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魔笛

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第一幕その十五


第一幕その十五

「ようやく出会えたんだね」
「まさか本当に出会えるなんて」
「夢みたいだ」
「全くだ」
「おい、待つんだ」
 モノスタトスがそれを見て口を尖らせて抗議する。
「すぐに離れるんだ、何をしている」
「待て」
 しかしであった。ここでザラストロはモノスタトスを咎めて言うのであった。
「御前はまたやったのだな」
「うっ、それは」
「御前はパミーナとは駄目だ」
 こう言うのである。
「それなのにまた言い寄るとは」
「それは」
「今度は懲らしめる必要がある」
 そしてだった。また周りの者に告げるのだった。
「踵の鞭打ちを」
「はい」
「わかりました」
「七十七回だ」
 回数も命じた。
「いいな」
「待って下さい」
「何だ?」
「それはあまりにも」
「何度も咎めた筈だ」
 怒った顔でモノスタトスに告げていた。
「そうだな」
「それはそうですが」
「では大人しく罰を受けるのだ」
「しかしですね」
「言い訳は止めておくのだ」
 それは許さなかった。
「わかったな」
「うう・・・・・・」
「それではだ」
 ザラストロは周りに命じた。
「この者の踵に鞭打ちを」
「わかりました」
「では」
「そしてだ」
 そのうえでだった。己の前にいるタミーノとパパゲーノを見てそのうえで言うのであった。
「この二人はだ」
「この者は知っています」
 一人がパパゲーノを指差しながらザラストロに話した。
「パパゲーノという鳥刺しです」
「鳥を捕まえてそれとものを交換しているな」
「はい、そういう男です」
「成程な。妻の国の者だろうか」
「ええ、そうですけれど」
 パパゲーノもそれを認めて答える。
「それが何か」
「ふむ、わかった」
 パパゲーノについてはそれでわかったとした。
「そしてこちらの者は日本からの客人か」
「わかるというのか」
「そうだ、服でわかる」
 それによってというのだ。こうタミーノに話した上でさらに言うのだった。
「この二人は試練の殿堂に案内しよう」
「試練の殿堂!?」
「そして身体を清めるのだ」
 こうも話すのだった。
「まずはだ」
「若しも美徳と正義が偉大な人間の道に誉れを振り撒くなら」
「この地上は天国となり」
「人は神々の如くになるでしょう」
「では君達はだ」
 ザラストロはあらためてタミーノ達に話した。
「いいな」
「何がどうなってるんですかね」
「わからない」
 タミーノはパパゲーノの問いにもいぶかしむ顔で首を捻るばかりだった。
「これは」
「そうですよね。何がどうなってるのか」
 だが二人は沐浴の場に案内されていく。パミーナも女性達に何処かに案内されていく。話が一変したのは間違いない状況だった。
 
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