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ハイスクールG×D 黄金に導かれし龍

作者:ユキアン
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第11話



「まだ双葉に連絡は取れないの?」

「はい、携帯どころか召還すら出来ません」

「祐斗、レイナーレは?」

「イッセー君の傍から離れようとしません。ずっと聖母の微笑でイッセー君を治療しようとしています。食事には手を付けていますけど、魔力も殆ど空ですし疲労もかなり酷い事になってます」

修行を初めて既に7日が過ぎている。初日にイッセーが倒れ、それ以降私達は修行に身が入らずにただ時間だけが過ぎていく。この状況を打破出来る双葉とは連絡が全くつかず、召還も出来ない。一応、勝手に自宅を漁っては見たけど解毒剤らしき物は見つからなかったわ。代わりにこの前貰ったワインが幾つか見つかったからちょっと拝借しちゃったわ。お兄様に送ってみたらもの凄く気に入られたみたいで何回か譲ってくれないか頼んでみたんだけど断られちゃったから、今回も迷惑料と言う事で貰っていく事にしたの。

「このままの場合、双葉にレーティングゲームに出てもらう必要があるかも知れないわね」

「リアス、それでいいの?」

「私のプライドと将来を比べるなら、私は後者を取るわ。いずれは今が駄目でも将来があるなら何時かはプライドも取り返せるはずだから。さて、朱乃。レイナーレと交代して休ませて頂戴。レイナーレまで倒れちゃったら双葉に呆れられるだろうし、復帰したイッセーにも何か言われそうだから」

「はい、それじゃあ行ってきますね」

朱乃が出て行くのを見送ってから私達も修行を再開する。身が入っていないと言っても、やらないよりはマシ程度には身に付いている。やらないよりはマシ程度だけどね。本当にあの二人には迷惑をかけられるわね。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



オレはどうなっているんだ?
眠っているのか?
起きているのか?
死んでいるのか?
生きているのか?
分からない。
何も分からない。
何故、こんなことになったんだ?
何故、オレはこんな目に会っている。
ああ、疲れた。
疲れ果てたのに、考える事を止められない。
何故だ?
何がオレを支えているんだ。


……を、…………めてよ。


誰かの声が聞こえる?
今まで何も感じなかったのに。


……い、ひと…….いで。


誰だっけ?
知っているはずなのに、思い出せない。
だけど、心がざわめく。


イッセー!!


泣いている。
オレの名前を呼んで、泣いている。オレが泣かせている。
声が聞こえる方に意識を向けると、小さな光が幾つか見える。
あの輝きをオレは知っている。


目を覚ましてよ、イッセー。私を一人にしないで!!


オレを呼んでいるのはレイナーレ。オレが愛した人。あの輝きはレイナーレの小宇宙なのか?
そうだ、アレはレイナーレの小宇宙だ。レイナーレがオレを支えてくれている。泣きながらも、オレを信じて待っていてくれている。こんな、こんな所で燻ってる場合じゃない!!

「燃えろ!!オレの小宇宙!!!!」

全力で小宇宙を燃やす。だけど足りない。オレの小宇宙じゃあ闇を払いきれない。だけど、諦められるか!!レイナーレの元にオレは帰るんだ!!

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

燃えろ!!燃え上がれ!!限界を超えろ!!
オレは双葉程強くはない。地上の平和と愛を守るためにと言われても、そんな覚悟も無いし、理解も出来ない。だけど、傍で泣いている愛する人を守れる位の力位手に入れてみせる。

「レイナーレ!!!!」

その瞬間、自分の中の小宇宙が大きく膨れ上がるのを感じる。そして、多くの小宇宙を感じれる様になる。
これが双葉が見ている世界なのか?この宇宙の全ては小宇宙というのはこのことだったのか。
そして、身体の感覚は戻っていないが、小宇宙がオレに全てを教えてくれる。目を開き、レイナーレの方に顔を向ける。

「レイナーレ」

「イッセー!!気がついたの」

本気で心配をかけていたのだろう。目は充血して、酷い隈まで出来ている。髪の毛はボサボサだし、肌も若干荒れている気がする。

「心配、かけたな」

「馬鹿、本当に心配したんだから」

寝かされているベッドから身体を起こしてレイナーレを抱きしめる。レイナーレは顔をオレの胸に沈めて泣き始める。そこで気付いたが、魔力が殆ど感じられない。まさか聖女の微笑をずっと使っていたのか?

「大分無理をさせたみたいだな」

双葉の野郎、覚えてやがれ。歳をとって弱くなった頃にお礼参りをしてやる。

「もう大丈夫だ。ずっと傍に居てくれたんだよな、ありがとう。レイナーレ」

「当たり前でしょ。私の居場所は貴方の隣なんだから」

顔を赤くしながらそう言われ、自分が愛されている事を自覚する。嬉しくなってキスをしようとした所で朱乃さんが部屋に入ってきたが気付かなかったフリをしてレイナーレにキスをする。朱乃さんも空気を読んでくれて何も言わずに部屋から離れてくれた。









オレが目覚めた事にオカ研の皆は喜んでくれ、心配をかけた罰として一発ずつ殴られた。それがもの凄く嬉しかった。外に出て風が運んでくる香りや鳥や虫の声に感動する。空を見上げ、その大きさに驚きを覚える。そして、遥か西の方角から感じる強大で温かく見守ってくれている小宇宙に感謝し、涙を流す。一週間前と今では世界が全て変わっている様に感じる。悟りを開くとはこう言う事なのかも知れないと思ってしまうのも仕方ない事だと思う。これが世界の本当の姿なのならそれを守りたいとはっきりと言える。

「イッセー」

隣には心配だからとレイナーレが付いてきている。以前より美しく見える世界と同様にレイナーレもまた美しさを増したと感じる。それこそ神話に出てくる女神の様に。

「ごめん、なんか涙が出てきた。今も実際には見えてないのに、感じられないのに、小宇宙が全てを教えてくれて、世界がこんなに美しい物だなんて初めて知った」

「本当に大丈夫なのよね」

「心配ないさ。たぶん、オレは黄金の領域に踏み込んだ」

確信がある。それを確認する為に外に出てきた。

「やるか」

前方にある山に向かって構えを取る。繰り出すのは廬山昇龍覇だ。ドラゴンを象った小宇宙が半分程山を削り取って消滅する。予想以上に強力になっている。五感の代わりに用いている小宇宙も全て込めて放てば、どうなることやら。想像もつかない。そうそう気軽に使える物ではないな。だけど、必要なら躊躇わずに使う。そう心に決めて部屋に戻る。

 
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