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俺屍からネギま

作者:ゴン
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宴会

関西呪術協会 総本山


「いやーサッパリしたなぁ〜、なっみんな?」

「「「「「うん、サッパリした〜〜〜!」」」」」

「鶴子もサッパリしたか?」

「あぁ…そやね、本山のお風呂は広くて気持ちええわぁ〜」


「陣さま、鶴子さま、皆様がお待ちしております大広間においで下さい。後ろの方々は此方の者が別室にご案内させて頂きます。」


「…分かった。お前達はお姉さんの言う事をよく聞いて大人しくしてろよ。じゃあお姉さん御願いします。」
陣は鶴子と目を合わして鶴子が頷くのを確認すると子供達に声をかけると巫女さんの後をついて行った。


「「「「若〜鶴子ちゃん〜いってらっしゃい」」」」








「御陵陣様、青山鶴子様お着きになりました。」

「わかったぇ……二人とも入っておくれやすぅ。」


「失礼します。皆様遅ればせながら本日、長を始め蔵之介様や関西呪術協会幹部連のお歴々の方々には我等の為に駆け付けていただき誠に有難うございます。」

「有難うございます。」

「また皆様方には多分なご心配をお掛けしてしまい誠に申し訳有りませんでした。」

「申し訳ありませんでした。」



「はは、真面目やなぁ〜。いつもみたいに木乃実さんでええよ。」


「御配慮有難うございます。では改めまして…木乃実さん、皆さんありがとう!」


「フフフっやっぱ陣くんは元気な方がええね。」

「「「「「はははっ」」」」」


「鶴子ちゃんもよう頑張って皆を守ってくれたね…怖くなかった?」

「あっはい、一応一人では無かったので…チラッ」
鶴子は木乃実に怖くなかったと答えつつ陣と一緒だったからと言う思いがあったのか陣の方を流し見た。


「そーか、二人で頑張ってくれたんやね…陣くんも改めてありがとうな。」

「何言ってるんすか木乃実さん?俺らが遊んでいる所に鬼が来た、だからこそ退治してやったまでの事よ。」

皆が陣たちの無事を喜び鬼を退治した陣と鶴子を賞賛していたが、二人の男が待ったをかけた。


「黙れ!何故に鬼と戦った!?何故に皆を危険にさらしてまで戦った!鬼が現れた時点で皆と逃げて我らに知らせる事も出来たはずだ。」

「そうじゃ!鶴子が怪我したらどう責任とる「お前は黙ってろ!」 なっ!?」

「陣よ、お前は聡明な子だ…相手の鬼は下級・中級だけでなく上級妖怪もいたならば逃げるべきだったのではないのか?」


「…………。」


「……あそこには俺と鶴子だけじゃなねー、孤児院の仲間たちもいたんだ…何も知らない彼奴らと鬼から逃げるのは至難の技だ。」

「なれど…お前は御陵の跡取り何だぞ!鬼から逃げるべきだったんだ!」

「ふざけるな!!」

「後ろにいる仲間と逃げたり、目の前の鬼から逃げる何て真似出来る訳がねー!俺は御陵だ!!」

「なっ!?…お前と言う奴は」

「我が一族は先祖代々、常に最前線で奴等(鬼・妖)と戦ってきたんだ!子孫である俺が鬼に背を向けて逃げる様な事、恥ずかしくてあの世の先祖達に顔向け出来ねーだろうが!!……俺がただのガキなら逃げても良いだろう、だが俺は御陵として産まれた…なれば俺は御陵としての本分を尽す、妖から逃げずに戦い、仲間を守り、京を…日の本を守る…それが御陵だろうが?」

「……だが、だがな良いのか?お前が望むなら別の道も用意出来るんだぞ?」

「ありがとな、親父。だけどな俺は御陵として生きるって決めてんだ…だから信じてくれ。」

「…………。」

「まあまあ、哲心はんもうええやろ?陣くんの覚悟はとうに分かっとった事やろ?……ふふ、他の幹部らも陣くんの覇気に当てられたって感じやな…。」


「はい、…分かっていましたがまさかこれほどとは、露にも思いませんでした。鶴子嬢も陣くんに負けないものを持っていますな。」
蔵之介は陣の覇気に当てられて言葉を失っていた幹部連に代わり木乃実に余裕を持って答え、更には鶴子の実力の片鱗を見抜いていた。

「ほんまやな…しかしコレなら大丈夫やろ、蔵之介はん、哲心はん、冬凰はん…ええな?」


「宜しいかと思います。」

「全て木乃実様の御判断に従います。」

「しかし娘の顔に傷など出来てしまったら…「ええな?」……木乃実様に従います。」

「はあぁぁーー。」
蔵之介や哲心が木乃実に従う判断を下し、冬凰だけは親バカ振りを持って鶴子を案じていたが木乃実の迫力に根負けしてしまったその様子を見て皆が一様に溜息を吐いた。


「ならば陣くん、鶴子ちゃん二人に大事なお話しがあります…よく聞いて下さい。
貴方達は今日三匹の鬼を倒しました。その鬼達は決して弱くは有りません…。
あの中には中級や上級といった格を持った鬼がいてな、普段の討伐でもあんまり出ん奴らでな…普通の術師何かでもけっこう手こずるんよ。
それでも二人は倒す事が出来たんや…二人の力は充分実戦に出れるものを持っているんよ……だからな、二人にも現場に出て欲しいんや…無論強制はせんよ、危ない事やから二人の意志を優先したいんや。……実際問題二人の事は直ぐ関東に知られるやろうし、二人の立場を明確にしたいんや…戦うにしろ戦わないにしろ、関東から話があってからじゃ話の主導が取られちゃうからな…二人には悪いんやけど、今決めて欲しいんや………どやろか?」


「あの木乃実様…実は、一番強かった鬼は陣はん一人で倒したんよ。そんなウチが戦力になるやろーか?」

「そんなん気にせんでええよ…鶴子ちゃんだって陣くんと一緒に鬼を二匹倒したんやから充分戦力として期待してるんよ。実力が有る思うから頼んでるんよ…実力無い思おたら頼まんよ。 」

「はい!有難うございます…ウチは戦います、守りたいものを守れるように。」

「木乃実さん…俺も異存は無いです。むしろお願いしたい位でした…これからよろしくお願いします。」


「そっか…ありがとうな、そしてゴメンな。その年で二人を戦場立たす事になるなんてな…ウチらの力不足や…ホンマ申し訳ない。」
陣と鶴子の二人の了承を得ると木乃実は、礼を言うのと同時にまだ子供である二人を戦わせなければならない事を心の底から悔やんでおり、その事が木乃実に深々と頭を下げさせたのであった。

「二人とも…本当に申し訳ない!」

「「「「「申し訳ない!!」」」」
木乃実の思いを皆が分かったのであろう、蔵之介に始まり他の幹部連も声を揃えて頭を下げた。

関東魔法協会と関西呪術協会は現在表立って戦闘をしている訳では無かったが、裏では政略や謀略と言った攻防が行われている。

その点において関東魔法協会理事長・近衛 近右衛門に一日の長が有り、魔法世界のMMのある魔法使いが資金においても人材においても優位に立っている事が関東魔法協会の関西呪術協会に対する高圧的な姿勢に繋がっている。

だからこそ優秀な者をより多く揃え実戦力を充実させ関西呪術協会の威を高める事で関東魔法協会に対して睨みを利かす必要があると考えているのである。
今現在も、日の本最強と称えられている御陵 哲心の存在が関東魔法協会や近右衛門らに表立った手段をとらせない要因である為に、関西呪術協会は戦力増強を行い更なる威を高める事が関東魔法協会の攻勢を止める手段であると考えている。


「頭を上げてくれや…木乃実さん、皆、関西の為に俺らの力が必要ならば喜んで使ってくれ。麻帆良を奪還して来いと言われれば喜んで行ってくるぜ。」

「ふふホンマ対したもんやで…流石は哲心はんの子や、もう五年程早く生まれておったら惚れてる所だったわぁ〜。」
陣のちょっと買い物いくわと言った様な感じで大きな事を言い、その逞しさに木乃実も調子を良くして冗談目かしたが陣はやや顔を赤くし、それを鶴子が睨みつけると木乃実に苦言を呈す。


「なっ木乃実様、陣何かに木乃実様は勿体無いですよ!大体こいつにそんな浮いた話は十年早いですし…。」

「おい鶴子…言い過ぎじゃね?」

「うるさいわ!あんたも木乃実様に言われて照れてんじゃないわ!」

「だとこの野郎!」

「野郎ちゃうわボケー!」

二人は小競り合いを始めてしまい周囲の者らは唖然としてその光景を見ていた。

「ふふ、ふふふふ!」

「ふふ…ははははは!」

「はは……ワハハハ!」

「「「「「ワハハハハハ!!」」」」」


木乃実が笑い出すと蔵之介が笑い、次第にその場にいた全員が笑い出した。


皆が笑い出すのを聞くと陣と鶴子も小競り合いを止め皆と共に笑い出した。

関西呪術協会は新たな二人の武士の誕生を祝い、関西呪術協会は多くの食事や酒を交わす大宴会となった。


宴会も終わり御陵の館に帰ると予め、哲心が連絡していたのであろう…御陵一門やイツ花を始めとした女中達に残っていた孤児院の子供達に新撰組といった御陵に集う多くの者たちが集まった。

陣や鶴子に子供達の心配をする者,良くぞ手柄をたてたと喜ぶ者、無茶をするなと怒る者、色んな者がいたが陣の「ただいま!」の声を聞くと皆が顔を見合わせると笑顔になりながら「おかえり!」と返すと館で再び大宴会が始まり夜遅く迄行われた。








その後……御陵 陣と青山 鶴子は鬼や妖の討伐に参加して行き、名と実力をさらに高め関西における若手の代表格として関西呪術協会だけでなく関東魔法協会にも有力視される程になったのである。



 
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