ヘタリア大帝国
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TURN71 ベルリンへその九
「お気遣いなく」
「すいません、そこまでは考えられませんでした」
「私達のことですから。それに」
「それに?」
「一人では気付かないことも多くの人がいれば」
「気付くんですね」
「はい、そうです」
こうエルミーに言うのだった。
「一人より皆です」
「我がドクツでは」
ファンシズムの国だ、それではだ。
「全ては総統が考えられ決定されてそのうえで」
「皆が動くのですね」
「ドクツの全てがです」
「まさにドクツの頭脳なのですね」
「その通りです」
「人間はそれでいいですが国家は違いますね」
この場合は日本やドイツという実体として出ている国家ではない。日本帝国やドクツ第三帝国というシステムとして存在している国家だ。
そのシステム、領土として存在している国家はどうかというのだ。
「頭脳は幾つもあり分担して行う方が」
「いいこともあるのですね」
「ドクツの敗因は。お言葉ですが」
日本はこう前置きして再びエルミーに話す。
「レーティア=アドルフ総統に全ての負担がかかったせいで」
「過労で倒れられてその間に手遅れになったからですね」
「はい、そのせいです」
こうエルミーに話すのだった。
「おそらくモスクワの敗北もあの方がご健在なら」
「すぐに修理や補給、敵兵器への対策を出されて」
「再びモスクワ攻略となり成功したでしょう」
「総統閣下は相手がわかれば必ず攻め方を見つけられる方です」
これがレーティアだ、彼女の天才は軍事にも及んでいるのだ。
だから相手が彼等は知らないが大怪獣ニガヨモギであっても攻め方を出す、しかしその彼女がいないならばだった。
「ですがそれも」
「あの方がおられればこそですから」
「そういうことになりますね」
「ドクツは確かにあの方がおられます」
人類史上最高の天災であるレーティア=アドルフがいる、このことは間違いない。
「しかしあの方に全てを頼るというのも」
「今回の事態を招くことですね」
「そう思います」
日本はこうエルミーに述べたのである。
「ドクツの弱点です」
「そうなりますか」
エルミーも深刻な顔で頷いた。彼女も日本が言うことが理解できその通りだと思ったからだ、そしてそのうえでだった。
ドクツの方角を見てこう日本に述べた。
「では。総統閣下をお救い出来れば」
「その時はですね」
「このことを総統閣下にお話したいと思います」
「そうして下さい」
「ドクツには人材も多いです」
全てレーティアが見出した人材だ、彼女は人を見る目もあるのだ。
「その方々のお力を得られれば」
「総統の負担もかなり減ります」
「そうさせて頂きます」
こうした話もしながら彼等はベルリンに向かう、彼等は密かに遠いその星域に向かっていた。殆ど誰も知らないうちに。
TURN71 完
2012・12・5
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