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不思議なスライム

作者:yusaaoi
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やわらかな枝

やわらかな枝とは、職人が使う素材の1つだ。
加工し易く、初心者向け。
採取できる場所も、大半が安全な地域である。
何故説明するかと言えば・・・。

「キュー!」

スラ子が巣の土台として、せっせっと集めているからだ。
1本目は右手で持った。
2本目は左手で持った。
3本目は拾うと、抱き抱える様に持った。
4本目も同じ。
5本目も同じ
6本目は・・・なんと!
植物の蔦を使った。
枝をまとめて縛り、背中に担いだのだ。
スライムとは思えない知恵。
もしやこれもまた、謎の木の実を食べた影響だろうか?

「キュ!?」

順調に集まる枝。
しかし、スラ子は気がついた。
巣を作る場所を決めてなかった事に。
地面に枝を置き、その上に座る。

「キュー。」

巣は人間で例えると拠点。
活動の中心である。
軽率に作っては駄目だ。
よく吟味して、慎重に作らないといけない。

「キュー。」

腕を組み、考えるスラ子。
自分の行動範囲、大事な水場、美味しい草の群生地。
最高の場所は・・・。

「あ、あのー。」

「キュー。」

「聞えてない?あ、あのー!」

「キュー。」

「もう少し近づかないと駄目かな?」

「キュー。」

「おどかさない様に、そーっとそーっと。」

「キュー、キュ?」

太陽の光を遮るように、大きな影が差した。
後ろを振り向けば、スラ子の何倍もある大きな身体が・・・。
恐る恐る上を見上げる。





そこに居たのは、人間だった。




 
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