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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士

作者:涙カノ
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アインクラッド編
  第1話 =始まりの時=

 
前書き
2015/01/04
大幅な変更です 

 


「ただいま~…」

朝っぱらからの部活を終えてくたくたになりながら扉を開けて誰もいない部屋の中へと声をかける。普通なら俺のような高校生は大体家族暮らしが多いと思うけど、俺はある事情が重なって親に無理を言ってアパートを借りて一人暮らしをしている。家族は俺が中学卒業してから東海地方へと引っ越してしまって近くにいない。

「………疲れた」

あの練習量おかしいだろ……詳しくは多くて言えないがまだやっと高校生活になれてちょっとした1年生には酷だと思う。そろそろぶっ倒れるヤツがいてもいい気がする。そんな事を思いながらラケットの入ったバッグを投げ捨て制服を脱いでベッドへと倒れこむ。いつもならここで一眠りなのだが今日は違った。ガラスでできた小さなテーブルにドカン、と大きなダンボールが乗っていたのだ。このご時世で残念ながらパソコンとかにめちゃくちゃ弱い俺は通販なんか利用しないし親もだいたいわざわざこっちまで来て食材のおすそ分け+最近起こったことの報告+説教だから心当たりが……。

「もしかして………」

心当たりがあるとすれば夏くらいに出した懸賞かな?たしかフィギュアが欲しくてためしに送ってみたんだっけ。もしかして…という若干の期待を持ちながらガムテープを慎重に剥がして箱を開けるとそこには人の形をした模型…ではなく銀色の丸っこい何かだった。

「……何これ?………えっと、な、なーぶ…ぎあ?」

どこかで聞いたような名前だな…と、少ない頭を捻らせて考えてみた。だが思い出すのにそんなに時間は要らなかった。部活の仲間がこれ使うゲームが欲しいって言ってたっけな。確かソードアート・オンラインだったっけ、剣で戦うってのは面白そうって俺も思ったけど確か限定1万本とかいってあいつは買いに行きたかったけど今日部活休んだら部長にしごき殺されるとため息交じりで話していた。

「俺もソフトないし……これ、売ろうかな……」

とりあえず届いたものを持ち上げてみるとそれはヘルメットのようなもので何か端子を接続する場所まである。まだ何かないかと箱の中をごそごそしてみるとコードとゲームのパッケージが。

「……ソードアート・オンラインって……これ?」

朝、ニュースでゲーセン前にめっちゃ並んでいる人の映像を思い出してちょっと興奮気味になってしまった。話に聞いててすごそうと言う理由と試してみたいという好奇心からすぐさまパソコンをつけて説明書をじっくりと読みながら小1時間ほどかけてなんとか準備完了、昼飯を食うのすら忘れていた。とりあえずナーヴギアをベッドの上におく。周りの環境のせいで結構なレベルまで上がった料理の腕のおかげで今まで食事に困ったことは少ない。とりあえずご飯を食べベッドにダイブ、ナーヴギアを被って準備完了。部活の知り合いにソードアート・オンライン始めますと送って、深呼吸。

「………リンクスタート!!」

合言葉を口に出して俺は仮想空間へとダイブした。

___________


キャラメイクも終わってしばらくすると突然視界が明るくなり洋風な町並みが目に入った。

「…うぉぉ…!ほんとにゲームの中に入ってる……」

俺はそういいながら街中をきょろきょろと見渡したり体中をペタペタと触り始めた。据え置きゲームとは違って本当に自分の体で戦うんだな…。そんな事を実感しながら傍から見れば変人のように歩くが初めての体験なんだから仕方がないと自分の中で割り切る。十分に堪能した後視界の角にHPやらキャラの名前がいろいろあるのを見つけた。

「…そういや本名って不味かったっけ…?」

そこにあるのはRIKUYAというアルファベットの羅列だ。そのまんまローマ字読みで俺の本名そのまんまだ。今日はただ単にどんなゲームなのかなって触れてみるってことで入っただけだし、別にずっとこのゲームやるってわけじゃないしなるようになるだろう…きっと。

「何すればいいんだろ……っと」

普段やっている据え置きゲームではここいらでイベントが発生して旅の始まりなのだがオンラインゲームは初めてだ。右も左もわからない状態なので行動を悩んでいる……と、ふと目の前を何かが横切った。

「……へ?…」

イベントが何か始まったのか?と思い、慣れない体を動かして通り過ぎ去った何かを追いかける。その何かは人ごみを物ともせずにぐんぐん先へと進んでいく。現実よりもフワリとした感覚に少し気持ち悪くなりながら追いかけているとふと、その何かが足を止めた。

「おっ……おーい、ちょっと待ってーっ!!」

「……ん?」

これはチャンス、と思いダッシュしながら大声でその何かに呼びかける。嬉しいことに気付いてくれそれはこちらを振り向いた。どうやら男性プレイヤーらしい。

「やっと追いついたぁ……」

「……追いついたって、俺を追いかけていたのか?」

「あそこ歩いてたら急に目の前を通り過ぎてったの見たからさ、もしかしたら何かのイベントかなって思ってさ」

「イベントって……俺はそんなNPCみたいなキャラじゃないんだけどな」

「えっ!?そーなの?……参ったなぁ、これからどうすりゃいいんだ?」

完全にやることがわからなくなった。この人がイベント関連の何かだとすれば当面の目標が出来たわけなんだけど……。ふと顔を上げると男性プレイヤーは急に呼び止められてこれからどうすればいいのかわからず困っているようだった。

「あのさ、勝手に人のことNPCだって思ったりこんな急にで失礼だとは思うけどさ」

「…?」

「いろいろ教えてくれないか?…これからどうしたらいいとか、なにしたらいいとか」

「…そんな急に言われてもな。……やることといったら他のMMOとさほど変わんないし」

「…………いやぁ、恥ずかしいことにオンラインゲームってこれが初めてなんだよね…」

現代で致命的なほどに機械に弱い俺はパソコンが大ッ嫌いだ。なので一人暮らしするときにも「いらん!」といったが親に持って置いて損はないと丸め込まれて比較的新しいやつを買ってそれを使い接続している。だが、そのPCも使う前はすっかり物置と化していたが…。

「ってわけなんだけど……迷惑じゃなかったら、お願い!」

「…………説明がわかりにくいかもしれないが、それでもいいか?」

「っ!?マジで!?やったっ!」

男性は気まずそうに、内心仕方なく折れたのか諦めたように妥協案を出してきた。でも説明が受けれるっていうのは変わらない、これは大きな一歩だ。

「…そんなに喜ばなくても。……えっと」

「え?あ、ごめん。名乗るの忘れてた。俺はリクヤ、よろしく」

そういい手を差し出す。

「俺は……キリトだ。よろしく、リクヤ」

「こっちこそ、だよ。……んで、何すればいいんだ?」

「とりあえずやらなきゃいけないのは武器買「おーいっ!!そこのおふた方ーっ!!」……なんだ?」

NPCかと思うほどこの世界になじんでいる青年、キリトにコーチを依頼できたところで俺の後ろから声が聞こえてきた。振り返るとそこには赤がかった髪を逆立て、長身で細い体を皮よろいに包んだプレイヤーだった。

「はぁ……はぁ……ようやくおいついた。その迷いのない動きっぷり、あんたβテスト経験者だろ?」

このプレイヤーの言いたいことは俺と同じことだった。VRMMOはこのゲームが初めてだからコーチを頼みたいと。二人も迷惑じゃないかと思って俺は一旦この場を引こうとした。高ランクプレイヤーになるつもりはないし、そもそも明日もやるかどうかのレベルだ。

「まぁ……構わないが…」

「うっし!俺はクライン。よろしくな」

自分に親指を向けて自己紹介する落ち武者プレイヤーことクライン。それに続くようキリトが腰に手を当て自身の名を言う。よし、これで行こう!…とはならずにクラインは俺へと視線を移してきた。

「あ……俺はリクヤっていうんだ。よろしく、クライン」

自己紹介もお互いにすんだところで俺たちはさっそくキリトへとアドバイスを求めた。頼られたキリトは悩むように考え、何か思いついたのか歩き出し俺たちについてくるように指示を出す。それに従いワクワクしながらついていくと裏路地に怪しげな店が一軒。

「ここは、外で扱ってる武器よりもちょっと割高だけど扱いやすいのが多いんだ」

「穴場ってやつか。……キリトとクラインは何にする?」

「俺は……」

キリトは迷いもせずに話しかけウィンドウを開いて早速購入した。慣れた手つきでその購入品を自身へ装備する。と、一瞬のうちに肩に一本の直剣が。そしてスラリと抜くと軽くブンブンと素振りをする。

「これだな。βのときから使ってるし」

「へぇ……なら俺は」

そういってある武器を購入した。キリトとは真逆の慣れない手つきで時間をかけてやっとのこと装備をすると俺の背中に現れたのは身の丈はあるかと思われる大きな両手用直剣、いわゆる大剣だ。

「……最初ッからマニアックなもの選ぶなぁ…」

「大剣ってロマンあるじゃん」

そうだ、これだけの理由だ。その理由にキリトのみならずクラインですらあきれ返っている。振り回すとさすがに危ない、ということでこの剣のお披露目はフィールドに出てからだ。
あ、ちなみにクラインは曲刀を買って、キリトと同じようにブンブンと振り回していた。

――――

=第1層・始まりの町・西フィールド=

「どわぁぁぁぁ!!」

クラインが攻撃を受けてふっとんだ。戦いにおいてはまだ体が慣れていないのか攻撃を行ってもスカっとしてしまい、その隙に猪が突進しHPを削っていく。しかも今やられた場所は男性のシンボルのある場所、絶対痛い。

「うっわ……痛そうだな」

「大げさだなぁ、痛みは感じないだろ?」

隣でキリトが衝撃の事実を口にする。どうやらクラインも知っていたようで知らないのは俺だけのようだ。ほかにもこの中では俺は知らないことが多すぎてさっきも色々聞いたところだ。メニューの開き方、NPCと話す方法、他にもいろいろだ。多分一人だとできなかったから助かったけどさすがに恥ずかしかった。

「重要なのは最初のモーションだって」

「んなこと言ったってよぉ……あいつら動きやがるしよ」

「動かないモンスターってこの世界にいるの?」

「おめぇだって攻撃当てれてねーじゃねーかよ」

クラインの一言にグサッと来るが大剣だからしょうがないと開き直る。というか曲刀で攻撃を当てれないやつに言われたくないんだけど。

「ちゃんとモーションを起こして……」

キリトはそういいながら足元の石を拾い上げて構える。すると何の変哲も無さそうな石が赤く光りだして、タイミングを見計らってキリトが投擲するとまるでロケットのように石が飛んでいって猪に命中した。

「ソードスキルを発動させれば、あとはシステムが自動で当ててくれる」

「なるほど……ちょっとやってみていい?」

一言断って猪の前に立ち両手で居合いのように剣を後ろ手に構える。猪が攻撃してくるのを何とか避け続けてタイミングを見図る。

「そこからほんの少しタメを入れてスキルが立ち上がるのを感じたら……ズバァンって感じで打ち込めばいいんだよ」

ズバァンって言われても……。キリトに言われたことを極力意識して腰を落として、大剣を微妙に上げる。するとモーションがやっと確認されたのか剣が光出しす。

「せぃっ!!」

左足を前に出し、両手も同じように切っ先を敵に向け突き出す。するといきなり体に加速がかかって見事ヒット、豪快に敵の横っ腹を切り裂いた。その攻撃に少し減っていたHPは0になって豚のようなよくわからない情けない鳴き声と共にポリゴンとなって砕け散る。これで戦闘終了なのか目の前にウィンドウが開いて加算経験値などの数字が浮かび上がった。

「おっし!」

「ナイス、リクヤ」

「どういたしまして。ありがと、キリト」

お礼を言いながらキリトに振り返って左手を上げると、向こうもすることが判ったらしく同じく手を上げて俺とキリトはハイタッチを交わした。

「結構気持ちいいな、これ」

「初勝利おめでとう。……まぁ、これから先コイツより強いやつしか出ないと思うけどな」

「そりゃそうでしょ。ここって最初のフィールドっぽいし。スライム並でしょ」

「えぇー、マジかよー俺はてっきり中ボスくらいかと」

さっきまでモンスターに苦戦していたクラインがそんな冗談を口にする。

「んなわけあるか」

「ここに中ボスいたらバランス崩壊してるだろ」

「そりゃそーか」

クラインは楽しげな奇声をあげて自身の剣から繰り出される技を何度も放っている。はたから見たら気持ち悪いがその気持ちが十分にわかる俺もいる。今までボタンピコピコして敵を倒していたのが、自分が剣を握って、実際に技を繰り出して敵を本当に倒している。その爽快感と言ったらもう、たまらない。そのあと、それぞれ個人でスライム級イノシシを何匹も屠った後に最初にクラインがど突き飛ばされた場所へと戻ってきた。ふと周りを見渡すとすでに夕暮れだ。

「もう夕方か…現実と同じように空も変わるんだな」

「そうだなぁ…しっかし、何度見ても信じられねえな…ここがゲームの中だなんてよ」

俺がつぶやくと、クラインに聞こえてたらしく同調する。クラインの言うとおり信じられない、いまごろ俺たちの体は家のベッド、もしくは布団で変なヘルメットを被って倒れているのだから。それなのに意識はこっちでこんなにも動いている。

「作ったやつは天才だぜ…」

「おおげさだなぁ…」

クラインの言葉にキリトはあきれているが俺たちの親の時代には考えられなかった世界だ。実際に知り合いの兄貴にもゲームの中に入っていろいろしてみたいと願望を仕事にしている人もいる。それほどまでに少年や少女をとりこにするものなのだ。

「初のフルダイブ体験だもんな…」

「ということは、ナーヴギアようのゲームをやるのもこれが初めてか?」

「つうか、ソードアート・オンラインのためにハードもそろえたって感じだな…。リクヤはどうなんだ?」

クラインに聞かれ今日のことを振り返る。といっても家に帰ったらナーヴギアが置いてあった。というだけだ。

「たぶん懸賞の商品だと思う。懸賞のも忘れてたからさ、見たときめちゃくちゃびっくりした」

「おめぇ、運いいな~」

クラインが俺の運のよさに少し僻むような声で言ってきた。だが甘いな、クライン。俺たちの目の前にはもっと運のいいやつがいる。今までのコーチがそうだ。βテストは1000人限定、そのうちの一人だから運が言いなんてレベルじゃない、選ばれた人って言われてもいいくらいだ。

「正直、期間中は寝ても覚めてもSAOのことしか考えてなかったよ。この世界はこいつ一本でどこまででもいけるんだ。仮想空間なのにさ、現実よりも生きてるって感じがする」

キリトが自分の片手剣を眺めてそうつぶやく。そんなキリトを見上げながらこの先はどうなっているのか、それが楽しみになってくるくらい俺もずいぶんとはまっていた。

「さて……もうちょっと狩るか?」

「おぅっ!」

「もちろん!といいたいとこだが…」

俺はそれに賛成だ、まだまだやりたりないし。しかしクラインは腹が減ったらしいので一度ログアウトするらしい。わざわざ5時半にピザを予約しておくという徹底振り、俺には無理だ。

「こっちの飯は空腹感がまぎれるだけだからな…」

「ふぅーん…こっちでも飯食えるんだ…」

「ま、飯食ったらまたログインするけどよ。んで、そのあとほかのゲームで知り合いだった奴らとはじまりの町で落ち合う約束してんだよな。どうだ、紹介すっから、あいつらともフレンド登録しねえか?いつでもメッセージ送れて便利だしよ。」

「えっ?…………」

クラインの言葉に俺はすぐさまいいねっ、と言おうとしたがそれとは対照的にキリトは急に顔を伏せてしまった。最初俺が頼んだときには気付かなかったが、恐らく人見知りなのだろう。クラインや俺とはこうして接していられるが他の友達とやらがきたときにはどうなるかがわからない、っていう典型的な人見知りだ。
それを見たクラインは申し訳なさそうに口を開いた。

「いや、もちろん無理にとは言わねえよ。そのうち、紹介する機会もあるだろうしな。」

「あぁ…悪いな…」

「おいおい、そりゃこっちのセリフだぜ。お前のおかげでここまでできるようになったんだから。この礼はそのうちちゃんとすっからな、精神的に」

精神的にお礼というのが何かはとても気になるがクラインはメニューを開くと同時にそういえば、と口を開いた。

「リクヤはどうすんだ?」

「俺?…そうだなぁ……まだこのゲームのシステムわかっちゃいないからまた今度でいいか?」

すでにこの二人には迷惑をかけているかもしれないけどこれ以上迷惑をかけるわけには行かない。もうちょっと慣れたらクラインの友達を紹介してもらう。

「そうか、わかった。知り合いには紹介しとくよ。」

「ありがとな」

「おう!……っと?……うわぁぁっっ!?」

そう、互いに握手してここでさよなら、俺とキリトはまた狩りへ……とはならず、重大なことを忘れていた。突然の大声にクラインとキリトの二人は驚き、ぎょっとしたようなめでこちらを見ている。

「ど、どうしたんだ?」

「いやぁ、確かこんくらいから部活の夜練が……悪い!ってことで俺もログアウトする」

俺はそういいながら覚えたばかりの手の動かし方でメニューを開き、ログアウトを探す。この数分後、俺は知るだろう。どんなことをしてでもログアウトができないことを。そしてこのゲーム「ソードアート・オンライン」がただのゲームではないことを。

 
 

 
後書き
ここでははじめましてのかたばかりだと思います
涙カノと、申します
今回はアットノベルス、フォレストでも投稿している作品なのですが
どのサイトが一番自分にあっているか、ということを知りたく投稿させていただきました
一応、ここも更新していくつもりなのでよろしくお願いします

追記
クラインの武器「短刀」とありましたが実際には「曲刀」だったのでそこを編集させていただきました 
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