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ハイスクールG×D 黄金に導かれし龍

作者:ユキアン
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第9話



ティアマットとの戦闘から数日後、ようやく鋼鉄聖衣の精製方法が確立出来、祝いとしてちょっと特別なワインを飲んでいる時に、突然床に紅色の魔法陣が浮かび上がる。紋章はグレモリー家の物なので部長が転移してきているのだろう。少しすると予想通り部長が現れ、私を押し倒す。咄嗟の事で反応出来なかったが、一体何事だ?

「双葉、私を抱いて頂戴」

「いきなり何を言いだすんですか?」

「色々と考えたのだけど、これしか方法が無いの。至急、私の処女を貰って」

そう言って部長は服を脱ぎ始める。一糸纏わぬ姿を見て、美しいとは思う。だが、私は部長を抱く事が出来ない。正直に言ってしまえば勃たない。不能と言う訳では無いが限りなく性欲が薄い為か、滅多な事では勃たない。聖戦の後など、大きな戦いの後なら種としての本能なのか勃つのだが、生憎転生してから一度も勃ったことが無い。

「すみませんが、木場に頼んで下さい」

「祐斗は正真正銘のナイトだもの、無理よ」

私から見ればただのヘタレだと思うのだが。そんな事を考えていると再び床に魔法陣が浮かび上がる。

「お嬢様、こんな事をしてまで破談にするおつもりですか?」

現れたのは銀髪の髪のメイドだった。その見た目とは反して強大な力を感じる。ティアマットと同等か少し下位か。

「こんな事でもしないとお父様もお兄様も話を聞いてくれないでしょ?」

「お嬢様は次期当主なのです。こんな下賎な輩に」

「ほう、私を下賎と抜かすか」

黄金聖衣を纏い、小宇宙を最大まで高めて戦闘態勢をとる。目の前のメイドも一瞬で戦闘態勢を取るが、その額に冷や汗を流しているのを見逃さない。

「双葉、止めなさい!!」

「部長、私個人に関しての侮辱なら流しますよ。ですが、今の私は聖闘士をまとめる教皇でもあるのです。教皇は聖闘士の象徴の一つ、それを下賎と呼ぶのはすなわち聖闘士全てを下賎と呼ぶのと同じ。私はそれを見逃す訳にはいかない」

「グレイフィア、早く謝罪して。双葉は少なくとも天魔の業龍を軽く倒せる力を持ってるのよ」

「……聖闘士、それにその戦闘力、まさかあの?」

グレイフィアと呼ばれたメイドの口からそのような言葉が聞こえてきた。そして次の言葉に驚く。

「冥闘士」

「ちっ、私以外にも存在していたか」

「では、あの遺跡に書かれている事は本当の事なのですね」

「どの遺跡の事かは分からないが、こっちでも幾つか似た様なものを確認している」

どうやら悪魔の上層部、またはグレモリー家の上の方では聖闘士や冥闘士、つまりはこの世界の前の世界の事についてある程度調べているのだろう。

「失礼いたしました。私はグレモリー家に使えているメイド、グレイフィアと申します」

「リアス・グレモリー配下の兵士、兵藤一誠の仮の使い魔のやっている聖闘士の教皇、双葉だ。何処まで知っている」

「私は幾つかの単語を知っているだけです。詳しい事はサーゼクス様しか」

「お兄様が?」

確か、部長の兄は四大魔王のうちの一人だったな。かなり面倒な話になってきたな。これは早急に聖闘士の数を揃えなければならないな。このままでは悪魔勢に取り込まれる事になる。イッセー個人が悪魔勢に数えられるのは構わないが、聖闘士全てが悪魔勢と考えられるのは駄目だ。聖闘士は全てを平等に捉えなければならない。必要なら身内すらも討つ位に。

「お嬢様、私はサーゼクス様に報告しなければならない事が出来ました。今日の所はこれで」

「部長、私も急用が出来たので今から出かけます。それから部長の頼みは断らせてもらいます。私には無理ですので」

グレイフィアが転移すると同時に私も聖域に転移する。
目の前に存在するのは製作中の鋼鉄聖衣が1つと失敗作の鋼鉄聖衣が3つ。失敗作と言っても小宇宙の増幅率が低すぎるだけで聖衣としての機能は十分備わっている。

「ミルたん達に協力して貰うしか無いな。少なくともミルたん達の心根は聖闘士に相応しい。あとは小宇宙が大きければ良いのだが、今の状態でも戦闘力は青銅クラスはある。ここは失敗作の鋼鉄聖衣を与えて早急に戦力を整えるしか無いな」

ミルたんに今現在で小宇宙が大きい順に三人選んで集ってもらう様にメールをしてから製作中の鋼鉄聖衣の作成を続ける。それにしても部長は何故あんな事を言い出してきたんだ?処女を奪えだなどと巫山戯た事を。父親や兄が話を聞いてくれない、ああ、政略結婚か。それで相手が気に入らないのにも関わらず話を進められているのか。それは反抗もしたくなるな。だが、政略結婚は必要だから行なわれる。私に止める権利は無い。
愛と平和を守る聖闘士と言えど、どちらを優先するかは聖闘士毎に違う。私は平和の方に重きを置く。平和な世界こそが多くの愛を育むと信じている。イッセーは逆だ。あいつは他人を愛する心がより多くの人を平和へと導けると信じている。意見は逆だが、互いに互いの言っている事は理解できる。だけどそれで争う様な事にはならない。根本は同じで愛と平和の為に力を振るうと決めているからだ。















「ふむ、大分遅れてしまったな」

翌日の放課後、授業が終わると同時に用事があるから部活に遅れるとイッセーに伝言を頼み、ミルたん達に鋼鉄聖衣を与えた。その際にデザインが気に入らないと言われ、試作品だから我慢してくれと言うと、自分たちで作らせろと言ってきたので色々と話し合った結果、かなり遅れてしまった。結局、ミルたん達がある程度強くなった時点で聖衣の欠片以外の材料を自分で集める事を条件に認めた。
それが終わり、部室へ向かっている途中、旧校舎からグレイフィアの気配を感じた。それから感じた事の無い気配が、16か。その内2つが上級悪魔っぽいレベルの魔力を放っている。誰だ?
あっ、一人がイッセーに飛びかかって返り討ちになった。一気に部室から殺気が立ちこめて、それ以上の殺気に沈静化する。最後の殺気はグレイフィアの物ですね。ここは私も殺気を出して対抗しましょう。
面白い位に部室が静かになりましたね。大半の者が気絶したんでしょう。イッセーは小宇宙を高めて戦闘態勢を取っているようですね。このまま行くと面倒なのでしばらく様子見ですね。殺気を消して様子を窺っていると私の携帯に着信が入ります。イッセーからのようですね。

「どうかしましたかイッセー」

『双葉、今召還しても大丈夫か』

慌てた様子で私に確認してきています。いえいえ、私の殺気だと気付いて下さいよ。一度身に受けているでしょう。

「何かあったのですか?」

『今、もの凄い殺気が旧校舎に。こっちにいる全員が束になっても勝てそうにない』

「それはそうだ。私の全力の殺気ですから」

携帯の向こうでイッセーが力を抜く気配が感じ取れます。

『……何やってるんだよ』

「部室で殺気が立ちこめてたからマーキングでもしようかと思ってな」

『とりあえずは何ともないんだな』

「ああ、今日の所は顔を出さない方が良さそうだな。私は聖域に帰るから何かあれば明日の朝に連絡を入れる様に」

『了解』

携帯を切ってアナザー・ディメンションで聖域に跳ぶ。最近、自宅に居る時間より聖域に籠っている時間の方が長い気がするのは気のせいか?

 
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