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【パズドラ】殴って、青龍カリンちゃん!

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【パズドラ】殴って、青龍カリンちゃん! 一話 ~はじめまして!~

「お兄さんが我のご主人様アルか?」
 金色の卵を割って生まれたのは、とびきり可愛い女の子だった。
 長い黒髪を束ねたリボン、ミニチャイナドレス、明らかに人外だと思われる――ドラゴンっぽい――耳と尻尾。
 全体的に青いな、というのが第一印象の子。スマートフォンで検索してみると、どうやら水属性のようだ。
「おお、神タイプじゃん!」
 やったやった、と興奮する俺。旅立ちの日にオロチを手に入れて以降、全然神タイプと出会わなかったから嬉しい。
「我は青龍の化身・カリン! 我は水属性だけど、木や闇のモンスターとも仲良くできるネ!」
「あぁ、だからテンプレな中国人っぽい話し方をするんだ」
「ガンホー学校で中国人っぽい日本語の喋り方を勉強したアル!」
「なにそれ……普通の日本語教えてもらえなかったの?」
「この世界ではキャラ付けが大事だって教わったアルヨー。キャラ立ってれば弱くても使ってくれるって先生言ってたネ」
「はぁ……。で、木と闇の属性と相性が良いの?」
「我のリーダースキル、昇竜の舞は水・木・闇属性で攻撃するとダメージが上がるアル!」
「おー、それじゃ水・木・闇でチーム組めば良いのか」
「そゆことそゆことー」
 火力型のモンスターとはまたラッキーだ。今までオロチによるゾンビ戦法を主にダンジョンに潜り続けていたから、一気に敵を倒す爽快感が得られなかった。こういう子を待っていたんだ!
「あ、それじゃオロチとも相性がいいのかな」
「オロチ? あの、ヤマタノオロチアルか?」
「そうそう。知ってるんだ?」
「もちろんネ! 我、日本の龍に会いたかったアルヨ!」
「そうか、じゃあ新入り紹介も兼ねて呼んでくるよ」
 ボックスからオロチを呼び出すと、巨大な体をズンズンと揺らしながらオロチが出てきた。出会った時は俺の実力不足ゆえにあまり言うことを聞かなかったオロチも、今ではすっかり懐いてきた。こいつを見ていると、ランクの数字よりも自分の成長を実感できる。
「オロチ、こいつは青龍の化身・カリン。新しく仲間になるモンスターだ」
「うわー、日本の龍格好いいアル! しかも我と同じで青い!」
「こいつはすごく硬いから虹の番人みたいな攻撃力の高い奴が相手だとお世話になるんだよー」
「すごく硬いアルか?」
「おう、ちょっとやそっとの攻撃じゃビクともしないぞ」
「ほー」と言いながらカリンは、いきなりオロチを殴り始めた。
「おい、お前何してんだよ!」
 俺の心配をよそに黙って、殴り続けるカリンを眺めるオロチ。その表情からはダメージを受けている気配がない。
「本当アル! めっちゃかてえ! めっちゃかてえ!」
 調子に乗って徐々に本気を出していくカリン。
 いくらオロチといえども、そう何度も攻撃を受けると痛いらしい。段々と顔色が悪くなってきた。しかし得意のド根性で耐え続けているのだろう。
「すげえ! なんでこんなに硬いアルか? 何度殴っても……ギヒャアッ!」
 流石に鬱陶しく思ったのだろう。オロチの威圧にカリンは血の気が引き、目と口を大きく開けて身をすくませていた。
「あーあー、オロチを怒らせるから……」
「…………」
「ほら、オロチも硬いからって痛くないわけじゃないんだから」
「…………」
「同じ神様なんだし、仲間なんだし、これに懲りたらもう殴っちゃダメだぞ」
「…………」
「ほら、オロチに謝って」
「…………」
「おい、大丈夫か?」
「…………」
「おい、おいってば!」
「…………」

 その後、カリンはしばらくボックスの中で泣いていた。 
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