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ヘタリア大帝国

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TURN67 ドクツ軍壊走その九

 だから今もこう言うのだった。
「勝つまでは我慢するわ!」
「わかったよ、カテーリンちゃん」 
 ミーシャも贅沢が嫌いなので。それでよかった。こうして補給のことも決まった。
 ソビエト軍は一斉攻撃に移った。そして。
 レニングラード、カザフを攻めようとしていたドクツ軍も撃退された。そのまま一気に押し切られだした。その中で。
 報告を聞くグレシアは難しい顔で述べた。
「まずいわね」
「はい、非常に」
「事態が一変しました」
「このままでは押し切られてしまいます」
「ソビエト領から追い出されてしまいます」
「手に余るわ」
 グレシアは書類の山に必死でサインをしながら述べた。
「正直なところね」
「あの、総統はまだですか」
「まだ復帰されないのですか」
「もう少し待って」
 レーティアが倒れていることは言えない、だから言うのだった。
「あの娘も戻って来るから」
「ですか。それでは」
「お待ちしています」
「あの娘が戻れば自体は好転するわ」
 彼女が的確な判断を下すからである。
「それまでの我慢よ」
「わかりました。ですがスモレンスクとエストニア、カフカスもこのままでは」
「敵に奪い返されます」
 この危惧も充分にあった。中央軍集団だけでなく北方、南方の各軍集団もかなりのダメージを受けたからだ。
 それで彼等も危惧してグレシアに言うのだ。
「事態は一刻を争います」
「このままでは手遅れにもなります」
「ええ、レーティアが戻ってもそうなったら」
 手遅れになってはだ。
「終わりだからね」
「何とか手を打ちましょう」
「本当に」
 レーティアがいないドクツはこの状況に為す術がなくなっていた。エルミーとの定期報告においてもである。
 心配するエルミーにグレシアが言うのだった。
「大丈夫よ、今もね」
「総統閣下がおられればですね」
「確かに我が軍はモスクワを陥落させられなかったわ」
 しかも軍は壊走したというのだ。
「けれどそれでもね」
「ドクツは大丈夫ですか」
「レーティアがいるのよ。大丈夫よ」
 やはりここでも彼女だった。
「だからね」
「そうですね。それでは」
「ドクツは必ずソビエトを倒し」
 そしてだった。
「欧州の覇権を手に入れるわ」
「そうですね。では」
「もう少ししたらレーティアも戻って来るから」
 彼女の過労は何とか隠す。そしてだった。 
 エルミーに対してもこう言うのだった。
「待っていてね」
「わかりました。それでは」
「太平洋は順調だけれど」
 ドクツ側も想像しなかったまでにだ。
「こちらもレーティアがいればね」
「では吉報をお待ちしています」
 エルミーはレーティアに会いたかった。このことを心から願い太平洋で戦っていた、彼女はレーティアを心から心配していた。
 だがヒムラーはこの戦局でも平気な顔だ。カフカスにソビエトの大軍が迫ってきており自軍は壊滅状態でもだった。
 平気な顔で己の秘密の腹心達にこう述べていた。 
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