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ソードアート・オンライン ~白の剣士~

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流星の声が聞こえるとき

 
前書き
新スキル登場!

行ってみよー! 

 
「クロス・・・オーダー!」

シオンがそう言うと今まで持っていた剣とは別にもう一本の剣が現れた。その剣は鍛冶屋リズベットによって作られた“リュミエール・アルモニー”であった。
つまり今のシオンはキリト同様、剣を二本同時に持っていることになる。これがどういう意味を指すかは誰もが分かることだ。

「ハァァァァッ!!」

シオンはキリトと共にグリームアイズの攻撃を弾き、構えた。

「スターバースト・・・」

「・・・ストリーム!」

二刀流上位剣技《スターバースト・ストリーム》が悪魔に炸裂する。キリトが右、シオンが左からたたみかける。しかし、グリームアイズの何発かの攻撃がキリトに当たり、キリトのHPが残り少なくなっているのがシオンには見えていた。

『クソッ!このままじゃキリトが・・・。俺はまた、大事な仲間を守れないのかよ!もっと・・・』

「もっと速くだ!!」

つぎの瞬間、シオンの体から白銀のオーラのようなものか輝きだした。

「うぉぉぉぉあああ!!!」

そしてシオンは勢いよくグリームアイズに突っ込んだ。しかし先程とはあきらかに動きが違っていた。
型にはまらないトリッキーな動き、それでもどこか見るものを魅了する華麗な剣さばきその姿はまるで夜空を(かけ)る・・・。

「“流星”・・・」

アスナは思わずそう言ってしまった。



昔、俺はこんなことを言った。

『まだ見ぬ空の果てには何が輝いているのだろう』と、

それに対してある人はこう言った。

『きっとなにも輝いていないだろう』と、

しかし次に言った言葉は俺の心のなにかをくすぐるものだった。

『だが、それは現時点でのものであり、これから何がそのまだ見ぬ空の果てで輝くかは分からない。それがもし君の心ならば、それがどう輝くかは君次第である』と、

そして俺は見つけた。その輝かせるものを・・・。



「シューティングスターバースト・レクイエム!!」

シオンが放った一撃はグリームアイズの胸部にクリティカルヒットした。そして、グリームアイズのHPが0になると、グリームアイズは効果音と共にガラス片となって飛散した。

「はぁ、はぁ、終わった・・・の、か・・・?」

シオンはフィールドの床に倒れこんだ。どこからともなく声が聞こえたが、シオンの意識はそのまま落ちていき、暗転した。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

シオンが目を覚ますとそこは真っ白な何もない空間だった。

「あれ?ここ、どこだ?」

辺りを見回しても何もないただ白い空間だった。

「まさか俺、死んだのか?いやでもHPはちゃんと・・・」

とはいっても今はウィンドウもなにも写っていないため確認のしようがない。

『いや、君は生きているよ』

すると、何処からか声がした。

「誰だ?」

『ここは君の精神のそこにある世界。そして私は君の心の声のようなものかな?』

「心って自立して喋るんだな。で、その俺の心が何のようだ?」

『君と話がしたくてね、どうだい?』

「まあ、構わんが・・・」

『ありがとう。では、』

そう言ってシオンの目の前に一人の青年が現れた。その姿はシオンとは対照的な姿だった。白い髪、透き通った瞳に銀縁のメガネ、しかし着ていたのは黒いシャツとズボンだった。

「この姿で出てきたのはいささか久しぶりだな」

「俺とはまったく違うな。顔はそっくりなのに」

「ハハハ。そうだね今の君と比べれば大分違うかな。さてシオン、君に聞きたいのだが」

「なんだよ?」

「君はこれからも仲間を守れる自信はあるかい?」

シオンの心は真剣な眼差しで聞いてきた。
それに対し、シオンが出した答えは、

「当然だろ。俺はそのためにあの力を使ったんだからよ。お前も俺の心なら聞こえただろ?もう、誰も死なせるわけにはいかねーよ」

シオンの心はそれを聞いて笑みを浮かべた。

「それを聞いて安心したよ」

するとシオンの横に扉が現れた。

「さあ、そろそろお別れだ。話せてよかったよ」

「そうかよ、俺も話せてよかったよ」

シオンはドアのぶに手をかけた。

「そうだ、そういえばお前、名前あるのか?って、俺の心に聞いてもしょーがないか」

「そうだね、あると言えばあるかな。でもここはこう名乗ろう。“アルモニー”と」

「そうか、じゃあなアルモニー」

「ああ、また会える日を楽しみにしてるよ」

「来るのかねー。そんな日が」

そう苦笑いしながらシオンは扉を開けた。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

「・・・くん!シオン君ってば!!」

シオンが目を覚ますとそこには今にも泣き出しそうなアスナの顔があった。さらに見回すと隣に丁度目をさましたキリトがいた。

「いててて・・・」

「頭いってー・・・」

アスナはすごい勢いで二人に抱きついた。

「バカッ・・・!無茶して・・・!」

「・・・あんまり締め付けると、俺のHPがなくなるぞ」

「つーかあそこで無茶しないでどこで無茶するんだよ」

シオンは呆れながら言った。そこにクラインが歩み寄ってきた。

「コーバッツと、あと二人死んだ・・・」

「・・・ボス攻略で犠牲者が出たのは、六十七層以来だな・・・」

「こんなのが攻略って言えるかよ。コーバッツの馬鹿野郎が・・・。死んじまっちゃ何にもなんねえだろうが・・・」

クラインは頭を左右に振った。

「そりゃあそうと、オメエら何だよさっきのは!?」

「・・・言わなきゃダメか?」

「ったりめえだ!見たことねえぞあんなの!」

キリトがシオンを見ると、シオンはため息をついた。そして目で『言ってやれ』と伝えた。キリトが頷くとクラインたちに言った。

「エクストラスキルだよ、《二刀流》」

キリトがそう言うと周りからはおお・・・というどよめきの声が周りに流れた。

「てことはシオンもか?」

「いや、俺のは別物だよ。《クロス・オーダー》って言うんだがな」

「しゅ、出現条件は」

「解ってりゃもう公開してる」

「情報屋のスキルリストにものってないってことはお前ら専用ユニークスキルってことじゃねーか!ったく水臭ぇなあキリトにシオン。そんなすげえウラワザ黙ってるなんてよう」

「解ってりゃ隠したりもしねーよ。心当たりがどうも無くてな。一年くらい前にスキルウインドウにいきなりあったからな。キリトも大体そのくらいだろ?」

「ああ。こんなスキル持ってるなんて知られたらいろいろあるだろ、その・・・」

クラインが深く頷いた。

「ネットゲーマーは嫉妬深いからな。オレは人間ができてるからともかく、妬み嫉みはそりゃああるだろうなあ。それに・・・」

そう言ってクラインはキリトとシオンに抱きついているアスナを見て、ニヤニヤと笑う。

「まあ、苦労も修行のうちと思って頑張りたまえ、若者よ」

「勝手なことを・・・」

「まったくだ。俺らより年上ってだけなのによ・・・」

クラインは軍の連中にいろいろ言って、さて、といった感じ腰に手を当てた。

「オレたちはこのまま七十五層の転移門をアクティベートして行くけど、お前らはどうする?」

「いや、任せるよ。俺はもうヘトヘトだ」

「俺からも頼む。しばらく動けそうにない」

「そうか。気をつけて帰れよ」

クラインは再び仲間を連れて部屋の奥の大扉へと歩いていく。扉の前で立ち止まるとクラインはシオンたちに向かって振り向いた。

「その・・・キリトにシオンよ。おめぇらがよ、軍の連中を助けに飛び込んでいった時な、オレぁ・・・なんつうか、嬉しかったよ。そんだけだ、またな」

そう言ってクラインは扉を開けて仲間と共に扉の向こうに消えた。

『さて、俺もそろそろ戻ろうかな。っと、その前に』

「おい、アスナ。そろそろどいてくれ」

「怖かった・・・君たちが死んじゃったらどうしようかと・・・思って」

その声は明らかに震えていた。

「何言ってんだ、先に突っ込んで行ったのはそっちだろう」

「ほんと、無謀にもほどがあっぞ。お前の特攻は」

「私、しばらくギルド休む」

「や、休んで・・・どうするんだ?」

「君たちとパーティー組むって言ったの・・・もう忘れた?」

キリトはその言葉に固まり、戸惑っていた。それに対してシオンはため息をついていた。

『まったく、何考えてんだか・・・だが、』

シオンはキリトに苦笑しながらアイコンタクトをした。キリトもそれを見て短く答えた。

「・・・解った」

その言葉に肩の上でアスナが小さく頷いた。
そこでシオンは立ち上がった。コートをパンパンと叩くと、伸びをしてキリトに向き直った。

「んじゃ、俺もそろそろ帰るわ」

「あ、ああ。気をつけな」

「ああ、ん?」

そこで帰ろうとしたシオンが急に立ち止まった。

「どうした?」

「いや、なんかすげー大事なことを忘れてるよーな気がしてさ。何だったかな~」

そう言ってシオンは考えを巡らせた。今日起こったことを頭のなかでプレイバックする。

『えーっと、まず昨日キリトに約束されて、その約束場所でキリトとど派手に登場したア)スナに会った。そんでその直後に(ストーカーの)クラディールが転移門から現れ、アスナをギルド本部に無理やり連れ戻そうとしたが、キリトに止められてそこからそんでその後口論となり、それから・・・」

そんな考えを巡らせていると一つの答えにたどり着いた。しかし、その答えはシオン自身今になって後悔している。

「あああああああ!!!」

シオンがあげた大声に二人はかなり驚いた。

「ど、どうしたの!?」

「お、おいシオン!?」

「ギルド・・・」

「はっ?」

「勢いで言ってしまった・・」

「何を?」

シオンの言葉にキリトとアスナは首をかしげている。

「俺が・・・血盟騎士団に入ってやるって約数時間前に言ったこと、覚えてるか?」

「「あっ・・」」

そう、そのシオンが忘れていたこととはここを攻略する前にシオンがクラディール言った一言だった。

『俺が血盟騎士団に入ってやるよ。それで、俺がアスナの護衛をやってやる』

あの言葉をシオンは思い返すと頭を抱えた。

「どうしよー。向こうは絶対その気だろうな~」

その後しばらくシオンが頭を抱えながら悩んだのは言うまでもない。
 
 

 
後書き
次回はできれば《クロス・オーダー》の説明が出来ればなと思っています!

では、また!( ̄∇ ̄*)ゞ 
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