ルームメイトが幽霊で、座敷童。
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プロローグ
エクトプラズムって解るだろう?
「ああ。勿論分かるとも。霊とかを物質化、視覚化する際のエネルギーまたは半物質といわれるものだろう」
「ああ。だがそれが解明されていないのさ。お分かり?」
そう言いながら俺の隣に座る少女は俺のスマートフォンを勝手に弄ってなぜかインベーダーゲームをやっている。いったいいつの時代なんだっていうんだろうか。とりあえず俺のスマフォだから返して欲しいんだけど。
「ああ。ちょっと待って。今UFO出たから」
「いやおいちょっと待て。それおれのだし」
「いいじゃん女の子の頼みくらいちょっち聞いてよ」
そんなふくれっ面されても困る物は困る。というかどうして一体彼女がここにいるかってのも俺は知らない。気付けばここにいて、そして俺のスマフォを強奪してインベーダーゲームをずっとプレイしている。まあ懐かしさからするのかもしれない。それは俺にだって解るけど、だからって人のスマフォを強奪してまでしたいことなのか。
「だって、あんた。この格好見て言えるわけ?」
そんなことを俺が言う前に少女はそんなことを言った。彼女は足の方を指差した。俺はもう分かりきってるけど、そっちを見た。
――少女の足はなかった。
そう。つまりどういうことかと言えば。 彼女は幽霊だったのだ。
まあ、彼女は確かに可愛い。それは俺も認める。なーんて言ったら全国の非リア充が「爆発しろ……」とかマジ切れするであろう。だから、そんなことはなるべく考えないほうがいいのだ。考えたら負けって言うだろう?
「あー、負けちゃったー」
「負けちゃったー……じゃないと思うんだけど。一体どうするってんだ。幽霊さんよ」
「幽霊さんとか言わないでよ。私も好きで幽霊になってるんじゃないんだからさ。ちゃんとした理由があるのよ? 私だって。でも覚えてないけどさ。とりあえず私も碧[みどり]って名前があるんだからさ。なんでそれで呼んでくれないのかなー?」
幽霊さんもとい碧さんはおしゃべりである。碧さんはおしゃべりでしかも古いゲームが大好きと来た。今の男子にとれば至極いいんじゃないだろうか? 彼女の美しさはどちらかと言えば可愛いので、少し前に流行った“ゲーム女子”なるものが今ならば理解できる。
「なあ、アイスが食べたいんだけど?」
「贅沢言うなこの幽霊。というかお前食えねえだろ」
「失敬な。幽霊も飯くらい食えるよ。だってあなた墓参りの時とかなんかいろいろおあげるでしょ? お饅頭とか水とか酒とか。実際減りゃしないけど食べてるんだよ。最近そういうのも減って嘆いてるけどねー」
「まじかー。けどうちは赤飯をあげるぜ」
「結構結構。赤飯なんて最高級じゃない。まんじゅうとかじゃ飽きちゃうのよ? というわけでアイスはよ」
「お前な……。いくらなんだってアイスを志望するのはどうなんだってんだ? 確かにこの時期はもうあつすぎるからわからんでもないが」
「ほいじゃあアイス!! あいうぉんとあいす!!」
「お前適当に英語言えばなんとか済むと思ったら大間違いだからな!?」
「いいからアイスを食べさせないとこのスマフォの電池切れるまでインベーダーゲームをやりまくるぞ?」
「ごめんなさい今から買ってきます」
ああ、我ながら弱い。どうしてスマフォの電池切れるまでインベーダーゲームという目的で奪われてしまうからってアイスをパシリで買ってこなくちゃなんないんだ。それは理不尽でひどいことじゃないのか。なあ? なあ?
「う・る・さ・い」
……すいません。いいからさっさと行ってこい(要訳)ってことですね! わかります!
「とりあえず私はここでインベーダーゲームをクリアしたいからさ。とりあえずあなたが買ってきてよ。ねえ?」
そう上目遣いで言われたら行かなきゃならないのが男の性じゃないですか!! もしやあんたそれをねらって?!
「ふんふふん、ふん。ふんふん、ふっふーん」
そんなことを考えることも彼女はなかったのか、たぶんなんかのファンタジーゲームのBGMを鼻歌をしつつまた彼女はインベーダーゲームをやり始めた。やれやれと思いつつ俺は近くのコンビニへと向かうために財布を持って靴を履き、外へ出るのだった。
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