ソードアート・オンライン~冥界を司る女神と平和の創り手~
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プロローグ
初めて彼と出会ったのは6月頃だった。
その日、学校が休みでついついお昼過ぎまで寝てしまった。
ベットから起き上がり朝御飯兼昼御飯を作ろうと立ち上がると玄関のチャイムがなった。
誰かと思い扉を開けると同じ年代と思う少年が立っている。
「どうも。今日隣に引っ越して来た椎名秋人っていいます。よろしくお願いします。これ、引っ越し祝
いです」
そう言う彼の手にはざる蕎麦があった。なんで、ざるそば?
「俺、一人暮らしなんで何かと迷惑かかると思いますので先に謝っときます。すみません」
「いえ、私も一人暮らしなんで」
そこまで言ってしまったと思った。
女性がしかも、高校生の女の子が一人暮らしだなんて言えばなにされるかわからない。
思わず身構える。しかし、彼は
「そうなんだ。てことは、一人暮らしの先輩か。それじゃあ、先輩これからよろしくっす」
と、屈託の無い笑みを浮かべざる蕎麦を渡してくる。
「先輩はよして。私は朝田詩乃」
どうして、初対面の彼に私は名前を名乗ってのか分からない。
でも、彼にならいいと何故かそう思えた。
「そっか、じゃあ、詩乃」
いきなり名前呼びに少し驚くが彼は気にしてないようだ。彼にとって名前呼びは当たり前なのだろう。
「これからよろしくな」
そう言って手を差し出す。
私は恐る恐る手を伸ばし掴む。
体の芯から暖かくなったような気がした。
思えば人と触れ合うのはいつ以来だろう?
「あ、俺これからスーパーに買出しにいくからもう行くわ。じゃあな、詩乃」
「ま、待って。」
手を離し立ち去ろうとする彼を渡しは呼び止めた。
彼は立ち止り私の方に振り返った。
「あ、タイムサービスを狙った方がいいわよ。それと・・・ちょっと遠いいけど私の知ってるスーパー
の方が少し安いわ。もし、椎名が良ければ一緒にどう?」
私は自分で何を言ってるのか分からなかった。だが、彼ともう少し一緒に居たい。
もっと触れていたい。彼のことを知りたい。そんな感情がいくつもある。
「マジで!!サンキュー、詩乃」
彼はそう言ってまた笑みを浮かべる。この笑顔をずっと見ていたい。そう思えた。
「よかったら、上がる?お茶ぐらいなら出すけど」
「お、いいな。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうぜ」
彼を部屋にまで招き入れて私は何を考えているのだろう。
でも、何故か彼といると心地よかった。
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