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聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士

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第三話 唸れ師の拳!その名はブーメラン!

 
前書き

名前 (みお)

年齢 13歳

概要 大河のパートナー。ずば抜けたIQを持ち若干13歳にして大学を飛び級で卒業した天才。エンジニアとしてスチール聖闘士の開発に加わり、聖衣を超えるスチール聖衣の製作を志す。スチール聖衣の為のパライストラでリサーチをしていた時、檄により聖闘士知識の無い大河の面倒を押し付けられた。
努力や根性という言葉を真っ向から否定し、論理的・合理的なことしか認めない偏屈な人。
その為大河のような根性タイプとはそりが合わず「パソコン女」や「ロボハート」と呼ばれ子供じみた口論が絶えない。
手持ちのコンピュータを持ち法則や大河のスペックで完璧な計算の元に常に大河の敗北を予見するが、大河がスペック以上の力を発揮して計算を覆す為、怒りに任せてコンピュータを破壊するクレイジーな部分も・・・(たまに己のうっかりのせいで計算を外すこともあるが・・・)
料理なども合理的な栄養の配合で作り、味覚はそれぞれ違うから非合理的であるという理由で味に全く配慮しない為、美味い物を作る事は奇跡に近い。
甘党だったり、模型製作が趣味だったり、河井のピアノのファンであったりする為、人間味が無いわけではない。
普段は裸眼だが、コンピュータを使うときは合理的に負担を減らすという理由で負担軽減が施された眼鏡を付ける。
また多少の医学の知識はあるらしく致命傷に近いダメージを負う大河の応急治療をする羽目になる。
尚、大河からは『ミヨ』と呼ばれ毎回正している。


 

 
「はっ!」

仮死状態だった大河がいきなり目を覚ますと何やら石畳で医務室のような部屋の中だった。木製のベッドで横になっている己の身体を起こすとゆっくりと周囲を見回す。

「あれは・・・影道龍極破・・・やはりあの人は」

鬼の面の男がかつての竜児の友である影道総帥である事を何となく感じ取る大河。

固まりきった身体を伸ばすと散策するべく起き上がると突然部屋のドアが開くと大柄の男が入ってきた。あまりの身体の大きさにギョッとする大河。

「お?やっと目覚めたか」

「えっと・・・あなたは?」

恐る恐る大河が尋ねてみると男は豪快に笑いながら自己紹介をした。

「俺は檄。パライストラの教師だ」


第三話 唸れ師の拳!その名はブーメラン!


「影道総帥から話は聞いたぞ?お前黄金の日本Jr.の子なんだってな」

豪快に笑いながら大河を案内する檄。

「息子じゃない!弟子だ!」

「おう~そうかそうか~まぁ・・・ここでしっかり戦い方を学んでもらおうじゃねえか・・・が・・・影道総帥には時間が無いから厳しくやれって言付かっててな」

やはり自身が対決したのは影道総帥だと確信した大河。

すると食堂に連れてこられた。

「さってと・・・お!居た居た」

檄が食堂を見回し目的の人物を探し出すと大河を連れその人物の元へ向かった。

コーヒーを飲みながら気怠そうにコンピュータを弄繰り回している少女。

「よう!澪」

「?檄さん」

澪と呼ばれる少女がキーを弾く手を止め檄に振り向くと行き成り大河を押し付けた。

「い?」

「は?」

突然の事に仰天する大河と澪。

「澪!こいつは大河!新入りだ!大河!こいつは澪!スチール聖闘士の開発に加わるエンジニアだ」

「はぁ・・・どうも」

無理矢理檄に自己紹介させられあい取りあえず握手しようとする大河だが澪は興味を示さなかった。

「で?何のようですか?時間がもったいないんで・・・無駄な時間を使うのでしたらさっさとリサーチを進めたいんですが・・・」

「相変わらずツンケンしてるねぇ・・・ま!大した事じゃない。澪!こいつの面倒をみてやれ」

「え?」

行き成り大河の面倒を見ろという事に仰天する大河は勿論だが特に気にした様子の無い澪。

「何故ですか?私も多少聖闘士に関する知識はありますが、檄さんが教えた方が効率はいいですし、ましてや本業でもない私が面倒をみることは非合理的だと思うのですが?」

澪のもっともな言葉に檄は・・・

「はぁ・・・全く相変わらず冷たいなお前は」

「よく言われます」

「あっさりと・・・成長途中の聖闘士のリサーチも込みで良いんじゃねえのか?それにこいつは聖闘士ファイトに出る予定だ」

「聖闘士ファイト?」

聞きなれない言葉を聞いて戸惑う大河。

すると澪が・・・

「正気ですか?こんな素人にさせるのは危険です・・・それに・・・それこそ非合理的なことです?」

「お前さんならこいつを聖闘士ファイトまでに仕上げられると思うがね?・・・それが出来たらもう少しリサーチをさせてやるよ?」

檄の提示した条件に澪は眼鏡を外し答えた。

「わかりました・・・聖闘士ファイトまでに彼を育てればいいんですね?・・・どうせもう少しでリサーチを終わらせようとしたので・・・最後の仕上げぐらいにはなると思います・・・ですが、最初に彼に聖闘士ファイトに参加する資格があるかどうかのテストだけやっていただきたいです」

「よし!交渉成立!」

檄の一方的な提案を了承する澪。すると檄は二人を食堂に残し、大河は改めて自己紹介をした。

「あのさ。俺は高嶺大河!よろしくな」

(みお)

握手しようとする大河だが澪は指して興味の無さそうな表情だった。

「何その手?」

「いや・・・握手を」

「そんな非合理的な物何の意味があるの?どうせ私とあなたの付き合いなんて短いだけだし親睦を深める気なんてさらさらない。短い付き合いで親睦を深めるくらいなら1分でもあんたを鍛えた方が効率が良いし後腐れなく分かれることが出来る」

必要最低限の事は興味の無い澪はとっとと目的を果たすべく修練場に向かった。

コンピュータを構え澪が大河に指示をした。

「それじゃ・・・聖衣見せて」

「あ・ああ」

澪に指示され聖衣を見せる大河。オブジェの聖衣を物珍しそうに見る澪。

「へぇ・・・オブジェの聖衣見たことないな・・・んで?あんた小宇宙の属性は?」

「属性?小宇宙ってなんだ?」

その事に頭を抱える澪。

「あんた・・・聖闘士の知識ある?」

「無い!」

致命的に聖闘士の知識がない事に頭を抱える澪。

「まぁ・・・今まで聖闘士とは無縁の生活送ってたなら仕方ないか・・・良い?小宇宙っていうのはね」

澪に聖闘士の基礎的な知識を単純明快に教えてもらう大河。はっきり言って重要な部分に触れていないが、大河の知能ではかなりわかりやすく教えてくれた。

「ようするに身体に秘められたエネルギーみたいなもんか?」

「そう言うこと?じゃ・・・ウォーミングアップしてみて」

「何で?」

「あんたのスペックを計測する」

無駄口を許さず澪の指示で自身のシャドーボクシングを披露する大河。その動きやスピードを計測していくと生身の大河の大体のデータを収集する。はっきり言ってデータ収集のみをやっている為達成感の無い大河。

「それじゃ・・・聖衣を装着してみて」

コンピュータのキーを弾きながら澪に指示されようやく実戦が出来ると思い構える大河。

「よし・・・ティグリス聖衣!」

大河が叫ぶがうんともすんとも言わない虎座の聖衣。

長い沈黙が流れると気を取り直して澪が言った。

「・・・もう一度」

「ティグリス聖衣!」

再びうんともすんとも言わない聖衣。その後、何度も何度も聖衣装着を試みるが全く持って反応しない事に澪はコンピュータを懐に持ち。

「時間の無駄・・・」

さじを投げた。

「ちょっと待てよ!なんだよそれ!」

「これ以上は時間の無駄。小宇宙も発しないし聖衣も装着できない・・・数値の上がらないし出るだけ無駄よ」

そう言ってさっさと大河を背にして出ようとする澪に対し大河は俯き拳を震わせた。

「てめぇ・・・目に見える基準でしか人を見ねぇのかよ!!」

「・・・」

大河の言葉に歩めていた足を止める澪。

「おめぇみてえな・・・機械みてえな心のロボハートなんかこっちから願い下げだ!!」

そう言って澪に背を向けて立ち去ってしまう大河。

その背中を黙って見つめる澪。

すでに夜となったパライストラの外に出た大河はシャドーボクシングをやっていた。

むしゃくしゃしていると身体を動かすようにしている大河。

一通りのシャドーが終わると冷えた頭で澪の事を考えていた。

「あいつ・・・何なんだよ・・・努力や根性なんて無駄なだけだなんて・・・」

「全くだな」

「檄先生?」

突然、声が響き大河が振り返るとそこには檄の姿が、腕を組んで檄が澪のことを話し始める。

「・・・あいつもあいつで人の事を信用出来ねえ理由があるんだよ」

「人を・・・信じられねえ理由?」

「あいつ頭が良くてな・・・周りの奴はそれしか見なかった・・・あいつの内面を見ようともしない奴らしか居なかった」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

その言葉に何かを思う大河。

「まぁ。お前みたいな体力馬鹿に刺激されればあいつのロボハートもヒューマンハートになると思ったんだけどな・・・ん?」

檄が呟くとそこには大河の姿は無く、パライストラに戻っていく背中が見えた。

自室で無表情でコンピュータのキーを弾いている澪。

すると、ドアがバンと開き大河が入ってきた。

「大河?」

「明日・・・俺の試合・・・見ろ」

「何言ってんの?」

「おめえ俺のセコンドだろ・・・だったらその目ん玉でしっかり見る義務がある・・・見せてやるよ・・・努力と根性をな」

それだけ宣言すると澪の部屋から出ていく大河をポカーンと見つめる。

「何言ってんのあいつ・・・セコンド?・・・私?」

思考を呼び戻し何かを思う澪は見るつもりは全くなく、合理的に自分の要件を済ませようとするが・・・


翌日

「・・・・・・・・・」

控室で柔軟をしている大河の隣に居る澪の姿が・・・

何を思ったのかは自分でもわからないが、大河のマジを見せられたような気がし非合理的だが大河の試合を見ることにしたのだ。

「ところで・・・あんた聖衣は装着できるようになったの?」

「いや」

「馬鹿でしょあんた・・・今のまま戦えばきっかり5分で負けるわよ。これはあんたのスペックと相手のスペックをコンピュータで計算して確実」

すると大河はザックからある物を取り出した。

「聖衣なんざ使えなくても・・・俺にはこれがあれば十分だ・・・」

大河が取り出したもの。それは竜児との練習で使っていた草臥れたボクシンググローブだった。

バンテージを巻きグローブを装着する大河。

「そんなもので勝てると思ってるの?馬鹿じゃないの?」

「ところがどっこい・・・これで俺は勝つ気満々なんだな・・・」

グローブの紐を締め戦う覚悟をした大河は澪と共に檄と相手が待つ試合場へと足を運んだ。

試合場では檄と共に今回の相手であるカジキ座スピアが待機していた。

「先生・・・何で俺が相手しなくちゃいけないですか?」

「そう言うな・・・これも聖闘士の務めだ」

檄に発破をかけられスピアが渋々待機すると試合場に現れる大河と澪。

「おいおい・・・聖衣もってきてねえじゃねえか・・・先生!何でこいつの相手なんかしなくちゃいけないんですか?」

「奴が並の男だったら俺もんな事させねえよ」

檄に言われて苦い顔をするスピア。一方向かい側では大河と澪が試合前の打ち合わせをしていた。黙っている澪に大河が呟いた。

「何だよ?アドバイスとかはねえのか?」

「別に・・・話すだけ時間の無駄よ・・・だったら他の事考えてた方が効率が良い」

「へっ・・・人を信じてねえのか・・・だよな・・・俺がおめえを外面でしか見てなかったし」

「・・・・・」

大河の言葉を黙って聞く澪。すると大河は柔軟を終えスピアの元へ向かった。

「だったら見せてやるよ・・・ダセェ奴とは違う・・・本物の男の戦いを」

「本物の・・・男?」

「・・・まぁ・・・あとは拳で見せてやるよ・・・」

何かの為に決意を秘めた大河が両拳を合わせウォームアップをすると待っているスピアと対峙した。

「お前が新入りの聖闘士か・・・じゃあ・・・さっさと聖衣を装着しな」

「へん・・・生憎あんなもん装着できねえよ」

「あ~あ・・・何でこんな奴の相手なんかしなきゃいけねえんだ?時間の・・・」

言い終わる前にスピアの頬を凄まじい衝撃波がすり抜け背後に巨大なクレーターが生まれた。

その破壊力に檄は何やら思う所があり、澪も目を見開きスピアも驚愕していた。

大河の放った拳圧が巨大なクレーターを生み出したのだ。

「あんまり甘く見てると怪我するぜ・・・」

「ちぃ・・・だったら1分でケリを付けてやるぜ!ドラド聖衣!」

聖衣を装着し大河に飛び掛かるスピア。

「生憎・・・ウチのパソコン女の計算じゃ5分かかるとよ!!」

ファイティングポーズを取りスピアに向かって行く大河。

大河ががむしゃらに拳を繰り出すと其処らじゅうに拳圧の跡が生まれていく。聖衣を装着しているとはいえどもまともに食らっては一溜りも無い。

舐めてかかっていたスピアもその攻撃力に本気を出すことを決断した。

「!!」

スピアが大河の背後に回り込み後頭部に重い一撃を食らわせ吹き飛ばした。地面を削りながら落下する大河は頭に傷を負い出血した。

スピアが追撃を繰り出そうとするとフラフラと大河が立ち上がりスピアに向かって拳を放った。

「!?」

あまりの一撃に進行を止められてしまうスピア。

その戦いを見守っている檄は・・・

(なるほど・・・影道総帥の言うとおりだな・・・奴の戦いが徐々にでき始めている・・・実戦で学ぶタイプだなあいつは・・・)

そして澪も

(あいつ・・・もうそろそろ5分経つけど・・・諦めるって目をしていない・・・)

ひたむきに戦う大河の姿を見つめる澪。

そして思った以上に手ごわい大河の事をスピアも焦り始めていた。

「ちぃ・・・だったら見せてやるよ!!」

己の小宇宙を高め技を繰り出す態勢に入るスピア。

それを見る大河は・・・

(だったら・・・ぶっ放すか?)

左拳に渾身の力を籠め構える。

「食らえ!ソードフィッシュカッター!!」

スピアの必殺技が大河に向かって飛ぶ瞬間!


唸れ!ブーメラン!!


竜児の声が脳裏に響き渡り・・・

「おおおぉぉぉ・・・・・」

力を込めたその左拳を・・・

「ブーメランフック!!」

一気に解き放った。

「であああああああああああああああああああああああああ!!!」

「ぐあああああああああああああ!!!」

左拳から解き放たれた真空波が試合場を飲み込む竜巻となりスピアを吹っ飛ばすとその聖衣に拳の跡が刻まれる。

大空の彼方に吹き飛ばされたスピアが真っ逆さまに落ちてくると鈍い音が響き渡った。

「はぁ・・はぁ・・・」

師匠・高嶺竜児のフィニッシュブロー・ブーメランフックを放ち全体力を使い切った大河がそのまま両膝を付いた。

「嘘でしょ・・・努力と根性が・・・こんな技を・・・」

小宇宙を使っていない大河の技を目にした澪も驚きを隠せない。

スペックを完全に見誤った。

そう思うと・・・

「そんな・・・ありえない!!・・・!!」

何かが切れ持っていたコンピュータを握り潰してしまう澪。それを見た檄も唖然としていた。

「はぁ・・・はぁ・・・負けたよ・・・」

ブーメランフックを受けたスピアもその潜在能力を認める発言をした。力を使い切った出血多量の大河も目を回しぶっ倒れてしまうと即座に医務室に運ばれた。

翌日

「・・・・・」

医務室への道を行く澪の姿が、昨日コンピュータの計算を見誤ったことに大河のリサーチをすることにし、大河の言っているセコンドに付こうという事を報告しに向かっていた。

「虎?入るわよ」

澪が大河の居る医務室に入るとそこに大河の姿は無く書置きが置いてあった。


み塾もののミヨへ

おめえのコンピュータの計算をこえてやったぞ

ざまあみろ!

たかねたいが

これを見た澪は・・・

「こ・こいつ・・・ひらがなばっかりで漢字もろくに書けないの・・・未熟者って字間違えてるし・・・それに字も汚い・・・」

あまりの雑さに唖然としている澪。

だがもっとも気に入らない事が・・・

「それに・・・私は『ミヨ』じゃない!『ミオ』よ!!」

己の名前を地で間違えられた事に激怒する澪だった。

 
 

 
後書き
大河
「やってきた聖闘士ファイト!澪と共にやってきた一回戦の相手はトビウオ座のアルゴ・・・嫌味な言動と挙動に俺の拳がさく裂する!

聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士 地を這うアッパー!ジェットアッパーさく裂!



 
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