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真剣で武神の姉に恋しなさい!

作者:炎狼
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風間ファミリー集結ともう一つの再会

 
前書き
更新遅れて申し訳ありません。
リアルの方がかなり忙しかったので

今回はちょっとだけ千李の過去が見えます。
ではどうぞ。 

 
 千李たちが風呂と夕食を終え、しばらく経ち時刻は0時をまわっていた。

 千李は一人川神院の屋根の上に立っていた。

 夜も更けていることもあってか聞こえるのは微かに吹く風の音だけだ。

 その中で千李は大きく深呼吸をし呟く。

「…うん。やっぱり川神の空気はいい。今更だけど帰って来た感じがする。でも…」

 千李はいまだに多くの明かりが灯っている場所に目を向けた。
 
 そこは川神の社会の吹き溜まりともいえる、親不孝通りだった。

「あそこはいつ見てもピリピリしたものが、動いてる感覚があるのよね。あの子達元気にしてればいいけど…。まぁでもいらない心配かもね。っとそろそろ寝ないと明日に響くわね」

 そういうと千李は屋根から降りて自室に戻り布団に入った。



「つまらない…。もっと強いやつらと戦いたい」

 一人の少女が呟いた。

 その瞳には光が灯っておらず、まともな生気さえ感じられない。

「それは何故じゃ?」

 老人が聞く。

「理由なんかない。私はただもっと強いやつと戦ってちからをつけたいだけ」

「では、力をつけてお前はどうする?」

「そんなことどうでもいい。私はただ…だけ。すべてを…だけなんだから」

「なぜ?」

「理由はない。私はただ…

       …コワシタイダケナンダカラ…」

 それは昔の記憶。

 千李がまだ小さい頃の記憶だった。



 
「千姉様!起きて!そろそろ朝ごはんになるから」

 体をゆすられ千李は目を覚ました。

 千李は上半身を起こすと起こしに来た一子の頭をなでながらいった。

「起こしてくれてありがとう一子」

「ふお~…、やっぱり千姉様のなでなでは気持ちいわ~。ってそうじゃなかった!じゃあ私朝の鍛錬に行って来るわねまた後でね千姉様!」

「ええ。気をつけてね」

 千李は一子を見送ると少し俯いた。

「まさかあの時のことを夢に見るなんてね…」

 思い出していたのは先ほどの夢、というより昔の記憶。

「あーもう!朝から嫌なこと思い出したわね…。最近見てなかったから完全に油断してたからダメージでかいわ~」

 言いながら布団から出ると制服を引っつかみ、パパっと着替えると朝食に行くため廊下に出ると、ちょうど百代と鉢合わせた。

「おはよう姉さん。よく眠れたか?ってなんか顔色悪くないか!?」

「おはよー。いやね~…、私のガキのころの事思い出しちゃってね。鬱なだけよ気にしないで」

 千李のあまりのテンションの低さに百代はたじろぎながら千李を朝食誘った。

「そ、そうか。ならいいけど、じゃあ朝飯に行こう」

「うーい」

 千李は重い足取りのまま朝食に向かった。


 朝食を終えると千李と百代は学校に向かった。途中で他のメンバーとも合流した。

 メンバーの中には昨日は不在だった翔一の姿もあった。

「なぁ千李先輩!どんなところ旅してきたんだ!?教えてくれよ」

「ええ、いいわよ。あとみんなにお土産もあるから今日の夜に島津寮に行くわ。そのときにでも話そうかしらね」

「本当か!?いや~今から楽しみだな~」

 翔一は千李の言葉にとても喜んでいた。いずれ世界に旅に出たいといっていた翔一だ、世界を旅してきた千李の話が聞きたいのも無理はない。

「姉さん?お土産ってなんだ?」

「それを言ったら面白くないでしょ?夜まで待ちなさいって」

「むー」

 それを聴いた百代は若干むくれたが千李はそれを無視し、大和に聞いた。

「大和。一子はまだ来てないのか?」

「大丈夫、この犬笛で呼べばくるから」

「どんな教育をしたらそれでくることになるの?お姉さんは妹が心配よ」

 千李はハァとため息をつきながら眉間を押さえた。
 
「アハハ…、じゃあ呼ぶよ?」

 大和が犬笛を吹くと周囲にその音が染み渡っていく、少しすると一子が駆けてきた。

「呼んだーー!?ていうか、おはよー!」

「本当にきた。大和それ後で私にも頂戴?」

 言うと千李は大和に後ろから覆いかぶさる。

 千李の胸が大和に押し当てられふにょんと形を変える。その様子を岳人や卓也もうらやましそうに見ていた。

 京は悔しがっていたが。

「千李姉さん、ちょ、離れて?」

 大和は顔を真っ赤にして千李に主張する、それに対し千李はにやりと笑い。

「はいはい。まったく本当にかわいいわね大和は」

「からかわないでよ」

 二人のやり取りを見ていた一子がやっと口を開いた。

「ねぇ!千姉様なんで呼んだの?」

「ああそうだった、ごめんね一子置いてけぼりにして。そろそろ行かないといけないから呼んだのよ」

 千李は一子に近寄ると朝のように頭をなでた。

「そうだったんだ。うん!私も鍛錬が一段楽したところだから一緒に行くわ」

「よし、じゃあ行こうかしらね」

 千李が言うとそれをさえぎるように翔一が言った。

「待ってくれ千李先輩、号令はキャップたる俺の役目だ」

「さぁ行くぜ、狂乱麗舞、風間ファミリー出陣だ!ワン子、先陣を切れ!泣く子がいれば黙らせろ!」

「任せなさい!アンタらアタシに続けーっ!」

 一子が先陣を切り仲間が全員そろい川辺を歩き始めた。

 周りから見ればただの仲良し幼馴染軍団だが、普通とは一味というよりいやなな味ぐらい違ってみえた。

 橋に差し掛かると京が口を開いた。

「ん?橋の上に誰かいるよ。こっち見てる」

「男か。…武道やってる人間だな。姉さんはどう思う?」

「でしょうねつーか道着着てるんだからわかるでしょ。それに此処にいるって事は百代への挑戦者でしょうね」

 千李の言葉に百代がそれもそうだ、とつぶやいた。

 この風間ファミリーがただの幼馴染軍団と一味違うのは主に女子が武闘派なのだ。

 するとその男性が口を開く。

「あなた方が川神百代さんと千李さん?」

「いかにも」

「え?何で私?」

 百代は手馴れた様子で応対するが千李はいきなり自分の名前が呼ばれたことに困惑していた。

「私は雲野十三。武の探求者だ。高名な川神院の鉄心先生にお相手を願おうとしたところ、あなた方のどちらかに勝てないと勝負を受けられないと」

「そういう仕組みだな」

「なんで私までやるハメになってんの?」

 千李はいまだに何故自分の名前が呼ばれたのかわからないでいるようだ。

「姉さん、少し黙っててくれ。しまらないだろ?」

「いやだって、私は何も聞いてないのよ?それなのにいきなり言われたってさ」

 いまだにぶつぶつ言っている千李に対し百代はため息混じりに言った。

「朝食のときにじじいが言ってたけど聴いてなかったのか?」

「ほんとに?全然聴いてなかったわ」

 千李と百代は挑戦者そっちのけで話あっているとそれを見ていた拳法家の男性が笑い始めた。

「フハハハ!!!川神鉄心、噂だけの男だったようだな」

「ん?」

「あん?」

 その声に百代と千李が振り返り疑問を浮かべた声を上げると男性はさらに続けた。

「そうだろう?こんな美人な女子学生二人のうちどちらかと試合しろなんて正気の沙汰とは…」

 男はじろじろと千李たちを見比べていたが突如、その顔が驚愕にゆがんだ。

「(な、なんだこの子達は…!よく見るとまったくスキがない百代さんの一見しなやかに見える体も信じられないほどに練磨されている!そしてもう一人ポニーテイルの千李さんといったか?あの子はまるで全身が研ぎ澄まされた刀のようだしかもまだ力を隠している感じがする。この俺でもわかるあの二人には絶対に勝てない。)」

「大変失礼なことを!!申し訳ない!!」

 男は自分が相対していた二人がどれだけの人物かを理解すると深々謝った。

「貴方方は武道家でありました。お手合わせを」

「…承知…ふふふ」

 百代はうれしそうにしていたが千李はそそくさと下がった。

「じゃあ私は傍観者で」

 どうやら戦うのは百代のようだ。千李は大和たちの元に戻った。

「千李姉さんいいの?」

「百代がやりたいって言ったんだから百代に任せるわよ」

「いつの間にそんなこと…」

「さっきあの人が、考えてるときにね」

 そんなことを大和たちが話していると周囲に昨日と同じくギャラリーが集まろうとしていた。

「今回も正式な死合いだ。観客を遠ざけてくれ」

 百代がいうと一子たちが動いた。

「はいはーい。今日も見せ物じゃないよー」

「見物はなし。学校行った行った」

「キャップ、前に出てくれる?」

「ん?」
 
 翔一が前に出ると昨日テレビに出たこともあってか翔一に食いつくものがおりそのスキに、百代と男が川原で対峙する。

「ふむ。まぁ勝ちは見えているけど見てみようかしらね」

 千李も一子たちと共に死合いを見ることにしたようだ。

「千李姉さん的にどうなの?あの人」

「ん?まぁ普通の人間からすれば強いと思うけど、百代からすれば全然弱いだろうね」

 千李はきっぱりと言い放つ。

 大和はその発言に苦笑いを浮かべながらいった。

「容赦ないね」

「変に擁護するより、きっぱり行った方がその人のためよ」

 二人が話していると男の悲鳴と共に男が10mほど吹っ飛んでいた。

 勝負ありである。

「さっすが、モモ姉様。ね!千姉様?」

「ええ。そうね」

 一子はうれしそうに千李にいった。

 彼女からすれば百代も千李も同じ姉で同じくらい尊敬している人物なのだそれが勝てば喜ぶのは当たり前といえるだろう。

「観客がキャップに気を取られてる隙に終わったね」

 京が言うと、川神院に連絡を終えた百代が帰って来た。

「待たせたな川神チルドレン」

「おおおおお疲れさんですアネゴ」

 岳人は震え声で言った。

「ガクト腰引けてるよ」

「ずいぶんと一瞬で終わらせちゃうのね百代?もうちょっと付き合ってあげればいいのに」

「時間もないししょうがないだろ」

「まぁそれもそうね」
 
 まぁ昨日も時間ぎりぎりで登校したのだ続けてギリギリなのは誰だって嫌だろう。

 それよりも大和たちがまたあの登校に耐えられるかどうかだが。

「じゃあガッコ行くか!今日はラジオがあるぞ。もちろん姉さんも聞いてくれ」

「はいはい」

 フルメンバーで変態の橋を通る。

「ああそうだ、お前たちに一つ言っとくべき事があったのよ」

「なに千李姉さん?」

 千李の言葉に全員が反応する。

「今週の土曜な私はいないから。ちょっと湘南に用があってね」

 湘南に行くという言葉に翔一の目の色が変わった。

「なに!湘南!?なぁなぁ千李先輩!俺も一緒に行っても…」

「ダメ」

 千李は翔一の言葉をさえぎるように断った。

 その断り方を大和たちは知っていた。千李の有無を言わさない断り方は絶対にするなということの現れである。

 その証拠に千李からはピリピリとしたものがあふれていた。

「そ、そっか。じゃあしゃーねーな」

 翔一もそれを感じ取ったのかすぐにあきらめた。

「ごめんね。ついでにお土産買ってきてあげるから」

「おう!楽しみにしてるぜ」

「そういえば千李姉さん」

「ん?」

「日本に帰ってくる前はどこにいたの?」

 大和は千李に聞いた。

 まぁ一年も空けていたのだどこに行っていたか気になるのは当然だろう。

 千李はその問いに快く答えた。

「えっとね。ドイツのリューベックにいたわ、あそこは川神の姉妹都市だし結構過ごしやすかったわね」

 千李はしみじみとした様子で語る。

「じゃあ、帰ってくるまではそこでゆっくりしてたんだ?」

「いや、ドイツ軍に仮入隊してたわね」

「は?」

 千李の言葉に大和のみならず、他のメンバーも驚いていた。

 軍にいたといわれれば驚くのは当たり前だろう。

「なんでドイツ軍なんかに?」

「いやね。なんかどっかの紛争地に行ったらちょうど助けたのが、ドイツ軍の軍人さんでね?それをドイツ軍の基地までつれてったら、そこの指揮官の中将だったかな?にやけに気に入られてね。それで良かったら来ないかって言われたから。旅の終わりぐらいにいい経験かなっておもって、仮入隊してたってわけよ」

「…紛争地帯に行ったた事にもびっくりだけどね」

 大和は千李の言葉に内心冷や汗を書いた。

 いくら千李が強いからといっても紛争が行われているところに行くとは考えていなかったからである。

 それでも普通に帰ってきてしまうあたりがバケモノじみてはいるが。

「いやーでも、軍ってのも結構面白かったわよ?」

 そんなことを話している千李たちから後ろに約30メートルに一人の女子生徒がいた。

「はぁ…楽しそうだなぁ。面白い人たちですよね松風」

 女子生徒は携帯のストラップである黒い馬に話しかけた。

「面白いというか、おかしいというか。微妙なラインじゃないかな?」

「こらそういうことを行ってはダメです。…同じ寮ということで…仲間に入れないかな…」

 女の子が落ち込んだ様子でつぶやくとまたしてもストラップが声を上げた。

「頑張れまゆっち!まゆっちならできる!フレキシブルな考え方で行くんだぜ?」

 彼女の名前は黛由紀江、川神学園一年生。只今友達募集中である。

 ……ふーん後ろの子もかなりの使い手ね。話してみたいけどこの状態じゃ無理ね。

「ねえ大和?」

「何?」

「後ろの子もしかして島津寮の子?」

 千李が聞くと大和は少し後ろを振り向いた。

「え?ああうん。そうだよ。あんまり話したことないけど」

「ふーんそう。まぁいいわじゃあさっさと行きましょう」

 みんなで談笑しながら千李たちは歩いていくのであった。

 その後ろ姿を見る一人の男がいた。黒いシャツをきた短髪の男性だった。

「昨日のでけぇ気が川神院の方からしたと思って来てみりゃあ…。まさかテメェだったとわな千李。…クク、こりゃあおもしれーことになるぜ」

 男はにやりと笑った。



時間は経ち昼休み。

「ふあ~。また良く寝た」

「…姉さん。よくそんなに寝ていられるな」

 さすがの百代も呆れ顔で千李を見た。

 だがそんな言葉とは裏腹に千李は軽く答えた。

「極力寝てた方が体力も消費しないし、体にいいのよ~」

「そんなもんか。おっと、そろそろラジオの時間だ行ってくる」

 百代は昼休みのラジオのために席を立った。

「ん~。いってらっしゃーい」

 千李は百代にひらひらと手を振った。

 そんな千李に一人の女性とが話しかけた。

「千李今日は私と昼食を食べるで候」

「お~。ユミじゃない。ていうかまだそのキャラ守ってたんだ」

 話しかけたのは矢場弓子。千李たちと同じ3-F所属の友達だ。

「な!?こ、これはキャラ作りではないで候!私はいつもこれで候!」

 いきなりのキャラ作り発言に弓子はかなり動揺した。

 そんな弓子の様子を笑いながら千李は続ける。

「はいはい。そんなに無理しないで、私とユミの仲でしょ?」

「むぅ。…はぁ、やっぱりセンちゃんには敵わないなぁ。いつから気づいてたの?」

 千李に完全に見抜かれているとわかったのか弓子は素の状態で話し始めた。

「お前と最初に会ったときから。ずっとこの子おもしろいなぁって思ってね」

「もー。そんな風に思ってたの?」

「フフ、ごめんね」

 二人は仲良く向かい合いながら話す。

 弓子が弁当を広げると、千李も買ってきたパンを取り出した。

「ところでさ、ずっと眠ってたみたいだけどそんなに疲れてるの?」

 弓子が千李に疑問を投げかけた。

「いや、ただまともに授業受けるのが面倒なだけ」

「そんなのでよく、1年の頃に2年の過程まで終了出来たよね」

「あの時は目標があったからね」

「やっぱりすごいなぁセンちゃん」

 弓子はしみじみと千李を賞賛した。

「ユミだって、今は弓道部主将でしょ?頑張ってるじゃない」

「う~ん。そうなかな。あ!そうだセンちゃんにお願いがあるんだけど」

「ん?」

「京さんにできればもう少し部活にくるように言ってくれないかな?」

 その問いに千李は苦笑いしながら答えた。

「うーん。たぶん言っても変わらないと思うけどね。それは京の問題だし、京が変わらないことにはどうにも」

「そっかぁ。うん、私も京さんに来てもらえるようにもうちょっと声かけてみる」

「そうね。まぁ私からも機会があれば言っとくわ」

「ありがとね、センちゃん」

 二人はそのまま談笑しながら昼休みを過ごした。



 放課後になり千李は帰り支度を整え、百代と共に帰ろうと声をかけた。

「百代。帰りましょう」

「ああっと悪い姉さん。今日はどうしてもはずせない用があるんだ」

「そう。じゃあ仕方ないわね。今日は一人で帰るとするわ」

「ああ、悪いな姉さん」

「いいわ。いってきなさい」

 百代が駆け出していくのを見送ると、千李もまた教室をでた。



 学校を後にした千李は一人川原を歩いていた。

「あーあ。なんか暇ね」

 一人で呟きながら、千李は辺りを見回した。

 すると一人の人物が目にとまった。

 その人物は淡い青の髪で千李と同じくらい長身の女性だった。

 その女性は一人で川原に寝そべっていた。千李が近づくとただ寝そべっているわけではなく、寝息が聞こえてきたため完全に寝ていたことがすぐにわかった。

「すぅ…すぅ…」

「まったくこの子の眠り癖は相変わらずね」

 千李は女性に近づくと軽くゆすった。

「おーい。辰子こんなところで寝てると風邪引くわよ。板垣家のダブルドラゴンの片割れが川原で寝て風邪引きましたじゃ笑いもんよ?」

 そうこの女性、板垣辰子こそ千李の会いたがっていた人物の一人である。

「ん~…。ふぁ~。あれぇ?センちゃん?」

 辰子は目をこすりながら声のした方に向いた。

「ええ。久しぶりね辰子元気にしてた?」

「うん。元気だったよ~。それにしてもセンちゃん一年もどこに行ってたの?寂しかったよ~」

 辰子はそういうと千李に抱きつき、胸に顔をうずめた。

「おっとと。ごめんね辰子。ちょっと世界を旅しててね」

「へ~。大変だったんだね~」

「ええ。そうね。それより亜巳さんや天使なんかも元気?」

「うん、みんな元気だよ~。師匠もね~」

 1年前と変わらないスロウなペースで離す辰子に微笑した。

「釈迦堂さんも相変わらずね。よかったよかった。じゃあ私これからちょっと用があるからもう行くわね」

「え~。もう行っちゃうの?」

 辰子は寂しそうに駄々をこねる。

「近いうちにそっちにも顔出すから。そのときいっぱいお話しましょう」

「うん。絶対だよ~」

「ええ。絶対行くわ。だから今日はこれでね」

「うん。ばいば~い」

「またね」

 辰子と別れまた一人で川原を歩いている千李はおもっていた。

「(辰子また強くなってるみたいだったわね。釈迦堂さんの鍛え方がいいから?でもあの子は川神院でじじい達に指導してもらえばもっと高みまでいけると思うわね。でも本人にやる気がないから難しいかもしれないわね)」

「でもまぁ元気そうで良かった良かった」

 そういった千李の足取りは軽くあっという間に川神院に到着してしまった。

 自室に戻った千李が自分の机の上で見たのは一通の手紙だった。

「ん?なんだろこれ。なになに。今晩6時に島津寮に来られたし。まぁ行くって言ったから行くけどさ…。なんで6時?まいっか」

 千李はそういうと制服を脱ぎ捨て。私服に着替え準備を整えた。
 
 時計はそろそろ5時45分になろうとしていた。

「さて時間はっと。もうそろそろね、じゃあ行きますか」

 千李はお土産が入ったバックを担ぎ島津寮へと向かった。 
 

 
後書き
はい。今回は以上でございます。
日常回ということなのであまり面白くなかったかもしれません。
ですが一応これも必要な回なのでご容赦を。

それと今回は進行するに当たり原作部分を使わせていただいております。

感想、ダメだし、アドバイスなどございましたらよろしくお願いします。

7月6日修正 
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