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久遠の神話

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第四十二話 表と裏その二

「油断為されずに」
「そうしてですよね」
「はい、倒しましょう」
「中々攻めにくいですけれどね」
 下から来る敵はだというのだ。
「どうにも」
「いえ、どうやら」
「どうやら?」
「コツがありますね」
 下から食う敵との戦い方にはだ。それがあるというのだ。
「どうやら」
「コツ、それは一体」
「はい、爆撃ですね」
「爆撃機みたいにですか?」
「そうです。そう攻めればです」
 そうしてだというのだ。
「勝てます」
「水と。それに」
「風です」
 二人のそれぞれの力でだというのだ。
「攻めましょう」
「わかりました。ですが」
「具体的にどうして攻めるかですね」
「はい、僕は水ですけれど」
 怪訝な顔になってだ。上城は横にいる大石に言う。
「今の相手は海の中にいますから」
「水ですね」
「水の中で水を使っても意味がないですよ」
 上城はこう大石に言うのだった。
「あまり効果がないですよ」
「いえ、やり方はあります」
「あるんですか」
「はい、あります」 
 あるとだ。大石は微笑んで怪訝な顔になっている上城に答えた。二人の顔はそれぞれ全く違うものになっていた。
 その顔でだ。大石は彼に話した。
「水とはいっても形を変えられますね」
「形?」
「水に高温を加えればどうなりますか?」
 まずはそこから言う大石だった。
「そうすれば沸騰しますね」
「はい、蒸発もします」
「熱すれば気体になります」
「そしてですか」
「冷やせば」
 これが大石が今言いたいことだった。それは即ち。
「固体になりますね」
「氷に」
「海を凍らせることはできますか」
 大石は上城、横にいる彼を見て問う。
「今の君は」
「一応は」
 それはできるとだ。上城も答える。
「できます。氷は作ることができます」
「水の特徴としてその形が一つではないことです」  
 それがあるというのだ。
「気体にもなれば固体にもなる」
「それならここは」
「間も無くまた来ます」 
 二人の眼下は青い海だ。その青い海の中でだ。
 鯨が泳いでいた。今まさに再び上に飛び上がりその彼等を襲わんとしているのが見える。
 その怪物を見ながらだ。大石は言うのだった。
「その来る瞬間にです」
「その瞬間に」
「海を凍らせることはできますか」
「怪物が海から飛び出た瞬間にですね」
「はい、海を凍らせて」
 そうしてだというのだ。
「怪物の動きを止めます」
「そしてそこで」
「私が風を放ちます」
 彼の使うだ。その力をだというのだ。 
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