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自由の灯り

作者:光龍牙
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第二十一話

 
前書き
では書きまーす 

 
久々にやって来たブラウニー坑道は前よりも薄暗く感じた。
そんな事を考えていたディアは、カノンノ、マルタ、ファラと一緒に入り口で依頼主のジョアンを待っていた。
しばらく待っていると苦しそうに咳き込んでいる男性、依頼主のジョアンがやって来た。
ものすごく苦しそうにしているので、マルタが心配そうにジョアンに話しかける。

「ジョアンさん、大丈夫ですか?そんなに苦しそうなのに、こんな場所まで来るなんて」
「はぁ・・はぁ・・これが・・・私にとっての・・最後のチャンスなんだ。生き延びる為の・・」
「生き延びる為って・・・」

ファラが驚きながら呟くと、ジョアンは自分の容態について説明をしてくれた。
もう自分が長く生きられないこと、医者にも諦められた病気。
それでも、ブラウニー坑道に居る、病気を治してくれる存在に会えればこの病気が治るかも知れないと話してくれた。
全員はその存在が本当に居るのか疑問に思ったが、ジョアンを助けたいと思ったので、ジョアンを奥地まで護衛することにした。

「ねえ・・・マルタ」
「うん、どうしたの?」

道中、前方を歩いているカノンノ、ファラ、ジョアンに聞こえないように、ディアはマルタに話しかける。
マルタはどうしたのかと思い、ディアを見る。

「そのさ・・僕、今は前線で戦うことが出来ないんだ・・・」
「えっ・・・」

マルタは眼を丸くしながら驚くと、ディアは今日あった事をマルタに説明した。
前線で戦うことの恐怖、剣を使うことの怖さ、乗りきるには勇気がいると言われた事。

「ユーリは勇気を出さないといけないって・・・マルタは戦うの怖い?」
「私はそんなに怖く感じない、いつもエミルが私を護ってくれるから」
「そっか・・・エミルは凄いよ・・僕なんかと大違いだ」
「ディア、いつもエミルが勇気を出すとき言ってるんだ、勇気は夢を叶える魔法って、エミルはそれでいつも勇気を出してる。だからディアも勇気を出すとき唱えてみたら?きっと勇気が出るよ」

マルタは優しく微笑みながらディアにそう言った。
ディアはマルタにお礼を言うと、さっきの言葉を思い出す。
勇気は夢を叶える魔法

(けど、僕なんかに勇気が出せるかな・・・)

心の中でそう呟くと、前に居たカノンノ、ファラ、ジョアンが立ち止まったので何事かと思い、マルタと前を見てみると、鍵がかかっている扉があった。

「この扉、鍵がかかってる、どうしよう・・・」
「大丈夫だ・・ごふっ・・・ここの鍵を・・持っているんでね・・」

ジョアンは懐から鍵を取り出すと、それを鍵穴に差し込み鍵を外し、扉を開ける。
ここから先はディア、カノンノ、マルタ、ファラは一度も通った事がないので辺りに注意しながら先に進んだ。
道中、ファラがどうやって病気を治す存在について知ったのか、気になったのでジョアンに聞いてみた。
ジョアンの話によると、故郷のモラード村にジョアンと同じ病気になったミゲルという男性が居たらしく、いい医者に会うためここ、ブラウニー坑道を通ったらしい。
しかし、ミゲルは発作が途中で始まり身動きが取れなくなり、死を覚悟したらしいが、その場所で生きたいと強く願ったら赤い煙が現れ、ミゲルを包み込み消えていくと、病気がすっかり治ったと説明してくれた。

「その赤い煙って、もしかしたらオルタータ火山の・・・」
「それが病気を治す存在なんだね、実際に体験した人がいたんだ・・・」
「赤い煙って一体何なんだろう?」
「私にもわからないよ、けれども、私ももっと長く生きたい、だからその存在に会いたいんだ・・ゴホッ」

話が終わる頃には、ミゲルが赤い煙に会ったという場所の少し前まで到着していた。
ミゲルが赤い煙に会った場所は少し薄暗く、離れた所からでは中がどうなっているのかわからない状況だった。

「う~ん、中の様子がわからないから、ディアとカノンノで中の確認をしてきてよ、私達はジョアンさんの護衛をするから」
「うん、いいよ」

カノンノが了解し中に入っていくと、ディアもカノンノの後に続こうと歩き出すと、マルタがディアの腕を掴み耳打ちしてきた。

(ここまで魔物は出なかったし、中もきっと大丈夫だよ、二人きりにしてあげたんだから、告白頑張ってね!)

そういうと、ディアの背中を押し、ディアは少しバランスを崩しながらカノンノと奥に進んだ。
奥に進みながら辺りを確認していると、さっきのマルタの言葉が脳裏に蘇る。
告白頑張ってね!

「(告白・・・マルタがチャンスを作ってくれたんだし、言わないと)あ・・・あのさ、カノンノ」
「うん?どうしたの?」

少し緊張しながら、カノンノに話しかけると、カノンノはディアに振り向き首を傾げる。
カノンノの顔を見た瞬間、ディアの心臓は大きく跳ね上がりドクンドクンいっていたが、カノンノにこの気持ちを伝えようと大きく息を吸い込み、続ける。

「ぼ、僕さ・・カノンノが・・・!?カノンノ!!」
「っぇ?きゃあ!」

ディアは表情を変えながら叫ぶと、カノンノの腕を掴み後ろに勢いよく跳ぶ。
それと同時にカノンノの居た場所にいきなり巨大な腕が激突した。
その腕の正体は巨大な魔物、ストーンゴレムだった。

「大丈夫?カノンノ・・」
「う、うん、大丈夫だよ」

二人でストーンゴレムを見ると、その後ろにはもう一体のストーンゴレムが居た。
冷や汗を流しながら唾を飲み込むと、カノンノがオータムリリィを取り出す。
ディアは自分が双剣を抜けないのに、若干の怒りを感じながら双銃を取り出す。

「カノンノは前のをお願い!僕は後ろと戦う!マルタとファラが来れないから二人だけだね・・」
「そうだね、道を塞がれてるから二人を呼びに行けないし、二人で戦おう!」

カノンノはそのまま前のストーンゴレムに向かって走り出し、二体のストーンゴレムはカノンノに狙いを定めようとするが、ディアが後ろのストーンゴレムに弾丸を撃ち込む。

「喰らえ!」

ディアは何発も弾丸を撃ち込み、ストーンゴレムが一体ディアを狙うとこちらに向かって接近してくる。
ストーンゴレムは耐久力があるようで、ディアの弾丸はびくともせず、どんどん距離が縮まる。

「っく!」
「はぁぁ!獅子戦吼!!」

カノンノは膝蹴りをすると、獅子の闘気が現れそのままストーンゴレムを吹き飛ばすが、ディアの方は後少しでストーンゴレムがディアの目の前に到着しようとしていた。

「ぅう!くそ!くそっ!・・弾切れだ」

急いで弾が入っているポーチに手を伸ばすが、ストーンゴレムは既にディアの目の前に到着していた。
そのまま巨大な腕を天井に掲げる。
その瞬間、ディアは夢でみたサレに殺されるのを思い出す。

「っい!」

ディアは恐怖のあまり双銃を落としてしまい、そのまま眼を瞑る。

(やっぱり、僕に勇気は・・・)

そして、ストーンゴレムの腕がディアに向かって降り下ろされる。
ドゴッ、という鈍い音が辺りに響くが、ディアは全く痛みを感じず恐る恐る眼を開けてみると、絶句する。
カノンノがディアに覆い被さりながら、その細い体で体を張ってストーンゴレムの一撃を受け止めていたからだ。
そのままカノンノは口から血を吐き出し、ディアに倒れこむ。

「カノ・・ンノ・・・」
「はぁ・・はぁ・・でぃ・・あ、怖いん・・だよね」
「!!?」

カノンノには一度も話してないのに、気付かれていた事に言葉を失う。
カノンノは今にも気絶しそうなのに、必死にディアに話す。

「わたし・・もね・・こわい、戦うの・怖いよ、けど・・わたし・・・ね、生きて・・未来をみたいの・・・だから、勇気を・・出すん・・だ。ディアなら絶対・・恐怖に勝てる・・・勝て・る・・よ」

そこで、カノンノは意識を失った。
ストーンゴレムはカノンノと、ディアをそのまま殴って潰そうとするが、ディアの眼を見た瞬間、急に怯み後ろに後退する。
ディアはストーンゴレムが後退した後、無詠唱で上級治癒術のキュアをカノンノに使い、先程まで苦しんでいたカノンノの表情が和らぎ、今は静かに寝息をたてていた。
そのままカノンノをお姫さま抱っこし、ストーンゴレムの居ない安全な場所に運ぶ。

「カノンノ・・ありがとう、僕、勇気を出す、大好きな皆を・・大好きなカノンノを護るために勇気をだす。勇気は夢を叶える魔法・・・僕の夢は誰一人失わないで、皆で笑って過ごす毎日、だから、勇気をだす。戦う!もう剣を抜くのを恐れない!!」

ディアの叫びが響き渡ると、ディアは鞘に手を伸ばす。

「皆を護る力を!皆を護る勇気を!!」

双剣を鞘から抜き取る。
そして、ディアの左目、黄緑色だった瞳は黒色に変化する。

続く







 
 

 
後書き
終わったー
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