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ダ・カーポⅢ リッカSS

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『とあるナツイロノキセツ』

 
前書き
このお話はハールメン様にも投稿させて頂いています。宜しければお楽しみください 

 
猛暑が人々を襲う、8月そのものの気候。無論、季節は夏真っ只中である。

これはそんな日の、何気ない日常の1ページ……長い二人の物語から切り取った、幸せな物語だ……


「きーよーたーかー」

己の名を、だらしなく呼ぶ声が聞こえる。聞き慣れた――そりゃあ毎日聞いているし――愛らしい声……が、今はその声にも笑顔で返せる気がしなかった。

「……なんですか、リッカさん」

畳の上でうちわで扇ぎ、何とかそう答えたのは芳乃 清隆
よしのきよたか
。彼の目の前では、愛する人物が顔を覗かせていた……縁側に足をだらけさせ、逆さまに顔を見せた状態で、だが。

何を隠そう、このだらしない格好の金髪着物美人こそが芳乃清隆の恋人であり、世界に五人しかいないカテゴリー5の魔法使い――リッカ・グリーンウッド。

まぁ、そんな肩書きこの初音島では意味が無いので、こんな姿を晒していられるのだが。無論、恋人である清隆の前だから、という前提条件つきで、だが。

とにかく、こんな熱い中扇風機とうちわだけで何故いるかと言えば……

「なんでクーラーが壊れてるのよー……」

「しょうが無いですよ……明日まで我慢しましょう」

クーラーが絶賛故障中で、このクソ熱い中を扇風機とうちわだけで乗り切らなければいけないからである……え? 時代的にクーラーはない? 気にするな、仕様だ。

そんなこんなで、二人は必死に熱さを乗り切ろうとしている訳だが……この通り、という事である。

「って言うか、リッカさんなら熱さを和らげる魔法とか使えるんじゃ……」

「えー、結局は私がやらなくちゃじゃない。かったるいわよ、そんなの」

ですよね、と予想通りの反応に苦笑しながらもそんなところも可愛いなと、内心凄い惚気る清隆。まぁ、ベタぼれなので仕方がない。

――と、リッカがピコンと言う音が付きそうな表情になり、先ほど迄のかったるそうな身体は何処へやら、身軽に立ち上がり首を傾げる清隆へ向かってニッコリ微笑み……ダイブした。

「って!? ちょっとリッカさうわっ!?」

清隆のツッコミも虚しく間に合わず、凄まじい音を立てて畳の上へ叩きつけられる。そんな状態でも、リッカをしっかりと抱き止めるのは流石というか……その彼の上に覆いかぶさった本人は、先程の熱さも何のその、幸せそのものの笑みで清隆の頬にベッタリと自分の顔をくっつけていた。

「り、リッカさん?」

「んー、清隆の頬は冷たいわねー……もうちょっとこのまま」

……どうやら、求めていたのは冷たい人肌だったらしい。とはいえ、先ほどまで冷やしていたとはいえ、こんな事をしていては直ぐに熱くなると思うのだが。

さらに彼の精神衛生上良くない……のかは知らないが、今のダイブでリッカの着ている着物が大分はだけている。に加え、彼女のかいた汗でうなじが凄く――見も蓋もなければエロい事になり、相変わらず彼女のいい匂いが間近で感じられる。

で、極めつけて言えば、彼も男でしかもこの熱さでいつもの冷静な判断も出来ない。いやまぁ、ぶっちゃけて言えば……限界である。

「リッカさん」

「なに清隆――きゃ!!」

ぐるり、何処でそんな技術を身につけたのだと言いたくなる様な華麗な位置チェンジでリッカを押し倒す様な形にする清隆。ワケが分からないリッカは目をぱちくりさせ、少し顔を赤らめながら彼の名前を呼ぶ。

「清隆……?」

そんな彼女もまた、愛らしいと清隆はリッカの手首を押さえ、言う。

「そういえばリッカさん、この前体重気にしてましたよね?」

「な、なんでそれを!?」

「実は隠れて見てました」

ニッコリ、しれっと言う清隆にリッカはやはり顔を赤らめジト目で彼を睨みつける。が、無論迫力は一切ないし寧ろ彼女の愛らしさを深めるだけである。

というか、別に十分軽い体重なのだが……乙女の
心というのは、男には分からないくらい複雑なのだろう。そして、今重要なのはそこではない。

「そ、それが何よ……」

「いやですね、効果的に痩せるには“そういうこと”をすればいいと何処かで聞いたので」

再びニッコリ、と言う清隆にリッカは数秒フリーズし……彼女の世界でも有数の頭脳はあっという間に答えを出して、彼女の赤らめられた表情は一気にボン!! と真っ赤に染まった。そりゃあもう、リンゴもビックリな色で。いつもからかうのはリッカなのだが、熱さからか立場が逆転中である。

「な、なな何言ってんのよ清隆の変態!! バカバカバーカ!!!!」

「でも、嫌じゃないでしょう?」

う、と恥ずかしそうに目を逸らすリッカ。というか、本当に嫌なら強烈な魔法が飛んできて、今頃清隆の意識は夢の中にあるはずである。それがないという事は……そういうこと、である。

ゆっくりと二人は顔を近づけ、軽く口付けを交わす。幾らしても、これは飽きない瞬間の一つ。そして、少し話せるくらいに距離を開けた時、リッカがポツリと呟いた。

「や、優しくしてよね……」

――どうやら、今日の主導権は決まっていた様である。清隆は微かに頷き、リッカは防音やらの結界を張るのを忘れずに……二人だけの世界に突入した。

そんな一夏の……幸せな二人の一時――


……ちなみに、その後で清隆を叱り付けるリッカの声が聞こえたとか何とか。お・し・ま・い。

時代背景は書いてから気づいた訳じゃないですよえぇはい、仕様す仕様() 何か清隆くんの性格が違いますけど、アレです、熱さにやられたんです(オイコラ) あと何で最後に怒られていたかは……ご想像にお任せします(笑)

感想等もお待ちしています 
 

 
後書き
時代背景との誤差は仕様です仕様()
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