルー?!」

 自分の記憶に該当するその少女の名を思わずライは呟く。だが、次の瞬間には彼女は足元に展開された魔法陣ごとその姿を消す。
 突然の再開であったが、動揺する思考を追いやりその場にいる仲間にライは視線を向けた。
 とにかく、目標であるレリックの入ったケースが手元にある以上、このまま地下にとどまる意味がないためライはその場にいる全員に地上に戻ることを言おうとした。
 だが、視界の端に映ったあるモノが見えた瞬間、ライは驚きながらも駆け出していた。
 ライの視界に映ったのは、偶々皆から少し離れた位置に立っていたギンガの後ろから手に持った槍を投擲しようとするグロースターの姿であった。そのグロースターはライ以外の人からは死角になっている通路にいた。
 ギンガは未だにそれに気づいておらず、いきなり駆け出したライにキョトンとした表情を向けている。その彼女の反応を気にする暇もなく、ライはギンガとグロースターの間に割り込もうとする。
 しかし、グロースターの持つ槍が投擲される方がライが間に割り込むよりも早かった。

「クソッ!」

「え?」

 ライはグロースターの無力化が間に合わない事に悪態を付きながらも、足を止めることはしなかった。ライの向かう先は、ライのことを未だに不思議そうに見ているギンガの方である。
 突き飛ばすように彼女を槍の射線上から押しのけフォワード陣の方に投げる。ライはそれと同時に飛んでくる槍の方に視線を向ける。

(間に合えッ!)

 どこか願うようにそう念じながら、ライは飛んでくる槍を蹴り飛ばそうとする。右足でハイキックの要領で放たれた蹴りは、脛に付いているパラディンの装甲部分と槍の側面を接触させる。そして火花を散らし、異音を発しながら槍の軌道がずれていく。
 だが、そのずれた軌道は小さなもので槍の先端がライの左肩を捉えた。

「グ、ギッ!!!!」

 AMFが干渉しバリアジャケットの効力が瞬間的に弱まったため、槍はライの左肩の先端に近い部分を抉った。
 口から漏れる絶叫を飲み込み、ライは渾身の力で槍を蹴り飛ばす。飛ばされた槍は壁に叩きつけられ、その破壊のための速度を失った。
 なんとか槍を凌いだライは右手で左肩を抑えて未だ健在のグロースターの方に視線を向ける。
 件のグロースターは腰に装備していたアサルトライフルを装備し、こちらにその銃口を向けていた。
 この密閉空間内では跳弾の危険があったため、ライは反射的に自分の出来る最善の行動をとった。

「上に出て先ほどの彼女の捕縛を!」

 叫ぶやいなや、ライは左肩を抑えていた右手にヴァリス形態のパラディンを展開させる。そして即座に近くに立っていた柱と天井を打ち抜く。すると天井が崩落し、ライとフォワード陣達との間に即席の壁が出来た。
 そして、壁ができてからグロースターがアサルトライフルの引き金を引くのと、ライが回避行動をとるのはほぼ同時であった。
 破壊を撒き散らす鉄の塊が飛び交う轟音と火花が数秒間、その空間を満たした。



ミッドチルダ・地上


 ライが起こした崩落から数分後、地下にいたフォワードメンバーは全員地上に戻っていた。だが、そこにいるメンバーのほとんどは浮かない表情をしている。特にギンガはその中でも特に落ち込んでいた。
 その気落ちした空気を吹き飛ばすようにヴィータは声を張り上げ、その場にいる全員を一括する。

「ボヤボヤすんなッ!アイツの心配をする前にアイツが無事でいることを信じろ!」

 そのヴィータの言葉にその場にいる全員がハッとする。

「今、あたしらがしなきゃなんねーのはアイツの命令を聞くことだろうが!」

 ヴィータの発破に皆の目に再び力がこもる。そしてその場にいる全員が自分に出来る最善行動をする為に動き出す。



ミッドチルダ・上空


 上空の驚異は粗方退けられようとしていた。その功績は、はやてのリミッター解除によるところが大きかった。いくらAMFが装備されているガジェットでも、広域殲滅が専売特許の彼女にはあまり意味をなさなかったのだ。
 そして今現在、戦闘が収束するまで彼女は頭の中で状況を整理しつつ、上空待機を続けていた。

(さっき、ヴィータからの報告で容疑者の確保も終わって、戦闘はほぼ終いや)

 ガジェット殲滅が終了してから、ヴィータからの報告を受けはやては地上と地下の状況を知った。彼女はその報告の中で、ライが今現在地下で危険な状況である可能性があると知った時、初めて自分の手に入れた地位の高さを呪った。
 本当はライを救助しに行きたいはやてであったが、部隊長である自分が今その命令を出すべきではないと知っていたからである。

(これまでの戦闘でナイトメアは戦闘が終了する間際に現れることが多かった。なら――)

 はやてが自分の周りに浮かぶ、空間投影ディスプレイに映し出せる情報と自分の中の予測をすり合わせている時、そのディスプレイの一つからアラートが発せられた。

『ナイトメアフレームの増援を確認!真っ直ぐヘリの方に向かっています!』

 ロングアーチからの報告にはやては「やっぱり来た!」と思い、自分の予測が当たっていた事を知る。

『数は1。機種確認……敵は、フロートユニット装備のランスロットタイプです!』

 初めて出てきた空戦用のナイトメアに緊張が走る。

「なのはちゃん、フェイトちゃん、ヘリに近づく前に対処して!」

 はやての指示に従い、これまでヘリの護衛をしていたなのはとフェイトの2人がランスロットの対処のためにヘリから離れ交戦を開始する。そして2人のコンビネーションがランスロットを追い詰め始める。
 2人は良くも悪くも、スザクの操るランスロットの全力機動を見ている。その為、それに見劣るランスロットに負けるほど、2人の能力は低くはなかった。
 その状況を確認したはやては、ライの救助のための命令を出そうとした。しかし、通信で聞こえてきた言葉が彼女の耳に届いた。

『あなたはまた………守れないかもね』

 聞こえてきたその言葉を聞き終えると同時に再び、ロングアーチから通信が入る。

『こ、高エネルギー反応検知!推定……Sランク?!』

 その報告と同時に遠方のビルの屋上からヘリに向けて砲撃が放たれた。



ミッドチルダ・上空・ヘリ付近


(やられた!)

 ロングアーチからの報告を受け、元狙撃手であるヴァイスは内心でそう叫んだ。
 ヘリを管理局の中でもトップエースである2人に護衛され、最後に出てきたランスロットもあの2人が対処している。その事実に安心していた隙を突かれた。
 これまで、敵戦力の危険度がトップであるナイトメアフレームを囮に使われるとはこの時点では六課の中で気付いている者はいなかった。
 ヴァイスの視界の端でこちらに向かってくる光の塊が見える。それがやけにゆっくり見えるが、そのくせ自分の操縦では避けることができないことが頭の中の冷静な部分が告げている。
 脳裏に自分の相棒であるヘリが爆散する光景を幻視しながら、ヴァイスはその光の本流から目を離さなかった。
 そんな中、唐突に下から1つの影がヘリと光の間に姿を現す。

「アイツ!」

 思わずヴァイスはそう叫んでいた。姿を現したのは所々破損しているバリアジャケットを身に纏い、その特徴的な光の翼を広げるライであった。
 ヴァイスからは見えなかったが、そのボロボロの見た目とは対照的にライは力強い眼差しをその砲撃の光に向けていた。
 ここに来るまでにライは残りの手持ちのカートリッジの弾丸をヴァリスの方に1発残し、残りの4発をエナジーウイングの方に2発ずつ装填していた。
 そして今、ヘリのところまで飛び上がるのに1発ずつ消費していた。

「蒼月、パラディン」

「イエス マイ ロード」
「ラジャー」

 ライは体に走る痛みで意識が飛びそうになるのを、声に出して指示を出すことでなんとかそれを防ぐ。

「カートリッジロード」

「コンプレッション」

 パラディンに残された1発のカートリッジをそれぞれ使う。エナジーウイングは姿勢制御の為にその光を更に濃くする。右手に持ったヴァリスはその銃身を敵の砲撃に向けられ、カートリッジを消費されるとなのはの砲撃を切り裂いたのと同様の弾丸を形成する。

「シュートッ!」

 歯を食いしばりながらの掛け声と同時にライは引き金を引く。放たれた弾丸はなのはと時と同じく、接触した砲撃を割いていく。
 引き裂かれた砲撃の内、大半は上空に向かい、霧散する。だが全てがそうなったわけではない。幾つかの砲撃は地上に向かっていた。
 それらの砲撃はカートリッジなしでも相殺できる判断したライはヴァリスを向けようとするが、そうする前に複数の防御用魔法陣が展開され街への着弾を防いだ。

「誰が――」

「ライさ~~ん!」

 疑問の言葉を口にする前に、特徴的な間延びするような声を上げながらリィンフォースがライに近づいてきていた。

「無事でよかったですぅ。頼まれていたものを届けようと貴方を探している時に、地下に取り残されたと聞いていたので心配してたですぅ」

 リィンフォースの言葉通り、彼女はライにカートリッジのマガシンを届け用としていた。これは地下に入る前にライが彼女に依頼していたことであった。
 その為、彼女がここに現れたのは偶然ではなくライを探しての必然であった。結果的にそれは功を奏し、街を守るという結果につながっていた。

「マガジンを!」

「え?」

「早く!」

「は、はいですぅ!」

 ライは彼女の言葉を聞くやいなや、リィンフォースに向け手を出しマガジンを催促する。
 マガジンを受け取ったライは即座に、パラディンに装填されている空のマガジンと交換し魔法を発動させる。

「アクセルドライブ」

「コンプレッション」

 ライが始動キーをつぶやくとパラディンの翼からそれぞれ2発ずつカートリッジが消費される。そして新しく、エナジーウイングが展開された瞬間、ライはその場から姿を消し、残ったのは緑の軌跡だけであった。



ミッドチルダ・ビル屋上


 砲撃が行われた地点にライは即座に急行した。そこにいたのは大型のライフルを持った女性と大きな丸メガネをかけた女性であった。
 急行したライはその表情を能面のような、感情が抜け落ちたような表情をしながら声を発した。

「お前たちはスカリエッティの部下だな」

 質問ではなく確認。そして予想ではなく断定。その言葉を聞いた2人の内、メガネをかけた方がライの言葉に応えた。

「だとしたらどうしますぅ~~?私たちを捕まえますかぁ~~?」

 人を馬鹿にしたようなその喋り方にも反応を見せずにライはただ静かにパラディンを構える。

「あらあら、野蛮ですわねぇ~。せっかくの出会いだと言うのに~。ただ戦うだけというのは無粋ですわよ―――」

 まだしゃべり続ける彼女を無視し、ヴァリスの引き金を引こうとし―――



「お兄様?」



 その指を反射的に止めた。
 そのライの様子に満足したのか、メガネをかけた女性はその口を笑みを現す表情に曲げた。

「………!」

 彼女の言葉の真意を探ろうと口を開きかけたところで、突然現れた気配にライは咄嗟に反応した。
 右手に持っていたヴァリスを剣に切り替え、その気配がした方向に振り抜く。
 そのライの放った斬撃は受け止められ、ライは後退して距離をとった。
 新しく現れた、その気配の正体はまたしても女性。彼女は髪が青く、左右の手首からエネルギーでできた刃のようなものを展開していた。

「引くぞ、クアットロ、ディエチ」

 その女性がそう言うとメガネをかけた女性が何かを呟く。呟くと同時に目の前の3人の姿がその風景に溶け込むように消えた。

「光学迷彩?蒼月」

「センサーに反応なし、逃げられました」

 その蒼月の報告を鵜呑みにせず、ライは数分間警戒を続けたが特に奇襲されることもなく何も起こらなかったため、警戒の意識を解いた。

「あっ……」

 警戒を解いた瞬間、ライは意識が落ちそうになる。左肩の怪我に加え、過度の魔法の使用で蓄積された負担がここに来て表に現れた。
 このままでは地面に激突するな、とどこか他人事のようにそう考えていると。暖かい何かが自分を包む感触を感じた。

「?」

 どこかぼんやりする頭を動かすと、涙目になってこちらを見ているなのはとフェイト、そしてリィンフォースの顔が見えた。

「ありがとう……あと、心配かけてごめん」

 彼女たちの顔を見ると自然とそんな言葉がライの口からついて出た。

「少し……疲れた……」

 そいう言うとライは意識を手放した。
 こうしてその日の戦闘は終結した。














―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ラ「皆さんこんにちは、お馴染み司会進行のライです」

………………………………………

ラ「――あれ?ゲストの姿が無い」

作「説明しよう」

ラ「……どうして作者の君がここに?」

作「まぁ、これには深くて複雑な理由が――」

ラ「え、何かあったの?」

作「実は―――――」

ラ「実は?」

作「ネタが尽きた(サラッ)」

ラ「…………」

作「沈黙はやめて!とっても痛いから!」

ラ「何やってんの…」

作「だって、本編のネタ思いつく分、こっちのネタが思いつかないんだもん!」

ラ「取り敢えず、その歳で“もん”はないよ」

作「それに読者からの質問も特にないし」

ラ「読者は質問しても、ネタバレになるからって理由で答えないことのほうが多いから質問を諦めたんじゃない?」

作「でも、バラすよりはいいと思うんだが……」

ラ「それは内容次第かな」

作「やめて!これ以上ハードル上げないで!!!」

バタン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……………

ラ「……逃げた。ん?置き手紙?」

作『プライベートの方でテストが近いので、二週間ほど更新が止まります。
  この作品を読んでもらっている読者の皆様にはいつも迷惑をかけていますが、
  これからもこの作品をよろしくお願いします。』

ラ「………ということらしいです。では次回もお楽しみに」

 
 

 
後書き

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