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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第十八章 敵襲と強敵



――ジェイル・スカリエッティ。広域指名手配されている次元犯罪者。
機動六課設立の裏側の目的は八神はやて一同とミウラ・ケイタ以外にはまだ伝えられていない。
そして、ジェイル・スカリエッティの真の目的も彼等には知られてはいない。



「して、ケイタはどう思うのだ?」

明日の警護打ち合わせだ。
シグナムとヴィータと俺。
包み隠さず話せる相手である。

「十中八九、ここに敵が向かってくるだろう」
「そんなこと、なんでわかんだよ」

ヴィータが嘯く。直感的に感じている癖に。
その敵が誰だかはわかっていないようだが。

「ガジェットがレリックと誤認して襲撃があるとはやては見ている。が、俺はその裏で手を引く人物がいるように感じるんだ。殆ど勘だが」

新人の訓練と平行して、ガジェットとも何度か交戦しているのだが、シグナム達も感じているだろう。
徐々に手強くなってきている。
確実に戦闘データを蓄積してそれを反映させている人物がいる。
おそらくは、ジェイル・スカリエッティ。今後もこいつが当面の敵だ。
機械相手に戦略を考えるのは無駄だが、裏で人間が機械を操っているなら話は別だ。
憶測の領域をでない考えはまだ胸に秘めておくとして。

「当たり前にガジェットが出現をすることを前提で警護を見直したほうがいいと思う」
「うむ。ケイタがそういうのであれば私は反論はないな」
「私もだ。襲撃があってから対処を考えるより、襲撃があるものとして対処するって考えは賛成だ」

ヴィータ。よしよし。
つい、子供の見かけに騙されがちだが、頭も良いんだよな。

「子供扱いするな!」

そうは言われてもなぁ。



警護当日。

「どや? 綺麗やろ?」
「あー、うん。皆似合ってるね。つーか、俺だけ普通の支給服ってのもなぁ」
「仕方ないよ。私達三人でホテル内の警護は十分だしね」
「ケイタは外回り。というか、気になってるんでしょ?」

なのはの問は正しい。
事前報告をしていたのだが、なのはには憶測であった事まで伝えてある。
ガジェット以外の敵襲の事だ。
本来ははやてにも聞かせ無ければいけないが、憶測で不安を煽るのもできないし、余計な人員を割いて無駄に終わったら責任ははやてに伸し掛かる。

「何の話や?」
「ガジェット以外の話。賊が出るかも。でも可能性は低いから俺一人で十分。ガジェットはシグナム達が抑えれるだろうし、ホテル周辺は新人に任せても大丈夫だろう。で、手の空いている俺がホテル遠方、更に周辺を見まわるってだけだよ。リインを借りるって事前報告で通達しただろ」

ああ、それでか。と、はやては納得したらしい。
ガジェット以外の賊の話は事前報告していないが可能性としては低い。
俺の考えを読み取った上ではやては納得してくれたと思う。

「まあ、その辺は任すわ」
「あぁ……」

はやての視線は勝手なことしやがって。と物語っていた。
これは後々フォローと謝罪が必要かなぁ。



嫌な予感だけは良く当たる。
それがミウラ・ケイタの所感であった。
二人の人影。
一人は大柄な男。もう一人は小さな少女。
親子に見えるが、顔立ちからそうではない事は明らかだ。
かと言って誘拐の犯人と被害者でもなさそうである。
骨董品を狙う賊か。
だとしたら、ガジェットの動きを知った上で商品を強奪したと考えられる。
もしくは、偶然か。
それは捕まえれば分かる事だ。

「お前達を窃盗の現行犯で逮捕するが、自首する気はあるか?」
「……」

だんまりか。

「時空管理局の不敗の名を持つ相手にふてぶてしい態度ですー」

リインを連れてきたのは間違いだった気がする。

「ここは俺が引き受けよう。君は先に引き上げるんだ」
「わかった」

大柄な男が少女を逃がそうとしている。
それを見逃すわけもない。

「そこの幼女。それ以上動いたら武力行使で拘束するが構わんな?」
「……」

無視か。
ならば仕方のないことだ。
交戦をするために構える。

「そこの可愛い奴はお前のものか? 出来れば私に譲って欲しい」

大柄の男に虚を突かれた。

「ハァ?!」
「大丈夫だ。大切に扱う。紳士は決してその身体に触れない。そうだろ? 同士よ?」

こいつ、何いってんの?

「同士だと?」
「ああ、そんな可愛い女の子を引き連れているではないか。お主も真性ロリなのであろう? 紳士なのであろう?」
「こいつ変態ですー!」

リインが俺の頭の影に隠れて、大柄の男に指を指す。

「そんなコトはない! 俺は変態と言う名の紳士だ!」

堂々たる宣言。
唖然と気を取られている間に、幼女には逃げられてしまった。
こいつ、策士だな。
時間稼ぎと言う役割を戦わずして行うとは、なかなか油断できない。
そして、この変態野郎は確実に逮捕する!

「肩に乗せるなんてうらやまけしからん!」
「……」
「リインはケイタのものですー! 貴方みたいな変態野郎は願い下げですー」

ツッコミどころが満載過ぎる。
まずリインははやてのだし、変態野郎は何怒っているんだ。

「リインたん! 俺は変態野郎ではない! ゼストだ!」

リインを連れて良かったのは相手の名前が分かった事だ。
いや、そこは名乗りを上げるなよ!

「ゼストとやら、大人しく捕まれ……」
「だが断る! 俺には成すべき事がある! リインたんとは暫しお別れだ!」

閃光が走る。

「目眩ましか!」

目が慣れた頃にはゼストの姿は無くなっていた。

「くっ……。失態だぜ……」

思わぬ変態に掻き乱されたな。



強奪者との出会い。
まともに相手をするべきか。
配点:(変態紳士)
 
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