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ONE PIECE NOVEL -SHISHI BREAK STORY-

作者:伝龍
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第05話 奮闘

「スモーカー准将!!」

「あいつ!何で海楼石が効いてないんだ!?」

「能力者なんじゃないのか!?」

周りにいた海兵が驚きの声を上げる中、スモーカーは体勢を立て直すと、十手を俺に向けて威嚇するように俺を睨みつけるその額には冷や汗が滲んでいる。

「くっ…!てめぇ、何者だ!?」

「へえ、あんたでもそんな顔するんだな?」

「ふざけるんじゃねえ!!能力者であるなら、海と同じエネルギーを発している海楼石は弱点のはず!!それをお前は弱るどころか、逆に『煙』の俺に攻撃をしやがった!!答えろ!!」

軽いノリで言ったつもりなのに、怒りを露わにしてギリっと葉巻を噛み締めるスモーカーを見ながら俺は頭を掻いた。

「まあ、あんたに攻撃できたのは『覇気』を使ったからだ。」

「!?『覇気』だと…あの女と同じか。」

おそらくハンコックが持つ九蛇の『覇気』が頭に浮かんだのだろう…やや納得した表情を見せた。

「それと海楼石についてだが……」

そう言って、拳を鳴らしながら、俺は腰を屈めて戦闘態勢に入った。

「知りたきゃ力ずくで聞いてみろ!!『剃』!!」

「くっ!!」

俺が一気に間合いを詰め、パンチを繰り出すとスモーカーは十手で攻撃を受け止めた。その間にも、俺は脇腹を狙って、回し蹴りをする。

「無礼るな!『ホワイト・ブロー』!!」

スモーカーは強引に十手で俺の手を弾くと、続けて俺に目がけて自身の腕を煙状に変えて攻撃を仕掛けてきた。

「よっ!!」

俺は上に飛んで攻撃を避けると、スモーカーの首に狙いを定めて蹴りを放とうとする。その姿を見たスモーカーは体を煙にして受け流そうとする。が……

「おらぁ!!!」

ドガッ!!!!!!

「!!」

強烈な音と共に俺の『覇気』を持った蹴りがスモーカーの首に決まり、そのまま振り抜くとスモーカーは膝をついた。

「言ったはずだぜ?俺は『覇気』を使うと」

「ハァ……ハァ………!!」

「確かにあんたの海兵としての実力は相当なもんだ。ルフィが苦戦するのも分かる…だが、あんたじゃ俺には勝てねえよ。」

首を押さえて、顔をしかめながら息を荒くするスモーカーの前で、俺は俺との実力差を口にするとゆっくりと立ち上がり、再び十手を俺に向けて再び口を開いた。

「随分と余裕があるじゃねえか…!!だが、例え実力差があろうが、俺は海兵として己の信じる正義に基づいて…お前を始末する!!『ホワイトスネーク』!!」

「『剃』!!」

腕全体を蛇状の煙にして襲いかかるも、俺は間合いを取って体勢を整えた。

「そうか…分かった。だが、こっちもエースを助けるために引くわけにはいかないんでな。特別に面白いものを見せてやるよ。」

そう言うと俺は目を閉じて、力を入れ始めると顔と体を白い毛が覆い、口には牙が生え始め、尻尾が伸び始めた。

「!?」

「おい!!何だ!!あの姿は!?」

「あんなの見た事無いぞ!!」

スモーカーと周りの海兵が俺の姿に驚いている間にも俺の体は通常の倍近い大きさとなり、手足には巨大な爪、顔には黒の模様が表れていた。その姿はまるで……

ガォォォォォォォォォォォン!!!

俺が口を開けて雄叫びを上げると、大気が震えて周りにいる海兵達が思わずたじろいた。

「てめぇ…その姿は…!!」

「『ネコネコの実』…モデル『白獅子』(ホワイトレオ)。悪いけど時間が勿体ないんでな?すぐに決着をつけさせてもらう!!『剃』!!」

さらに睨みを鋭くするスモーカーだったが、その前に俺は突進しながら両手の爪を出して、上から下に振り下ろすようにに引っ掻いた。

『爪研』(つめとぎ)!!」

「(ちっ!速い!!)ガフッ……!!!」

「「スモーカー准将!!」

先程よりも素早い行動にスモーカーは驚き、攻撃を防ごうとするが、一歩及ばずその攻撃をまともに受けて傷口から血を出しながら、後ろに倒れ込む姿に海兵達が彼の名を叫んだ。

その後、俺は人獣型から人型に戻ると、気絶しているスモーカーに歩み寄ってそばに落ちている火のついた葉巻を銜えさせた。

俺にとっちゃあ、スモーカーは嫌いな人物ではない。己の『正義』を信じるあまりに民衆に冷酷な行動を取る奴や利益目当てで動く正義のかけらもない奴もいる中で、この男も己の『正義』を信じているが、それを民衆に向けることは絶対にせず、アラバスタでルフィ達に助けられた借りは返すほどの男である。

そんな男だからこそルフィにも好かれているのだろう。

「だが、あんたには悪いがここは通らせてもらうよ。エースを死なせるわけにはいかないからね。」

倒れているスモーカーの横を通り、再び先へ向かおうとする。そこへ……

「待て。」

俺を呼び止める声と共にザッっと俺の前に1人の男が立ちはだかった。世界最強と言われる黒刀『黒』を手に持ち、鷹のような鋭い目つきでこちらを見ている姿を見て、俺はやや驚きながらもその男に声を掛けた。

「まさか、あんたもここに来るとはね……『鷹の目』!!」

























一方、その頃ルフィ達は次々と周りにいる海兵達をなぎ倒して、エースのいる処刑台へと向かっていた。

「んにゃろぉ!!」

また1人襲いかかってくる海兵にルフィは蹴りを入れて吹き飛ばした。

「ハァ…!!キリがないな!こりゃ…せっかく、あいつに鍵をもらったのに!」

そう言って走りながら、手に持った鍵を見る……先程、隙をつかれて一気に襲いかかってくる海兵達に、ハンコックが『虜の矢(スレイブアロー)』で石化させた後、エースの手錠を手渡してくれたのだ…その時、ルフィは感激のあまりに思わず抱きついて感謝した。

「そういやあいつ倒れてたみたいだけど、大丈夫か?」

そう言って少し後ろを見るルフィ……ルフィが離れた後、膝をつくハンコックの姿を見た海兵達は『鯖折りだ!ぶち噛ましからの鯖折りだ!!』とか言っているが、実際は全く違う状況だったということに気付く者は本人しかいない。

「『麦わら』!!」

「ん?」

走るルフィの前方に刀の柄の部分を両手で握って構えている女海兵…海軍本部少尉のたしぎの姿があった。

「お前、確かケムリンと一緒にいた…!!」

「あなたは私が止めます!!」

見覚えがある顔にルフィは走るのをやめる…その間にたしぎは刀の峰を顔の横まで近づけて戦闘態勢を見せる。その姿にルフィは警戒するが、とある疑問が浮かび、たしぎに声を掛けた

「そう言えばケムリンはどうしたんだ?」

「!!あの人なら別の……ジンドウ・シシの所へ行きました。」

「シシ?」

「ええ、報告を聞いた後に『興味がわいた』とか言って……だから、あの人がここに戻るまでの間、あなたの相手をします!!」

刀をさらに強く握るたしぎの姿にルフィは……

「そっか!!なら大丈夫だな。」

「!?」

ニッと笑いながら答えるルフィにたしぎは驚き、刀を構えたまま質問する。

「大丈夫とはどういうことですか!!」

「シシなら大丈夫だって言ったんだ。」

「!!……スモーカーさんが負けるとでも言いたいんですか!?」

ルフィの答えにたしぎがやや怒りを見せながら、声を荒げた……自分の上司であり、その実力も重々理解しているたしぎにとっては、多少実力のある海賊に負けるわけがないと思っている節もあった。

「シシは強いからな。」

「!!もういいです!!」

自信に満ちたルフィの言葉にたしぎは会話を打ち切り、そのまま斬りかかる。

「こんなとこで立ち止まってるわけにはいかねぇ!!『ギア2』!!」

ルフィは両足をポンプの代わりにして血流を加速させると全身から蒸気を噴き出し、一瞬にしてたしぎの攻撃を躱して先へと進んだ。
























「まさか『王下七武海』の奴がここに来るなんてな……」

俺は凄まじい威圧感を発しながら、獲物を見るかのような『鷹の目』の姿に思わず武者震いをした…この男も原作ではルフィの前に圧倒的な力でエース救出を阻んだが、白ひげ海賊団5番隊隊長『花剣のビスタ』によって足止めをくらい、結果的にルフィの進行を許してしまったのだが今回はルフィを追わずにこちらの方へと出てきたのである。

「なるほど…俺の剣士としての直感は正しかったな。その心力の強さ……『強き者』だな。」

「!!『鷹の目』にそこまで言われるとは…恐れ入るね。」

黒刀の切っ先を俺に向けて、強敵と認識する言葉に俺は謙遜して言葉を返した。バラティエで初めてゾロと対峙した時に最初は『弱き者』として短刀で相手をしていたが、ゾロの心力の強さに『強き者』と認めて、剣士として黒刀『夜』でゾロを沈めたが、初対面の俺に初っ端から『強き者』と呼ぶとはね。

「俺も認められたってことなのかな?」

「お前には何か心力の強さ以外にも秘めた物があると感じた。俺が剣士として認めた者はお前で2人目だ。」

『鷹の目』が言った2人目の言葉に俺はすぐさま答えを返した。

「…もう1人はゾロだろ?ロロノア・ゾロ。」

「!!ほう、知っているのか?」

「知っているさ。あいつは世界一の大剣豪になる男…つまり、あんたを越える男だ。知らなきゃおかしいだろ?だが……」

そう言って俺は両手の親指と人差し指で四角を作って、ある能力を発動させる。

「?何を…」

「『ハコハコの実』……『武器箱』(ウェポン・ボックス)!!」

『鷹の目』が訝しそうに俺を見る中、俺が作った四角の中から細長い白の箱が現れ、そのまま縦に向き、ストンッと地面についた。

「ゾロには悪いが、先に俺があんたを越えさせてもらう。それに…あんたにならこいつも存分に試せそうだ。」

俺はゆっくりと箱を開けると中には1本の刀が納められていた……ここにくる前に俺が特典の中で作って欲しいと言っていた白刀『明』だ。

「ほう、ロロノアと同じ刀の使い手か。」

白い鞘に白い柄と白一色の刀に思わず『鷹の目』は声を漏らした。

「まあな…だが、この刀はあんたと同じ最上大業物でもある……名は白刀『明』。」

俺は『明』を手に取り、鞘から刀を抜くとその中から同じく白に輝く刀身が現れた。

「見事な刀だ。」

「あんたの持つ世界最強の黒刀『夜』もなかなかだな。」

互いに相手の刀を賞賛しながも、それぞれ刀の切っ先を向ける。

「フッ、面白い。ならば、その刀とお前の力……存分に見せてもらおう!そして、俺を越えて見せよ!!『強き者』よ!!」

「望むところだ!!」

そう口元に笑みを浮かべる『鷹の目』に俺も同じ笑みを浮かべると、互いに刀を両手で握り直して、相手に斬りかかる。

ガキィィィィィィィィン!!!

互いの刀がぶつかり合い、強烈な金属音と衝撃がそこを中心に広がった。 
 

 
後書き
第5話を投稿いたしました。いかがだったでしょうか?
スモーカーファンの皆さんに対しては謝罪を申し上げます。

しかし、ルフィとの因縁があるこのキャラをシシの強さを表すにはうってつけの相手だとは思っていましたので……もう一人の『鷹の目』についてはシシが作った刀を使うには絶好の相手、ルフィの相手を回避させるためにこのような展開になりました。

最後に出てきた悪魔の実の能力を紹介します。

名前:ネコネコの実(モデル『白獅子』(ホワイトレオ))
種類:動物系(ゾオン)
備考:希少種とも言われる白いライオンに変身する事ができる。
そのため『古代種』や『幻獣種』と並ぶ希少な種類として分類される。
また、肉食種の中でもその凶暴性はロブ・ルッチの持つ豹(レオパルド)よりも上だと言われている。

技名:爪研(つめとぎ)
備考:変身したシシが使ったもので両手の爪をむき出しにして相手の体を上から下に引っ掻く技(技名の由来は猫が木などで爪を研ぐ姿から)。

名前:ハコハコの実
種類:超人系(パラミシア)
能力:いろいろな『箱』を作ることができる。
備考:両手の親指と人差し指で四角を作ることによって、どんな形・サイズの箱でも作ることができる。シシは自分の刀を入れた箱を『武器箱』(ウェポン・ボックス)と呼んで出現させた。 
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