DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第4章:モンバーバラの姉妹は狼と行く
第2話:俺だって男ッス!?
(モンバーバラ)
ウルフSIDE
町に着き直ぐさま宿屋へ行くと、2部屋確保し一休みをする。
この時代(世界?)に来てから丸一日…
森の中を彷徨ってたので全然寝ていない俺は、十分すぎる程の睡眠を取って英気を養った。
あの双子の姉妹(特に妹さん)にも、落ち着く為の時間が必要だろうし…
目を覚まし、最初にやった事は…フロントに行ってルームサービスを、姉妹の部屋に届けさせる事だ。
睡眠同様、彷徨っていた間は碌な食事をしていなかったので、食欲を満たす必要もあるのだ。
姉妹の部屋に届けさせたのは、この時代(世界?)の事や姉妹の事…もし知っているのであれば、マリーやリュカさんの事を聞く為です。
ついでに俺の事も説明しないとね!
(コンコン)
「ル~ム・サービス!」
俺はノックと共に明るい口調で勝手に部屋に入り込み、宿屋の人と一緒に部屋のテーブルに料理を並べだす。
「あ、あの…お、おはようございますウルフさん…」
「やぁ、おはよう! 今日もミネアさんは美人だね! あれ、もしかすると昨日より美人?」
礼儀正しい妹さんが、俺の強引な振る舞いにちょっと引き気味だ。
リュカさん…気にしたら負けですよね!
「もう一人の美人さんは何処かな?」
宿屋の人が出て行くのを見計らい、さして広くない室内を見渡し膨れたベッドを見詰め尋ねる。
お寝坊美女を布団越しに愛でる。
「あの…ごめんなさい…姉さんは寝起きが…」
「おやおや…それは残念。では仕方ない…添い寝をして差し上げまスカラね!」
申し訳なさそうに口籠もるミネアさんを尻目に、マーニャさんが眠るベッドに入り込み、身体を密着させて温もりを味わう。
(ゲシュ!)「テメー何してやがる!」
「ぐはぁっ!」
即座に反応したマーニャさんの蹴りが、俺の腹部に命中しベッドから弾き出された。
「何だよ…起きてんじゃん!」
リュカさん直伝の“語尾スカラ”で防御力を高めておいたので、彼女の蹴りでは痛くも痒くもなかった。
サッと立ち上がり、服に付いた埃を軽く払うと笑顔で席に着く。
「ケロッとしてんじゃないわよ! 目は覚めてたけど、まだ眠かったから布団から出なかっただけよ!」
「うん、知ってる。でも今は完全に目覚めたでしょ?」
ミネアさんに続いて、食事の並んだテーブルに腰掛けるマーニャさん…表情は呆れ顔だ。
「で…レディーの部屋に断りもなく入ってきて、ベッドにまで潜り込んできたのは何の用があってなの!?」
手近なパンを取り、一口大に千切りポタージュスープに浸して、それを食べながら不満げに話しかけてくるマーニャさん。
「うん。まだちゃんと自己紹介とかしてなかったから、俺の置かれている状況を説明しながら、この時代の事や二人の事を聞いちゃおうっかな?って思ってさ」
鮮やかな色のスクランブルエッグを大量にパンに乗せ、それを頬張りながら答える俺。
「あ、あの…食べながら喋るのは…お行儀が…」
一人お淑やかに俺達を眺める美女が…
あぁ…俺の周囲には居なかったタイプだ…
「………なるほど。つまりアンタは、未来の世界からこの時代にやって来たのね?」
「うん。俺達を飛ばした馬鹿がそう言ってた」
「あの…そんな事の出来る方って誰ですか?」
「あぁ…そんなの神に決まってるじゃん!」
「………か、神様を“馬鹿”って…口が悪いです!」
やりづれー! 俺の周囲…つーか、リュカさんの周囲には神を敬う奴なんて居ないから、何時も通りの口調で喋ってると、ミネアさんが悲しい顔で怒ってくる。
「そんな些細な事は置いといて…二人とも俺の彼女を見た事無い? こんな顔なんだけど…」
プンスカプンと怒ってるミネアさんを無視して、俺は手近にあったメモ用紙にマリーの顔を描き二人に見せて尋ねる。
サラッと書いたわりには上々の出来栄えだ。
「アンタ絵が上手いわね…」
「本当…お上手ですねぇ」
「うん。そんな事は良いから、見た記憶は無い?」
「アンタ、ふかし扱いて無い? この美少女が本当にアンタの彼女なの? 妄想の彼女じゃないの?」
「失礼なねーちゃんだな! マリーは実在するし、このイケメンの娘なんだぞ!」
失礼極まりないマーニャさんに向け、リュカさんを描いた絵を見せつけ出会ってないかを確認する。
リュカさんの事だ…この二人と遭遇していたら、絶対に口説いて…口説き落としているはずだから、絵を見せれば直ぐに判るだろう。
「アンタの絵が妄想だったり、何割か盛ってるんじゃなければ、この人は相当イケメンね…ひと目でも見れば忘れやしないでしょう」
「つまり会った事は無いんだね?」
う~ん…どうやら俺は、みんなと離れ離れになってしまったらしい。
ついでだったので二人にビアンカさんとリューラ・リューノの絵を見せ、見覚え無いかを確認するが…
これも空振りだった。
ウルフSIDE END
(モンバーバラ)
マーニャSIDE
「それで…この後アンタはどうする気?」
ウルフが持ってきた食事を大方平らげて、知り合いとはぐれてしまったこの子を心配してみる。
昨日は危ないところを救われたのだし、優しく接するのも必要だろう。
「この後? 美女が二人も居て…ベッドがあって………シちゃう?」
「ふざけんな馬鹿! 何でアンタなんかとシなきゃなんないのよ!」
優しく聞いてやりゃ付け上がりやがって!
「そうじゃなくて、はぐれた彼女等を捜すんでしょ!? アテがあるのかって聞いてるの!」
「ああ、そう言う事か。この時代の事を詳しく解ってないから、アテなんてないよ…むしろ二人の事を聞きたいね! こんな物騒な世の中を、美女がたった二人で旅をするなんて危険じゃん? 昨日みたいに襲われたりしちゃうじゃん!? 俺が居れば守る事が出来ると思うんだよね…どう?」
確かに…
力の弱い私達だけでは、今の世の中は危険がいっぱいだ。
昨日も、旅立ち早々に顔見知り(私のファン)に襲われるなんて予想してなかった…
コイツは私達を力尽くで襲ったりはしないみたいだし、何よりそこそこ強そうだ。
私達の目標達成に、大いに役立つかもしれないわね。
ウルフ…狼か………うん、番犬代わりに連れて行くのが良さそうね!
マーニャSIDE END
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