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久遠の神話

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第四十一話 鍛えた結果その四

「人が。剣士が経験に出来ないからです」
「それでなんですか」
「その通りです。そうしています」
 声はこう答えた。
「そうでなければ意味がないですから」
「意味?」
「?何か」
「あの、前から気になっていたんですけれど」
 首を傾げさせながらだ。上城は声に問うた。
「貴女は。女性ですよね」
「それが何か?」
「声の色で思ったんですけれど」
「それはそうですが」
「それはわかりました」
 声の性別はだ。今はっきりわかった。
 だがそれでもだった。上城は声のことで気になることが他にもあった。それで声自身に今ここで問うのだった。
「ですが。貴女は何者なんですか?」
「私ですか」
「どの剣士の人にもこうしてお話されるんですよね」
「そうしています」
「それはどうしてなんですか?」
 このことも気になっていたので問うた。
「僕達を導いているといよりは」
「そういうよりはですか」
「はい、何か違いますよね」
 これは何となくだが上城も察していた。
「むしろ戦わせて」
「私はです」
「貴女は?」
「戦いがなければ駄目なのです」
 何かを隠し、それでいて決心がある声だった。それは声が、少なくとも上城には見せたことのないものだった。
 その声でだ。彼女は上城に言うのだった。
「どうしても」
「ですから。それはどうして」
「そうするしかないからです」
「そうするしか?」
「はい、だからです」
「あの、ですが」
 声がするのは右斜め上だった。上城はそこに顔を向けて声に問い返した。
「僕はもう」
「貴方は」
「そうです。戦いたくないです」
「そしてその戦いを止める為にですか」
「戦います。そうします」
「ではそうして下さい」
 声は上城、そして彼の仲間となった彼等のこの考えはよしとした。
 そしてだ。こうも言ったのあった。
「それでもいいですから」
「貴女は戦って欲しいのですよね」
「はい」
 それはその通りだというのだった。
「貴方達にはそうして欲しいのです」
「ではどうして僕達が戦いと止めてもいいんですか?」
「どうぞ。貴方達が生き残るまでにも戦いがあり」
 そしてだというのだ。
「全て同じですから」
「同じ?」
「もうすぐです。私の願いが適うのです」
 声の色がまた変わった。今度はだった。
 夢、願い、そうしたものを見てだった。そして。
 上城に対してだ。こう言ったのだった。
「今度の戦いで。おそらくは」
「何か全然わからないんですけれど」
 上城は声の言っていることが全くわからずだ。それでだった。
 ベッドに座ったままの姿勢で首をしきりに捻りだ。そのうえで声に対してまた問うたのだった。
「あの、貴女の願いは」
「あっ・・・・・・」 
 今更だ。気付いた感じの言葉だった。 
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