攻殻機動隊 アンブレラ・クロニクルズ
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第一話 始動
前書き
久しぶりにパソコン開いたら、学生の時に書いた小説が、、、
気分で載せてみました。
21世紀初頭。
全米No.1の巨大複合企業であり、アメリカでのソフトウェア製品シェア90%を誇るアンブレラ社。
様々な慈善事業を手掛け、その範囲は世界にも伸び、メディアから大きな信用を得ていた。
だが、それはアンブレラ社の表の姿。
裏の姿は軍事兵器の開発などを行い様々な組織に兵器をばら撒く“死の商人”であった。
ある日、アメリカのラクーンシティに存在するアンブレラ社の秘密地下研究所「ハイブ」にて、研究中のウイルスが漏れ出す電脳災害が発生した。
《ーー所員はウイルスに感染し、全員死亡。ーー》
この事故を知ったアンブレラ社は地下ハイブの制御コンピューター「レッドクイーン」のシャットダウンを決定し、特殊部隊を現地へ派遣する事を決定した。
それは、公安9課にも出動の要請が出される事になった。
???サイド
無数に張り巡らされた配線で埋め尽くされた床。周囲の壁際には、夥しいほどの電子機器が埋め尽くされている。
そして中央にはデスクが在り、それを囲む様に天井から液晶画面が配置され、その画面からは青白い光が放たれていた。
青白い光を放ちながらも映し出される画面は、まるで相反するかの様に黒い画面が映し出されて居る。
部屋に響くのは機械特有の低重音な唸りと、絶え間なく叩かれるキーボードの小高い電子音だった。
「・・・こんな攻勢防壁で止めようなんて。」
その呟きと共に叩かれるエンターキー。すると、先程まで数字の羅列だけ映し出されていた黒い画面から、白い画面へと移り変わり無数のファイルが表示された。
「・・・しゅうりょ~う。」
これを行ったで在ろう人物は指を組むと椅子に寄り掛かった。
銀色の髪はディスプレイの光を取り込み月光の様な輝きを放っていい。
細められた瞳は、その光をまるで相容れない物である事を主張するかの様に血の様に紅く輝いている。
「この程度の防壁に手間取るなんてね・・・" " も対した事はないな。」
そう言うと男は一枚のディスクを電子装置へとセットすると、電子装置を操作する。
「・・・貰っていくよ。」
先程までの退屈そうな表情は一転、まるで子供が新たな玩具を与えられた時の様な表情を浮かべていた。
データを引き出した後、立ち上がると、そのまま部屋を出て行ったのだった。
???サイドEND
草薙サイド
イシカワ「少佐、少しいいか?」
そう言うとイシカワは座席をずらし、後ろからもディスプレイが見える位置に移動する。
少佐「・・・ん?、何かあったか?」
イシカワ「ああ、これなんだが・・・少佐はどう思う?」
そう言い指差した画面上には、ここ数ヶ月に起こった企業テロのファイルが列記されている。
少佐「・・・企業テロと言いたい所だが、どれも事実上の被害は無いしハッカーの悪戯って線が妥当だと思うけど?」
イシカワに見せられたファイルを見ると、率直な感想を述べた。表示されていたファイルを見る限り事実被害は皆無といってもいい程だ。それに現代社会には、こういった事をするハッカーも少なくはない。
だが、イシカワは否定する様に首を横に振った。
イシカワ「・・・表面上では何も被害が無い様に見えるが、僅かにだがデータを引き出した跡がある。」
草薙は薮睨みながらも問い掛けた。
少佐「そいつに、引き出され
たファイルは?」
イシカワ「分からん。上手い消し方してやがる所為で修復も出来ねえ。」
イシカワはそう言うとキーボードを引き寄せ、別の情報を切り替える。
イシカワ「注目すべきは・・・これだ。」
少佐「っ、これは。」
イシカワ「これを仕出かしたやつが各企業の攻勢防壁をいなし防壁迷路を突破するのに要した時間はだ。ハッキリ言って常人では考えられん速度だよ。
しかも、ここの企業は特殊なシステムが使われて居る数少ない企業の一つだ。」
少佐「・・・どんなシステムなの?」
イシカワ「ん?あぁ・・・“HLMシステム”って奴なんだが、扱いが非常に難しくてな・・・半世紀前に制作された物で今でも普及率が低いが、現代の最先端防衛システムを凌駕するだけの性能を持ち合わせてやがる。」
草薙はしばし考える動作を見せると口を開いた。
少佐「ちなみにお前が同じ条件下で行ったとしたらどうだ?」
するとイシカワは眉をひそめ苦虫を噛み締めながら返答した。
イシカワ「この防壁を短時間で・・・然も外部から突破する事は不可能だ。」
驚愕した。草薙の知る中で彼程機械に精通した人物を知らない。
そんな彼に其処まで言わせるシステムが存在し尚且つそれを仕出かした人物が存在する事に驚きを隠せない。
少佐「っ、お前が其処まで言うんだ、何か理由が有るのだろ?」
驚きの表情を見せる草薙にイシカワは画面を睨みながら昔を思い起こす様に話し始めた。
イシカワ「俺もやんちゃだった頃に挑んだ事がある。」
少佐「結果はどうだっの?」
イシカワは背凭れに寄りかかると遠い目で振り返る様に話し始めた。
イシカワ「・・・完敗だよ。入るどころか、後一歩遅けりゃ脳みそを殺られただろうさ。」
イシカワは端末を操作すると、画面に被害が有った企業のシステムに関する情報を表示させた。
イシカワ「こいつが使われている“HLMシステム”は一基のマスターコンピューターを中心に三基のAIコンピューターである、Harrington・Locke・Montesquieuの独立したシステムによって動いて互がカバーしあってる。」
「・・・歴代の政治思想家達の名を象ってるのね。」
イシカワ「外部から突破するとしたら単独では先ず不可能。
その筋の専門家が束になったって最低でも半月は掛かる。こんな短時間で突破するのは絶対にな・・・安全に尚且つ最短でアクセスするには企業本部に在るメインサーバーからアクセス以外にはない。
もしもだ・・・此れをやったのが同じ人間だってんなら、俺はそいつを崇拝してんだろうよ。」
しばしの沈黙が流れる。その間も画面は自動でスクロールされ、イシカワの情報を裏付ける事項が表示されていく。
また草薙が口を開こうとした時、二人に緊急招集が掛かった。
少佐「イシカワ・・・この事は、後だ。課長から招集が掛かった、いくぞ。」
沈黙を破り草薙が言った言葉にイシカワは首を縦に振った。
草薙サイドEND
公安9課サイド
今ブリーフィングルームには、9課の面々が揃っていた。
荒巻「諸君つい先程、総理より、出動命令が出された。」
そう切り出すと荒巻の背後に在る画面に依頼に関する情報が流れる。
荒巻「前日、アメリカのラクーンシティに存在するアンブレラ社の地下研究所[ハイブ]で、研究中のウイルスが漏れ出す電脳災害が発生した。
所員は感染し全員死亡。この事故を重く見たアンブレラ社は、ハイブの制御コンピュータ[レッドクイーン]のシャットダウンを決定し、日本にも特殊部隊を現地へ派遣を依頼してきた。」
トグサ「あの大企業の⁉・・・でも、何でまた他国の件を俺達に?」
荒巻の言葉にトグサが驚きながらも疑問を尋ねた。普通ならば自国の事件を他国に依頼する事はまずない。何故なら、それは自分達が自国で起きた事件すらも鎮圧出来ない無能だと言っている様なモノだからだ。
荒巻「アンブレラ社が日本政府に直接依頼したらしい。詳しい事は分からんが、日本でも影響力の有る企業だ・・・政府もNOとは言えなかったのだろう。」
バトーもまた、戯けた口調でいった。
バトー「それにしても・・・これはまた厄介な物を作ったもんだ。表じゃあ慈善事業もやるアンブレラも、裏じゃあろくでもねぇ事する悪徳企業ってか?」
少佐「それで、わたし達の依頼内容は?」
荒巻「私達の仕事は、アンブレラ社の特殊部隊と合流し護衛。地下研究所[ハイブ]にある制御コンピュータ[レットクイーン]のシャットダウンまたは、破壊が任務だ。」
バトー「それで、誰が行くんだ?」
荒巻「今回は、少佐独りでハイブに行って貰う。」
バトー「おい、待てよじいさん。少佐を独りで突入させるのはどうかと思うぜ。俺も少佐と一緒に行った方が良いんじゃないか?」
荒巻「お前達には、他にやって貰う任務がある。他に質問は?」
「「「「「‥‥」」」」」
荒巻「任務開始は、1800時だ。それまでに、各自準備を済ませておけ。少佐は少し残ってくれ。解散」
草薙以外は部屋を出て行った。
少佐「課長、何か?」
荒巻「少佐はこの人物について何か知らないか?」
荒巻はそう言うと写真を一枚取り出した。草薙はそれを見て驚きを露わにした。
少佐「これは⁉」
荒巻「レナード・W・テルミドール。
特殊部隊S.T.A.R.S.の隊員であり電脳工学のスペシャリスト。元フランス陸軍の将校でアンブレラ社からスカウトにより就任した。」
少佐「・・・メキシコ戦線の時に命を助けられたわ。それで、彼が今回の任務とどういう関係が?」
荒巻「三日前に任務でアンブレラ社の調査に行ったきり、連絡がとれなくなった。可能性としてだが、何らかのアクシデントに合った恐れがある。少佐には、追加任務としてレナード・W・テルミドールの捜索をしてもらいたい。」
少佐「分かった。」
草薙は承諾すると、部屋を出て行った。
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