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ロミオとジュリエット

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第三幕その三


第三幕その三

「これは妙なことです」
「何がだ?」
「我がモンタギュー家では正直は美徳であります」
 また恭しさを表だけにして述べる。
「ですがキャブレット家では違うのですか」
「何だと!?」
「キャブレット家では真実は侮辱となるのですか。これはまた素晴らしいことで」
「何だとっ」
 グレゴリオはそれを聞いて激昂を覚えた。
「我が家を侮辱するのか」
「真実を言うのが侮辱と言うのならば」
 ステファノも負けてはいない。
「そうなるのでしょうね」
「良くぞ言った」
 グレゴリオはその言葉に目を据わらせた。
「ではもう容赦はせん」
「おや、やられるのですか」
 剣を抜いたグレゴリオに嘲笑を向ける。
「本当のことを言っただけなのに」
「戯言を言った下郎を始末するだけだ」
「ではその下郎の剣にかかられるのですか?」
 ステファノも剣を抜いてきた。
「容赦はしませんよ」
「それはこちらの台詞だ」
 剣を構えて睨み据える。
「覚悟はよいな」
「そちらこそ」
 ステファノも構えを取った。
「覚悟はいいな」
「おい、どうしたんだ」
「あっ、これは」
 ここでキャブレット家からティボルトが出て来た。
「門の前で騒いで。賊か?」
「はい、モンタギュー家の者です」
「貴様か?」
「ええ、そうですよ」
 ステファノはティボルトをからかう様子で見てこう答えた。
「だったらどうしますか?」
「どうしたもこうしたもない」
 それなら彼も遠慮するつもりはなかった。
「早くそこを立ち去れ。さもないと」
「さもないと?」
「斬る」
 ティボルトは言い切った。
「覚悟はいいな」
「ほう。それでは」
「来るか?それとも」
 ティボルトは問い詰める。だがここでマーキュシオ達がやって来た。
「くっ、こんな時に」
「ステファノ、そこにいたのか」
「マーキュシオ様」
「どういうつもりだ、ティボルト」
 マーキュシオが彼に問う。
「モンタギュー家の者に対して剣を向けるのだな」
「無礼を働いたのはそっちだ」
 グレゴリオが抗議する。
「それでどうして剣を抜かずにおられようか」
「そうか、ならばこちらも相手をしよう」
 マーキュシオも剣を抜いた。後ろにいる者達も。
「やるつもりか?」
「剣の為にある」
 マーキュシオはティボルトを見据えて問う。
「敵を斬る為だ」
「そうか、ではこちらも容赦はしない」
 キャブレット家の他の者達も剣を抜いた。そして双方対峙しはじめた。
「下がるならよし、下がらなければ」
「下がるなよ、モンタギュー家の意地にかけて」
 双方睨み合う。一触即発の事態になっていた。
 そこにロミオがやって来た。慌てて双方の間に入った。
 
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