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一般人(?)が転生して魔王になりました

作者:ビヨン
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新生、会話、驚愕、起きる者

 
前書き
 お気に入り登録数…120件……だと…!?
 驚きました。驚いています。え?何故かって?登録数が百を超えたからさ!
 正直言うと、ノリと勢いで書いているので文が粗かったりして読みづらかったり、変なところが在るのではと常々思いながら投稿しているのです。
 その作品がお気に入り百件を超えたんですよ!驚愕です!

 まあ、そんな話は置いておいて。では、本編をどうぞ。 

 
 痛いな、おい。

 蓮華は薄れゆく意識の中でそう考えた。

 何故蓮華が倒れたか? それは終式_桜花剣嵐にあった。

 そもそも、人は光速の域に踏み入る事はできるか? 

 その問いに対する答えは否である。

 まず第一に、人の身で光速に至れるものはいない。

 第二に、至ったとしてもその光速という環境下で動く肉体の負担は生半可なものでなく、自身を強化しておかなければ、筋繊維や血管、臓器など体の内側はボロボロになり良くて後遺症が残る程度。悪ければ死ぬのである。

 第三に、それほどの速度の負荷に対応できる術が無い。
 だが、蓮華は第一の課題である光速に至るというクリアした。それも前世でである。
 しかし、第二に述べた事が当然起こり彼は死んだ。しかもソレを“ちょっとした”技の練習と言ったのである。

 それでもって『御剣蓮華』として転生したのである。

 そして御剣と言う家は呪術、魔術を使っていた当主がおり、そう言った文献もあり、それを読み漁っていた。そこで負担を軽減させる術を構築していたのだが、その当時出来た術は、消費する魔力量、技術的問題など様々な諸事情によりやめたのである。

 仮に、完成していたとしても耐熱防御に九割以上の魔力を注ぎ、残った魔力で日本刀を召喚した時点で魔力切れだ。

 そして、幾らか身体能力が前世に比べて上がっている蓮華でも耐え切れずに全身から血を噴き倒れたのだ。

 最初から出していれば勝てたのではとも思う。しかしだ、この業は蓮華の前世の死因であり、使えば全盛期より上である耐久度でも、死ぬ可能性が高かったのである。

 尤も全盛期を超えた肉体であっても負荷に耐え切れずに血を噴いていたであろうが。

 それにだ、最初にヘーパイストス相手にダメージを与えて隙が少なくなり、更にはもし相手をしている神が、剣神・武神・戦神のどれかの神であった場合、光の速度であるとは言え反応され反撃を喰らっていた可能性があった。だから使わなかったのだ。

 まあ、相手は鍛冶の神であり、どちらにしろあの場合、最後の隙だったので確実に殺しきれる終式を使用したのだが。
 

「あ~、ちくしょう。臓器は無事だが血管と筋繊維は半分以上逝ったな」


 自身の傷を確認した蓮華は『…この体凄いな』と思っていた。

 臓器は何処も潰れておらず、少しばかり傷めた程度。しかし筋肉と血管は半分以上がボロボロである。

 まあ、確認したのは良いのだが血を出しすぎて意識が朦朧として、出血多量で死に掛けているのだが。


「それに、眠くなってきたな。…………って、眠りそうだな」


 まあ、死期が近いのかねと半分当たって半分外れている事を思いながら意識を失った。


◇ ◇ ◇ ◇


「……人間に倒されるとはな」


 蓮華に全身と頚動脈、心臓を斬られたヘーパイストスは膝をつきながら自身の力が蓮華の流れていっているのを視ていた。

 流れていった力は蓮華の身体を再構成し始めた。

 これの意味するところは一つ。るパンドラとその夫であるエピメテウスが施した魔王の誕生祭。

 神を殺しを成功させた者がその神の権能を奪い、その力を振るう事ができる人類の守護者にして、災厄を振り撒く者。それを人は『カンピオーネ』と呼んでいる。


「……来たか、パンドラ」


「あら、ヘーファイスト様じゃありませんか。お久しぶりですね。何年ぶりですかね」


「忘れたわ。それよりもさっさと済ませろ。でないとお前の新しい子、死に掛けているからな」


「そうですね。それでは_さあヘーファイスト様、祝福と憎悪をこの子に与えて頂戴! 六人目の神殺し、人の身で光の速度に至った魔王に祝福と憎悪の言葉を捧げて頂戴!」


「いいだろう、人の子よ。神殺しの王として新生を遂げるお前に祝福を与えよう。貴様は我から―へーパイストスから権能を簒奪した最初の神殺しだ! 貴様は自分の腕に合う武具を創れ!既存の武具では話にならん!そして、多くと戦いその腕を上げろ! 貴様なら至高の武具を造れるだろう!」


 そう言いヘーパイストスは蓮華にその全ての力を簒奪されながら消えていった。


 
 ◇ ◇ ◇ ◇


 目を覚ましてみたら見知らぬ景色が広がっていた。

 地平線の先まで灰色で、距離感が掴めなくなっていた。


「………何処だ、此処?」


 ちょっと待て。俺は意識を失った。と言う事はだな此処は、自身の心の中か、死者の国、またはそれに準ずる何かか?


「ここは、生と不死の境界。色々な言い方がされているのよね。ギリシアならイデアの世界。ペルシアならメーノーグね。まあ、蓮華の考えている事は概ね正解よ」


 声がしたので目を開けてみると見知らぬ少女がいた。姿は十代半ば頃で、整った顔立ちをしている。体つきは細い。スレンダーな体型をしている少女であった。


「…………誰?」


「私の名前はパンドラ。義母さん、と呼んでね」


「……何故に?」

 
「それはあなたが私と夫の子供にあたるからよ」


「…あ~、こう言う事か。まったくちゃんと説明しておけよな、アテナ」


 道理で神を殺したものがどうなるのかと言うのを渋ったわけだよ。

 ガシガシと頭を掻きながらも納得した蓮華。

 パンドラ_ヘファイストスに作られた人類最初の女。神々からあらゆる魅力を与えられた人物。そしてプロメテウスの弟であるエピメテウスの妻となった。

 プロメテウスとは《先に考える者》といい先見の明がある賢者を意味し、エピメテウスとは《後に考える者》といい行動した後で考える愚者という意味を持つのである。


―閑話休題―


 そして神を殺した者を『カンピオーネ』、『羅刹王』、『チャンピオン』、『魔王』と様々な名称で呼ばれ《エピメテウスの申し子》と呼ぶ者もいる。頭のいい人間は神とは戦わない。それは自身の死を早めるからだ。しかしバカな思考の持ち主なら神と戦う。故に《エピメテウスの申し子》と呼ばれるのだ。


「あ、そっか。あなたアテナ様を守護神として収めた家の子ね。理解が早い訳よ」


「え? 何? 知ってるんだ?」


「当然じゃない! あの不死の神性を持つ女神を一度殺しているのよ!あと少しで新しい子が誕生すると思って手に汗握りながら見てたんだもの!」


 けどそれで、切り倒されて彼女自身が再生した時にはビックリしたけどね。と付け足した。

 俺はどう再生したのかすごく気になるのだが。あれか異能か。異能なのか!


「桜華曰く『生命力を完全にコントロールし、細胞の新陳代謝を抑えているからね。外見上は年も取らないし、いざという時は生命力を活性化させ、切られた傷も治せるんだよね。もっとも僕には及ばないけど』と言っていたわね。私も彼が何で今でも生きていられるのか疑問だったけどソレ聞いてよく分かったわ」


 何故若い状態で百歳以上生きられたのか分かったな。ん?桜華ってどこかで聞いたことがあるような………って!!


「……ちょっと待て!今の言葉を聞く限り、初代は生きているのか!?」


 御剣家初代当主_御剣桜華(おうか)

 その全貌は誰も知らず、どのような生き方をしたのかも知られていない謎だらけの人物である。唯一分かっているのは男であると言う事だけである。

 もし生きているのなら千年以上生きている人ではない“何か”である


「そうよ。桜華は人としては最高位の人間で、此処に自由に入れるほどのね」


 本来なら此処に入る事などできないのだがそれを出来てしまっているのだ。


「うわ~。え、何。家の初代当主ってそこまでの規格外だったの」


「確かにあれほどの規格外なんていないわよ。まあ、彼は肉弾戦の戦闘力があなたたちの家系のソレと比べると限りなく弱いわ。けどね、技量と術、そして異能関係は全てを極めた最強の人間よ」


 パンドラに此処まで言わせる人間って何やねん。


「それに―」


「そこまで話さないでくれ。これ以上僕が話すことが無くなるじゃないか」

 
 パンドラが何かを言おうと話すがその言葉は第三者の言葉で遮られたのである。

 その声の主を見ようと振り向こうとするとが、体が金縛りにあったように動かない。


「あら、来たのね。桜華」


「なに、ようやくこの日が来たんだ。自分の子孫くらい見てみたいものさ。さてと―」


 振り向けないのでどのような顔をしているのかを見る事は出来ないがその声からして、悪戯好きな悪餓鬼の笑顔を連想させた。


「流石に神殺しを縛っておける術はそう長く出来ないからね」


「相変わらずの手際ね。あなた私たちの息子になれたんじゃないの。そこまでの域に達したいるのなら」


 それを聞き、桜華は苦笑しながら話す。


「僕はそう言うのには興味が無かったんだよね。けどさ、最強の《鋼》について考えるとなるとどうしても力は必要さ。けど、僕が神殺しになったとしてもすぐに敗れて死ぬさ」


 苦笑しながら桜華は蓮華の背後まで歩いてきた。


「君も詳しい事を聞きたいだろうけど、それは現世に戻ってからだ。なに、会いにいくから気長に待っててくれ」


 そう言い蓮華の頭に手を乗せる。すると、体を何かが抜けるような感覚がし意識を朦朧としていった。


「じゃあ、いずれまた」


 その言葉を最後に蓮華の意識は現世にある肉体へと戻って行った。



◇ ◇ ◇ ◇


 蓮華を現世に戻し、生と不死の境界にはパンドラと御剣家初代当主である桜華だけが残っていた。


「ここで話さなくて良かったの?」


「此処で話しても戻ったら忘れてしまうだろ。なら現世で話すものさ」


 蓮華を現世の肉体に送った後、桜華は肩を揉み解しながらパンドラと話していた。


「それにしても、君たちの子供になった子って面倒だね。こっちの術に対して対抗(レジスト)してくるなんて。骨が折れるよ」


 やれやれと首を横に振りながらもその顔は楽しそうに笑っていた。


「神や私たちの子に対して魔術で縛れるあなたに言われたくないわよ【先読みの魔神】さん」


「その二つ名を聞くのも久しぶりだね」


 【先読みの魔神】とは、魔術を極め、神々の領域に踏み込んだ人間が行き着いた頂点。その力は神代の術すら行使可能になった存在。故に【魔神】の称号を得た。そして【先読み】とは桜華が持つ異能である【未来視】から捩ったもの。その二つを合わせて【先読みの魔神】と言われた二つ名である。知る者はいるが、知っていてもそれを本当であると知っているのは僅かな者達であり、他の者達は御伽噺の類だと思っているのである。


「ところで、あなたの従者は元気かしら?」


「元、が付くんだけどね。僕の子孫である蓮華君が神殺しに成ったから封は解けているよ」


 その時に成れば解けるようにしていたからね、と付け足した。


「……千年ね。私たちからしてみるとそれなりに長いけど、あなた達にしてみるとかなりの年月よね」


「―――本当だよ。僕は生命力の完全コントロールや裏技。彼は不死の化物と言われている、殺されない限り死なない不老長寿。この日をどれだけ待ったのやら」


 暫らく沈黙が続いたが桜華は踵を返した。


「じゃあ、僕は帰るよ。色々と準備しないといけないしね」


「そう。あなたも若くないんだから気を付けなさいよ。限界が近いんだから」


「ああ。もうボロボロの体を酷使しているから、いつポックリ逝くか分からなくて怖いんだよ。では、また会えたら会いましょう」


 そう言い桜華は消えていった。


◇ ◇ ◇ ◇


 蓮華が神殺しと成った同時刻、御剣邸の地下深くに、封を掛けられた人一人が入れる棺が在った。

 その封が解かれ、棺の蓋が開いた。

 そして、そこから出てきたのは、紺色の髪をし、執事服を着た青年であった。


「私が起きたと言う事は事態が動き出しましたか。やれやれ、忙しくなりますね」


 その青年は棺から出ると上着を脱いだ。


「汚れた服では『王』となる方に見せられませんからね。さて、新しい服は何処ですかね?」


「貴様、誰だ?」


 アテナが部屋の扉を開け、そこに立っていた。屋敷の異変を感知して来たのだ。


「おや?この気配。何故神が此処に……ああ、思い出しました。まったく桜華様の未来視はよく当たるものですね」


 そう言いながら一つのクローゼットを開き、上着を着る。先の古く汚れている服よりはマシと考え着たのだが、こちらも少しだが汚れており、所持している服は洗濯しておこう、と考えていた青年であった。

 そしてアテナの方に体を向け、礼を取った。


「智慧の女神である貴女からして見れば私は人に見えない者。しかしながらその在り方は人のそれ。御剣家専属執事_シリウス・F(フォルベルツ)・マクラーゲンと申します。以後お見知りおきを__落魄せし女神様」


 人の手によって化物へと変えられた元人間はそう言いながらかつての神々の女王に礼をしたのであった。

  
 

 
後書き
 この小説を読んで下さる皆さん。お読み下さりありがとうございます!
 え? テンションが高いって? 自覚してますよ。しかし、このテンションも後数日すれば下がりますよ。え?何故かって? 勉強です。試験です。ああ、最悪です。
 という訳で、少し更新速度が遅くなるかも?しれないのでそこの所よろしくお願いしまーす。
 
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