なのは一途のはずがどうしてこうなった?
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第二十五章 数の子の一部と片鱗
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アブノーマルプレイが好みと自己申告したメガネと顔にかけて欲しいと自己申告した狙撃者。
ああ、そうか。
こいつら、バカなんだな。
「聞き違いと思ってやる」
「いえいえ~、私は縛られて、目隠しされて、強引にされてみたいです」
「顔に、塗りたくって欲しい」
狂人。
変態女。
どの呼び方が正しいか考察するまでもない。
「公然わいせつ罪を追加してやるから、少し黙ろうか……」
「う~ん。痺れるわ~。貴方のその冷たい目! 私のご主人様に相応しいですわ!」
「期待。生臭いと聞く。興味がある」
発情期なのだろうか。頭がどうかしている。
作られた人間とは思えないが、人間とも思いたくない。
「チッ!」
不覚。
気を取られすぎた。
どこからとも無く、高速で割り込まれた。
フェイトの最高速度と同じ位かよ!
足首と手首に小さな翼のようなモノが確認できた。
現れたと同時に、バインドを砕かれた。
かなりのやり手だ。
3対1か。実力の程は、紫髪のショートカットは手強いだろう。メガネは実力が不明。狙撃者は恐らく砲撃系だ。なのはと同等の砲撃を撃てるとしたら手こずりそうな相手だ。
3人ともSランクと想定する。
手の内を晒したくないが、想定Sランク3人との対戦をするならば、出すしかないだろう。
「ほう……。私達三人を相手に臆す事なく、対峙するか。その心意気、悪くない。優しく犯してやろうじゃないか」
「あーん。その目もいいわね!」
「濡れる。良い気迫」
真剣に、戦うのやめようかなぁ。
「お前ら……、戦う気あんのかよ……」
「お前らじゃなくて、私は、クアットロでーす。こっちの娘がディエチで、そっちの姉様が、トーレ姉様でーす」
名乗りを挙げた以上こちらも名乗ったほうがいいのだろうか。
「一応、その誠意に応じて。俺はミウラ・ケイタだ……」
「ケイタ様ね。私のご主人様ぁ~」
「ケイタ。私が求むものは、溺れる程の顔射」
「ふ、ケイタか。愚妹達が世話になったな。私が、手取り足取り腰取りと、教え込んでやる。処女だがな!」
いらない情報を得た。
トーレと呼ばれた女が構えたと、思いきやクアットロとディエチを抱えて、高背面に飛んだ。
俺は、てっきりこちらに攻めてくると思っていたので、反応が遅れて、足が出るのが遅れた。
「さらばだ! 今日は監視目的でな! コレ以上の相対はいずれまた!」
結果として、見事な逃げっぷりに呆れながらも、フェイト並のスピードに追いつけるわけもなく、更には、姿を消したために、
「逃げられたか……。変態の様を見せつけられただけじゃね?」
追尾は不可能と判断した。
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任務は成功に終わったのだが、敵には逃げられてしまった。
ヴィータの方も、謎の女がヌルっと現れて、捕らえていた少女とアギトを回収されてドボンと逃げられたらしい。
褒めるのは、敵の目を欺いたティアナの策だ。
叱られるべきは、敵を逃したヴィータと俺だ。
敵と相対した俺とヴィータの報告で敵の能力の一部と名前が判明したので、罰則は帳消しだった。
ヴィータの方に現れた奴は、壁や道路をすり抜けたことから特殊な移動能力だと推測できる。
俺の方に現れた奴らは、
「クアットロと名乗るメガネの茶髪女。能力は恐らく、姿を消す能力。ディエチと名乗るロングヘアーを後ろで結んだ奴は遠距離砲撃の射撃者だと思う。トーレと名乗る紫髪のショートカットの女は高速移動、フェイト並の速度だった。どいつもこいつも、手強いと思うぞ」
副隊長以上の実力を持たないと1体1の相手は厳しいと付け加えて、最終的な報告を終えた。
「むぅ。ミウラっちが言うなら実力はSランク相当を考えたほうがよさそうやな」
「限定解除も視野に入れた対策を練った方がいいと思う。彼女達を含めて、ガジェットと共闘されたら手が足りなくなる」
「せやな……。今回は何とかなったけど、今後を見据えるとしゃあないな」
深々と座って深くため息を付くはやて。
限定解除となると、査察が入る可能性が高まる。カリムの予言にある出来事がいつ起きるか分からない以上、今はまだ機動六課の取り潰しは困るのだ。
その辺りを考えて、はやてはため息をついたのだろう。
まあ、今は重要参考人である保護した少女から情報を得るのが優先だ。
●
「ミウラ・ケイタはどうだったかな?」
「ご主人様に相応しいで~す」
「濡れた」
「手強い相手になるでしょう。私達3人相手に戦おうとしていました。ケイタと単騎で相手するのは危険です。3人以上のチームを組んで拐うのがいいかと思われます」
ジェイル・スカリエッティは深く頷いた。
「ウーノに調べさせたが、彼の、ミウラくんはレアスキル持ちだそうだ。なんと、魔力の供給だ! まさしく! 彼は私に相応しい人物だよ! いいかい? 殺さずに捕らえるんだよ。大切な、私の大切な人だからね!」
「……」
少女達は答えない。
「王の器に注ぐ液体がわかったよ! 彼だ。彼と王の器があれば、世界は全て支配できるだろうね! 私の目に狂いは無かった。たまには直感に頼るのも良いものだね! 一目で彼が私に必要だと感じた私の感性は捨てたものじゃないだろう?」
●
趣味か、植えつけか。
初めからなのか、それとも――。
配点:(ナンバーズ)
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