ペルソナ4 プラス・エクストラ
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#01
北斗とキャスターが扉をくぐると、その先にあったのは霧に包まれた異様な空間だった。どこを見ても深い霧に視界を遮られ、自分の足元すら満足に見れなかった。
「霧……? この世界には誰もいないのか?」
「んん? んー?」
周囲を見回す北斗の後ろでキャスターが急に怪訝な表情となって辺りの匂いを嗅ぎはじめる。
「キャスター?」
「くんくん。くんくんくくん。この霧……なーんかどこかで嗅いだような匂いが……。一体誰の匂いでしたっけ?」
「ここにお前の知り合いがいるのか? キャスター?」
「んー、なんと言いましょうか? 懐かしいようで、でも絶対二度と会いたくない……そんな方の匂いがするんですよね。ご主人様、やっぱりこの世界はあぶのうございます、早く帰りましょう。……てゆーか私、ここにいたくない」
「いや、そういうわけにはいかないだろ? せめてもう少しこの世界のことを……」
調べないと、と言おうとした時、北斗は頭上から人の声がしてきたのを聞いた。頭上から聞こえてくる人の声をだんだんこちらに近づいてきており、それにこの声は……。
「悲鳴?」
「え? え? 何ですか一体?」
どすん! どすん! どすん!
「ぐっ!」
「きゃあ!」
「どわっ!」
空から落ちてきたのは北斗と同い年くらいの三人の男女だった。銀色の髪を男に栗色の髪をした男、そして髪を短く切り揃えた女。女の方は緑色のジャージを着ていたが、二人の男の方は同じデザインの学生服を着ていたため同じ学校の生徒だと分かる。
「ご主人様! 空から女の子とついで男の子が二人降ってきましたー! これってアレですか? 私とご主人様がこちらの方々と一緒に電子の空に浮かぶお城を探す旅に出るというフラグですか!?」
「そんなフラグは遠慮したいんだが……君達、大丈夫か?」
北斗はキャスターの発言を軽く流すと空から落ちてきた三人に話しかけ、三人は
痛みをこらえながらゆっくりと立ち上がる。
「ああ……大丈夫だ」
「イタタ……」
「いってぇ~。ケツのサイフがダイレクトに……」
立ち上がった三人は辺りを見回して怪訝な表情を浮かべる。
「ここはどこだ?」
「ウチの町にこんな所あったっけ?」
「んなワケねーだろ。……てゆーか、おたくら誰よ? ジュネスにはいなかったよな?」
栗色の髪の男子生徒に聞かれて北斗はとりあえず名乗ることにした。
「俺は青野北斗。そしてこっちにいるのはキャスターだ。それで君達は?」
「え? 俺? 俺は花村陽介っていうんだけど……」
「私は里中千枝」
「鳴上悠だ。……それで、青野北斗とキャスターだったか? ここは一体どこなんだ?」
栗色の髪の男子生徒、女子生徒、銀色の髪の男子生徒の順に名乗っていき、鳴上悠と名乗った銀色の髪の男子生徒の顔をキャスターが興味深そうにのぞきこむ。
「あらあら、このお方、ご主人様には及ばないですけど中々のイケメン魂じゃないですか? それに何やら懐かしいような匂いもしますね?」
「え?」
「ああ、脅かしてしまったようですね。申し訳ございません。それでここがどこというご質問なんですけど、私もこの世界に来たばかりなんでよく分かっていないんですよ」
『ええっ!?』
キャスターの言葉に陽介と千枝は露骨に驚いてみせるが、悠だけは取り乱さずに少し考えて次の質問をする。
「それで二人はどこから来たんだ? 俺達のようにジュネスのテレビから来たのか?」
「ジュネス? テレビ? 一体何を言っているんだ? 俺達は……」
「あーーーーー!?」
北斗の言葉を遮って突然陽介が絶叫を上げた。
「うわっ!? な、何ですか? 一体?」
「い、いや……ちょっと尿意が突然襲いかかってきて……。ってゆーか、ここトイレどこだよ? トイレ!?」
「……………なんというかここだと落ち着いて話もできないな。とりあえず全員、校舎で話さないか?」
慌ただしくトイレを探す陽介を見て北斗はため息をつくと、自分達が来た旧校舎に繋がる扉を指差した。
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