インフィニット・ストラトス 黒剣の死神と謳われた天才
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VTシステム 前編
Side:一夏
「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」
「そりゃあなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」
試合開始まであと五秒。四、三、二、一、開始
「「叩きのめす」」
俺とラウラの言葉は奇しくも同じだった。
試合開始と同時に俺は瞬間加速を行う。この一手目が入れば戦況はこちらの有利に大きく傾く。
「おおおっ!」
「ふん……」
ラウラが右手を突き出す。-来るAICだ。直接闘ったセシリアと鈴からAICは空間を制御しているらしい。AICを破る方法を考えたが結局、確実な手段でAICを破る方法は思いつかなかった。
それなら、手段は一つ。ー意外性で攻める。
「くっ……!」
しかし、その程度の戦略など読んでいたのだろう、俺の体は腕を始めに、胴、足とAICの網に捕らえられる。押しても引いても動かない。見えない腕に掴まれたかのように、身動き一つ取れなくなってしまった。
「開幕直後の先制攻撃か。わかりやすいな」
「……そりゃどうも。以心伝心で何よりだ」
「ならば私が次にどうするかもわかるだろう」
ああ、わかりたくないが、想像はつく。ガキン!と巨大なリボルバーの回転音が轟き、白式のハイパーセンサーが警告を発する。
『敵Isの大型レール砲の安全装置解除を確認、初弾装填ー警告!ロックオンを確認ー警告!』
慌てなよ。何も一対一って訳じゃないんだ。ーな?
「させないよ」
シャルルが俺の頭の上を飛び越えて現れる。同時に六一口径アサルトカノン≪ガルム≫による爆破弾の射撃を浴びせた。
「ちっ……!」
シャルルは即座に銃身を正面に突き出した突撃体勢へと移り、左手にアサルトライフルを呼び出す。光の糸が虚空で寄り集まり、一秒とかからず銃を形成した。
これこそシャルルの得意とする技能『高速切替』である。事前呼び出しを必要としない、戦闘と並行してリアルタイムの武装呼び出し。それはシャルルの器用さと瞬時の判断力があってこそ光る。
「私を忘れてもらっては困る」
ラウラへの追撃を遮るように打鉄を纏った箒が現れる。防御型ISである証明とも言うべき実体シールドを展開し、銃弾を弾きながらシャルルへと斬りかかった。
Side:真理
「シャルル・デュノアか、いい選手だな」
「どうした、真理。シャルル・デュノアに興味でも出たか?」
俺がシャルル・デュノアを興味深々で見ていると、満月さんが不思議そうに見てきた。
「エェ、シャルル・デュノアはなかなかの操縦技術に、高速切替を持っていますからね。あの中では、一番のスカウト候補ですよ」
「そうか。しかし、ラウラ・ボーデヴィッヒは入れないのか?彼女の方が実力的に上だと想うが?」
確かに、満月さんのゆうことも分かる。彼女は恐らく一年の中でも一番強いだろう。だが、彼女は他と違って、協調性が無い。
「彼女は、協調性が欠けています。そんなのは、いくら強くても、邪魔になるだけだ。」
俺がそういい放つとボーデヴィッヒはパートナーである篠ノ乃箒をワイヤーブレードで投げ飛ばした。よくあんなので軍の部隊長が勤まるな!
「ほら、今だって、パートナーを投げ飛ばしましよ。あんなの役に立ちません。」
「それもそうだな。」
「社長、満月隊長、静かにしてください」
俺らがしゃべっていると横からモニカさんが小さい声で言ってきた。相変わらず真面目だなこの人は
「ハイハイ。あ、篠ノ乃がやられましたね。」
「これで、二対一だな、ボーデヴィッヒは終わったな」
織斑が零落白夜でデュノアの動きをAICで止めているボーデヴィッヒに斬りかかる。ボーデヴィッヒはそれをかわしたが、織斑は今のでAICの弱点に気ずき始めたみたいだ。
「しかし、社長。ボーデヴィッヒ選手の機体にはもしかしたら、“あれ”があるかもしれませんよ?」
モニカさんが小さいな声で耳元にしゃべってきた。
「確かにそうですが、それは学園側に任せましょう。めんどくさいし」
俺がそう言うと、ズガンッ!!!と重たい音が鳴り響いた。アリーナの方を見ると、デュノアがボーデヴィッヒにシールドピアスを放ったみたいだ。うわ~しかも、連発し始めたし、エグいわ。四発目を打ち込んで、ボーデヴィッヒのISは強制解除の兆候を見せた始める。ーだが、次の瞬間異変が起き始めた。
「ああああああっ!!!」
ボーデヴィッヒは身を裂かんばかりの絶叫を発しながらISが通常ではありえない黒いドロドロしたものになって、ボーデヴィッヒを飲み込んでいった。
「おい、真理あれはまさか!」
「エェ、そのまさかですね」
俺達はあれを知っている。あれはVTシステム。世界が禁じられたシステム。シュヴァルツェア・レーゲンだったものは、『あるもの』に変貌した。
「まさか、『ブリュンヒルデ』織斑千冬の暮桜になるとは、コレはコレで面白いな」
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