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ヘタリア大帝国

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TURN73 思わぬ復活その七

「連合軍の諸君に告ぐ」
「!?降伏勧告か?」
「まさか」
「私はドクツ第三帝国新鋭隊長ノイツィヒ=ヒムラーである」
 両軍の艦艇のモニターにその彼が現れた。
「そして今ドクツ第三帝国の総統に就任した」
「おい、どういうことだよ」
 イギリスはヒムラーの今の言葉に眉を顰めさせて言った。
「レーティア=アドルフじゃねえのかよ」
「レーティア=アドルフ総統はこの事態の責任を取られ自害された」
 ヒムラーは今先程レーティアがベルリンにはいないことを彼の情報網から知ったのだ、実はここで颯爽とレーティア、そしてドクツの救世主として現れマンシュタインもロンメルもいなくなったドクツにおいて掛け替えのない存在となりレーティアを後ろから操ろうと考えていたのだ。
 だがレーティアはベルリンにはいない、それならば自害したと彼女の性格から考えこう言ったのだ、確かにレーティアはベルリンにいないがエルミーに救出されたことは知らなかった、そこまでは彼の情報でも確認できなかったのだ。
 だからここでこう言ったのである。
「その時に私をドクツの総統に任命されたのだ」
「話が急過ぎて」
「そうですね」
 ネルソンも呆然とした感じでイギリス妹に応える。
「話が掴めません」
「どうにも」
「しかしレーティア=アドルフはもういないのですか」
「嘘でああしたことを言うとは思えませんし」
 実はヒムラーにしても思わぬ展開だったがそれに乗ったのである。
「しかも今彼等と戦おうとも勝てません」
「ここは一時撤退すべきですね」
「よし、では全軍一時ベルリンから撤退する」
 モンゴメリーもジューコフと同じ決断を下した。
「ドクツ本土から離れよう」
「ああ、それがいいな」
 イギリスはドクツ軍とサラマンダーを見ながらモンゴメリーに応えて言った。
「あの大怪獣は洒落にならないからな」
「伝説によると恐ろしい力がありますね」
「北欧の星を幾つも滅ぼしてきたんだよ」
 モンゴメリーにそうした存在だったとだ、眉を曇らせて話す。
「下手に相手はできないからな」
「はい、ですから」
「一時撤退だな」
「そうしましょう」
 こうして連合軍はベルリンを陥落させるところで撤退することになった、ゾルゲ達も折角ベルリン入りしたが撤収することになった。
 ゾルゲは港に来たところで部下達に言った。
「同志諸君、何故ドクツにまだあれだけの戦力があるかはわからないが」
「それでもですね」
「今の我々は」
「そうだ、撤退するしかない」
 ドクツ軍が戻っては、というのだ。
「そもそもヒムラー隊長が生きていることもわからないことだがな」
「彼はカテーリングラードで戦死した筈ですが」
「部下の親衛隊と共に」
「何故生きている」
 ゾルゲにはこのこともわからなかった。
「謎が多いな、しかしだ」
「しかし?」
「しかしとは」
「戦局は大きく変わる」
 ゾルゲは鋭い、剣の様な光をその目に宿しながら言った。
「ドクツは蘇る、ドクツの動きがまた欧州の台風の目になる」
「ではこのままですか」
「また欧州での死闘がはじまりますか」
「そうなる可能性が高い」
 ゾルゲはこう読んでいた。
「太平洋に兵を進めることは不可能になるか」
「ロリコフ博士が妙に張り切っておられましたが」
「それはなくなりましたか」
「そうなるだろう。では我々も去ろう」
「はい、それでは」
「今より」
 秘密警察の者達もベルリンを後にするしかなかった、ゾルゲはレーティアが密かに脱出に使った港からベルリンを発った、その彼と入れ替わりにヒムラーはベルリンに入った。 
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