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ヘタリア大帝国

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TURN73 思わぬ復活その二

「それに対してあちらは」
「ガメリカ、中帝国、それにオフランスが枢軸になった」
「顔触れが本当に変わりました」
「もっともガメリカと中帝国は同じ連合国でも関係は悪かったからな」
「植民地の独立を即座に承認していましたから」
 同じ連合国に承認されてはどうにも出来なかったのだ。両国は太平洋経済圏設立の為にそうしていたのだ。
「我々を確信犯で追い詰めていました」
「同盟を結んではいたがな」
「はい、実質的には敵でした」
 まさにそうした関係だった、エイリスと彼等は。
「エイリスの世界の盟主としての地位を奪おうとしていましたから」
「少なくとも太平洋からは追い出してな」
「同盟を結んでいても敵同士とは」
「それが政治だな。だがその心配はもうない」
 その彼等が完全に敵になったからである。
「心置きなく植民地の奪還に動ける」
「ではそちらはお願いします」
 欧州方面軍を預かるロレンスはスエズにいるモンゴメリーに切実に願いの言葉を述べた。
「エイリスの栄光を必ずや」
「そうしよう。もっともインドはおろかアラビアの奪回もな」
「実際にはですね」
「もう儚い夢だろうがな」
 モンゴメリーは既にそう見ていた。
「祖国殿には申し訳ありませんが」
「ああ、俺ももうわかってるからいいさ」
 イギリスは己の乗艦のモニターからモンゴメリーに答えた。
「正直アジア方面はもう無理だよ」
「ましてやオセアニアも」
「日本にはしてやられたさ、もう手出しは無理だよ」
「太平洋経済圏はもう固まっていますので」
「残念だけれど植民地の奪還は無理だな」
 イギリスも言う。
「女王さんもわかってるぜ」
「はい、女王陛下もご承知です」
 二人は確信していた、聡明なセーラは既にわかっているのだ。
「我々が出来ることはアフリカを守ることだけですが」
「議会が煩いからな、何もわかってない奴等が」
「しかもソビエトとの約束もあります」
 共に太平洋、即ち枢軸を攻めようという約束をしているのだ。相変わらず同床異夢だがそうした話になっているおだ。
「ですからどうしても」
「攻めないといけないからな」
「そうです。しかしソビエトが太平洋に勝つと」
「あの辺りが全部共有主義になるからな」
「そしてその後はこちらに来ます」
 モンゴメリーはソビエトの意図も既に読んでいた。
「そうなりますので」
「出来ればソビエトには負けて欲しいな」
「ソビエトが敗れると枢軸の相手は我々だけになりますので」
「きりのいいところで講和すべきだろ」 
 イギリスは時流が自分達に向いていないことを読みきっていた、そのうえでの言葉だった。
「やっぱりな」
「そうですね、それがよいかと」
「ソビエトが負けたらな」
「講和せねばアフリカの植民地を攻められ」
 そしてだった。
「全ての植民地を失うことになります」
「全ての植民地を失えば」 
 どうなるか、イギリス妹も出て来た。
「我々は欧州の一国に過ぎなくなります」
「だからアフリカは失いたくねえな」
 イギリスの言葉は切実なものだった。
「そこんところ議会はわかってないからな」
「説得が必要ですが」
 モンゴメリーの言葉はここでは暗い。
「正直なところ」
「難しいな」
「貴族、戦わない彼等の腐敗は極めて深刻です」
 エイリスの癌になっていた、まさに彼等が。 
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