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メフィストーフェレ

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第二幕その四


第二幕その四

 するとであった。声がさらに聴こえてきた。ファウストはその声を聴いてまた言った。
「この言葉は」
「ドイツ語です」
「そうだな」
 それは彼にもわかることだった。
「間違いなく」
「その通りです」
「しかしドイツ語だけではないな」
 多くの言葉がありそれを聴いているうちにわかったのである。
「フランス語にイタリア語、英語にスペイン語もあるな」
「言語にもお詳しいのですね」
「若い頃に学んだ」
 そうだというのである。
「ラテン語から学べばそれで簡単に収められる」
「そうですね。まずはラテン語ですから」
「うん。さて」
「さて?」
「この歌声は魔女達のものか」
「その通りです」
 その聴こえてきた女達の歌声について話すメフィストだった。
「ここで魔女の宴が開かれますので」
「そうだな。この山こそは」
「ですから」
「それに他の声も」
 ファウストはそのことにも気付いた。
「あるな。これは先程の言葉も入っている」
「私の同志達もいます」
「そうなのか」
「登ろう」
「そうだ登ろう」
 ここで魔女達の声が聴こえてきた。その不気味な歌声がである。
「そして魔王の下へ」
「魔女と悪霊の宴の夜は今はじまったばかり」
「それでは今から」
「この長い夜を楽しもう」
 こう歌っていた。二人もその中に入るのだった。
 その中で今度は魔法使い達の声が聴こえてきた。
「この楽しい宴を」
「心から楽しもう」
「赤子の丸焼きや血のワインでも出るのか?」
「そんなものはありませんが」
 メフィストはそれは否定した。
「普通に御馳走とワインを楽しみます」
「そういったものはないのか」
「ないです」
「そうか。話に聞いていたことと違うな」
「あれは噂です」
 メフィストはこう言ってそれを否定した。
「天使達が流した嘘です」
「そうだったのか」
「それでなのですが」
「うん、この宴だね」
「ここです」
 ある開けた場所に来た。そこに多くの者達がいた。
 悪魔もいれば魔女達も魔法使い達もいる。多くの者達が黒い服を着てそこに集まっていた。
「今こそはじまった」
「この宴が」
「さあ歌おう」
「そして飲もう」
「さて」
 メフィストが周りに対して告げた。
「我が僕達よ」
「おお、メフィストーフェレ」
「こちらに来られたのですか」
「今宵の宴に」
「そうだ」 
 まさにそうだと返すのであった。
 
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