真剣で武神の姉に恋しなさい!
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秘密基地へ
前書き
おや時系列がおかしい……?
まぁそんなことは気にしないではどうぞ
放課後になり千李は大和と京そして翔一と下校していた。千李と大和は秘密基地に行くが京と翔一は各自用があるらしく途中で分かれる予定だ。
大和がどうやら買うものがあるらしく一度仲見世通りに行くことになった。千李はそこでふと大和たちから目をそらすと大きくため息をついた。その様子に気づいた翔一が千李が見ていた方向を見ると声を上げる。
「なぁ!大和に京、あれ見てみろよ」
その言葉に大和たちも視線を向ける。するとそこにいたのは―――
「はい、あーん」
「あーん、もぐもぐ。んーお前に食べさせてもらうとより美味しい」
百代がかわいらしい女の子といちゃついていた。
その様子を見ていた千李は今度はあきれ声で言った。
「はぁ、まったく我が妹ながらすこしは節度を持ってほしいものね」
「それを千李姉さんが言う?」
千李が帰ってきてから千李に抱きつかれたり胸を押し当てられたりしている大和がその言葉に疑問を投げかけた。
その言葉に千李はきりっとした様子で大和に向き直ると告げた。
「それはそれ、これはこれよ」
「さいですか……」
……まぁ大体そう来るとは思ったけど。
大和が千李の答えに対しそんなことを思っていると女の子といちゃつき終えた百代が千李たちの下へとやってきた。
「よー。なんだ姉さんも一緒にどっか茶でも行くのか?私もいれろー」
「モモ先輩あの娘は?」
百代に最初に声をかけたのは京だった。百代と一緒にいた女の子が知らない娘だったので聞いたのだろう。
「ああ、お腹空いたけど持ち合わせがなかった。だから女の子引っかけておごってもらったのさ」
「モモ先輩だって俺起これる立場じゃないでしょ!そっちだって女の子にタダ飯おごってもらってるじゃないすっか?」
百代の返答に対し今日の朝追いかけられそれなりの恐怖を味わった翔一が、反論と同時に疑問を投げかけた。
それに対し百代が強く言った。
「このバカ!バンダナ!殴るぞ」
言うと同時に殴りも付いていた。
「ぐはっ、す、既に殴ってるって!」
「女にタダ飯をおごられるまではいいんだ。問題ない」
そういったところで今まで黙っていた千李が百代の脳天を平手で叩いた。
「あだっ!?」
叩かれた衝撃で百代の頭がガクッと揺れたがすぐに持ち直し百代は千李に向き直った。
「いったいな姉さん。何するんだ」
「女にタダ飯おごらせてる時点でダメだってのよ」
千李は百代に静かに言いはなつ。決して怒っているわけではないが若干イラついているのが大和にもわかった。
その感じは百代にもわかったのか百代は反論せず押し黙った。
百代の様子に納得したのか千李は百代に説教を始めた。
「いい?百代お前は川神院の跡取りなんだからそのあたりをきちんと覚えてきなさいよ。世間体って言うのもあるんだから」
「むぅ。それもそうだけどさたまにはいいだろ?」
「たまにはって言ったってどうせ私がいないときはずっと女の子はべらしてたんでしょう?ファンクラブの子のお前を見る目を見れば一目でわかったわ」
「ギクッ」
百代のそのリアクションに再度ため息をつく千李。
……まったく。男にも目を向けろと言いたい所だけど男で百代より強い奴なんていないからしょうがないっちゃしょうがないんだけどね。
そんなことを思いながら千李は百代の方に手を置いて百代に言った。
「まぁお前が女の子を引っかけておごってもらってそれで終わりならもうちょっと説教をすべきところなんだけど……ちゃんとその子を楽しませてあげてるから今日はこれで終わりにするわ。とりあえずほどほどにね百代?」
「へーい」
……つーかそれなら姉さんだってそうじゃないのか?
百代は思ったがこれ以上反論すると面倒くさそうなので黙っていることにした。
すると二人の会話を聞いていた翔一が言った。
「でも、めんどくせーな。女と食事ってさ、やっぱ俺は大和とかと飯食ってたほうがいいや」
その翔一の言葉に対し大和は一言そうかい、とだけ返した。
が、その二人のやり取りを見ていた百代と京そして千李がヒソヒソと話をしていた。内容としては、タブンデキテルアノフタリ、ワタシノコクハクコトワッテタリユウワカッタ、ホモォ。などなど
「はいそこの三人!ヒソヒソ話しない!!!」
その三人様子に大和は声を上げる。内容は全部聞こえていた大和だが強く反論すると余計いじられると思っての判断だろうすこしニュアンスを変えていた。
そして大和はそれに続けた。
「つーか姉さん待ち合わせなんじゃないの?」
「そこは大和が私におごってくれるんだろ?」
疑問をさらに疑問で返され少しうなだれる大和であった。
「またか……」
「大和ー私は?」
「千李姉さんは今日の昼におごったでしょ!」
思わず大和は声を大きく上げてしまった。
「けちー」
千李はそんな大和に臆することもせず後ろから抱きついた。またしても大和の背中にやたらと発育のよいものが押し当てられる。
……だからなんでこの人は胸をこんなに押し当てるのがすきなんだよまったく―――。
そんなことを思っていると今度は百代が腕に抱きついてきた。
「ふふん。どうだ大和?姉妹攻撃だ。姉さんもっと抱きついてやれ」
「いいーだろう」
だが大和は既に開き直りこの二人の柔らかな感触を楽しむことにしたようだ。さっきからまるで返答がないのがいい証拠だろう。……もしくは失神してるかもしれないが。
「あ、ちょっとうれしそうとか凄くスケベ!私もひっつく」
その大和の様子を見ていた京ももう片方の腕にくっついた。
するとそこへ翔一もくっつこうと飛び込んできたが―――
「「割り込み禁止よ(だ)。そーらっ(それぞれ片手投げ)」」
―――千李と百代に投げ飛ばされずっと遠くへ投げ飛ばされた。
「ったくムチャするぜ千李先輩もモモ先輩も」
投げ飛ばされたところをさすりながら翔一はお汁粉を食べていた。
一方大和はというと………
「弟。その久餅少しくれ。あーん」
「弟。私にも頂戴。あーん」
千李と百代にそれぞれ食べさせていた。大和は呆れ顔でそれぞれに餅を与える。
「はいどーぞ」
「略奪愛!もぐり」
百代の餅の方を京が掠め取った。それに対し百代が京に襲い掛かっていった。
千李はそれを見ながらなぜか爆笑。
「そういや、そろそろカラオケ大会だな」
翔一が唐突に言い始めた。
「うお、また出る気か」
翔一の発言に大和が一瞬たじろぐ。
カラオケ大会とは川神にある駅前商店街の金柳街で毎年開かれているカラオケ大会のことだ。大和たちは小学生の頃これに参加したのだ。ただ一人千李を除いて。
その話を聞いていた千李の目から光が消えた。そしてなぜか体育座りになり縮こまってしまった。そのうちブツブツと何かを言い始めた。
「いいわよねーお前らはー……。子供の頃にそんなことができて……、私なんて……私なんて……」
………しまった!
と大和は思った。千李は子供の頃の話を極端に嫌う。なぜかというと千李が風間ファミリーに入ったのは小6の終わりごろで小学生の頃の思い出が皆無といってもいい。そのため小学生の頃の話をすると時折こうなるのだ。
大和はすかさず千李のフォローに入る。
「だ、大丈夫だよ千李姉さん!ちゃんと千李姉さんとの思い出だっていっぱいあるじゃないか!なっキャップ」
さすがに千李の状態を見て話を続けるのが辛くなったのか翔一も加わった。
「そ、そうだぜ!なにも小学生の頃の思い出が全部ってわけじゃないんだからよ!」
そんな二人のフォローのかいあってか千李は持ち直した。
三人がそんなことをしていると京が大和に助けを求めている声が聞こえた。
「や、大和。ヘルプヘルプ。モモ先輩に操を……!」
京は百代にマウントをとられ、マッサージをされていた。
百代たちと別れた千李と大和は二人秘密基地へ向かっていた。途中千李が大和に聞いた。
「そういえば何買ったの大和?」
「えっとね。漫画の新刊、本当はモロが行くって言ってたんだけどなんか急な用事が入ったみたいでさ」
それで買っておいてって言われたわけ、と大和は続けた。
それを聞いた千李は納得したように頷いた。
二人はその後しばらく無言で歩いていたがふと千李が大和に話題を振った。それはこれからの風間ファミリーのことについての話だった。
「それは俺よりはキャップに聞いたほうが良いじゃない?」
大和はその話題に対し無難な返答をする。確かに風間ファミリーのキャップは翔一だ。大和も意見を多く出す方であるが実質的な最終決定は翔一が下すことになっている。
だが千李は、そうじゃなくてと言いさらに大和に聞いた。
「私はただ純粋にお前の意見が聞きたいだけよ。別に誰にも言わないから話してみなさい」
そういった千李の瞳はとても真剣だった。
その瞳の力におされながらも大和は自分の意見を言い始めた。
「まぁ今はわかんないかな。でもみんな仲良くできてるんだからそれで良いと思うけど……」
「じゃあもう一つだけ聞くわね?」
千李は右手の人差し指を立て大和に再度聞いた。
「なに?」
大和が聞くと千李は話し始めた。その内容はこれからもし風間ファミリーに新しいメンバーが加わるとしてそれに反対か賛成かというものだった。
その質問に対し大和は答える前に千李の意見を聞いた。千李の意見は賛成だった。理由はもっと面白くなるかもしれないと言うことだった。
「で?大和はどうなの」
「俺はとりあえず保留かな」
大和はお茶を濁すように答えた。
その答えに対し千李は若干笑った。大和が何故笑うのかと聞くと……。
「いや。お前らしい答えだと思ってね」
と返された。
そんなことを話しているうちに秘密基地前に到着。
「おおー。久しぶりに来るとやっぱり趣があるわね」
千李は秘密基地を見上げながら言った。とそこへ秘密基地の警備をしていたロボット通称クッキーがやってきた。
「やぁ千李久しぶり。昨日はごめんね顔を出せなくて」
「あらクッキー久しぶり。今日も警備ご苦労さんね」
という千李のいたわりの言葉にクッキーは胸を張った。どこが胸かわからないがとにかく胸を張った。
「ふふん。ぼくはみんなの役に立てることがうれしいからね。千李も何か困ったらいつでも言ってよ。そのときは………」
言いかけるとクッキーが変形を始めた。
「………この私が切り刻んでやろう」
クッキーはクッキー2となりライトセイバー(?)を構えた。
それを見た千李は拍手をしながらクッキー2に告げた。
「おお~。相変わらず何がどうなってんのか全然わかんないけど頼もしいわね。じゃあクッキーそろそろ行くから警備よろしくね」
「うむ。私に任せておけ。ズェア!!」
そういうとクッキー2は変な掛け声で素振りを始めた。
千李たちはその横を素通りしそそくさと秘密基地へと入っていった。
千李たちはビルの五階に到着した。
「おお~。もっとごちゃってるかと思ったけど以外に綺麗になってるわね~」
「そりゃあまぁクッキーが綺麗にしてくれてるし」
なんでもありねクッキー、なんてことを言いながら千李は壁に立てかけてあるマットレスを敷くとその上にダイブした。
「ちゃんとこれも手入れしてあるわねー。よかったよかった」
「千李姉さんの特等席だからね。クッキーもたまに雑菌とかダニ取りとかしてたよ」
「ん~。この古ぼけた感じがまたイイ~」
……聞いてないし。
まぁそんなところが千李姉さんか。大和は苦笑しながらマットレスの上でゴロゴロしている千李を見ているととたんに千李が止まった。
どうしたのかと大和が千李を覗き込むと千李は寝てしまっていた。
「本当に千李姉さんはよくねるなぁ」
大和が一人ごちると不意に千李の手が大和の首筋に当てられ一気に引き寄せられた。千李はそのまま大和をその豊満な胸の中に収める。しかも力加減が絶妙で苦しくない程度に抱きしめられてしまっていた。
抜け出そうとバタバタともがく大和であったが、千李が離す様子もないことを悟ると動くのをやめた。だがそれにより急激に眠気が襲ってきてしまい大和は千李の胸の中で眠りについてしまった。
「大和そろそろ起きなさい」
大和は自分の名を呼ばれてはっと目を覚ました。
見上げると笑顔の千李が目の前にいた。
「お、おはよう。千李姉さん」
とりあえず大和は千李に挨拶してみた。
「ええ。おはよう、それでそろそろ起きてほしいのだけれど?」
千李が言うが早いか大和は飛び起き顔を真っ赤にして謝罪した。
「ご、ごめん!俺どれくらい寝てた?」
「謝らなくてもいいわ、弟分の可愛い寝顔が見れたし十分よ。時間はそうね今6時だから30分くらいかしらね」
千李は携帯を取り出しながら大和に言った。
対する大和はそんなことではなかった勢いで時間を聞いてしまったがそんなことは今はどうでもよかったのだ、今時分は姉貴分の人の胸を枕代わりに寝てしまっていたのだ。しかも名前が呼ばれるまで気づかないほどの熟睡をしてしまったことに顔から火が出そうだった。
……それにしても柔らかかったな…じゃなくて!
大和は先ほどまで自分の顔があったところの柔らかさを再確認していた。
そんな風にあたふたしていると千李が吹き出した。
「アハハッ。まったく大和お前は本当に可愛いわ。普段クールに構えているところからのギャップもなかなか激しいしおもしろいわー」
ひとしきり笑い終えると千李はマットレスから腰を上げ壁に立てかけると大和の方に向き直った。
「さてじゃあ帰りましょうか。そろそろいい時間だしね」
大和を見ても今は先ほどまでよりはあわてておらず少し落ち着いてきている。
「そ、そうだね。じゃあ帰ろうか」
だが若干声が上ずっていた。
そして二人は秘密基地を後にした。
結局島津寮まで来ると大和も秘密基地でのあたふた加減がうそのように元に戻っていた。
「さて、じゃあまた明日ね千李姉さん」
「ええ。また明日。―――あと大和?」
大和が玄関の扉を開けようとしたとき千李が後ろから声をかけた。
千李の声に大和が振り向くと千李は一言こう告げた。
「寝言も可愛かったわよー」
そういうと千李はその場からあっという間に姿を消した。おそらく縮地での高速移動だろう。
残された大和は一人呆然としたあとその場にガクッと膝をつきへたり込み静かにつぶやいた。
「………やっちまった」
今日もドタバタとした一日が終わった。
一人の少年に若干の心の傷を残しながら。
後書き
以上でございます
大和の寝言とはなんだったのかそれは私もわからない。
感想・アドバイス・ダメだし何でもお待ちしております。
サブタイってこれでいいのかな…
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