ヘタリア大帝国
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TURN64 バルバロッサ作戦その六
「例え相手が誰であろうとだ」
「ソビエトであろうとも」
「ソビエトは確かに強い」
レーティアもこの国、次の敵を決して侮ってはいなかった。
「だがだ」
「全てはわかっているわ」
「何もかもが判明している敵を破ることは造作がない」
例えどれだけ国力差があってもだ。レーティアにとってはそうした相手なぞ最早敵にはならないのである。
「だからだ。ただ」
「ただ?」
「モスクワの南だが」
不意にこんなことも言った。
「何かあるのか」
「モスクワの?」
「あの場所に艦艇が移動している様だが」
「モスクワの南に星域はないわよ」
「その通りだ」
レーティアも世界のほぼ誰もがそう思っている。
「そして大怪獣がいるのか?」
「ソビエトに?」
「まさかとは思うがな」
「そんな話は聞いたことがないわよ」
「私もだ」
これまた世界のほぼ誰もが思っていることだ。
「冬将軍スノーはいるがな」
「けれど彼女についても」
「ソビエトの寒さ自体にな」
会議でレーティアが言った通りそれは既にだった。
「対策はしている」
「だから大丈夫よね」
「その為の防寒艦だ」
レーティアがわざわざ開発、建造させた艦である。
「あれがあるからだ」
「大丈夫よね」
「寒ければ温めればいい」
実に簡単な理屈だった。
「埃は払えばいいのだ」
「同じ理屈ね」
「打てる手は全て打つ」
レーティアの持論でもある。
「そして私は全て打った」
「バルバロッサ作戦の為に」
「後はコントロールするだけだ」
レーティアは言う。
「それだけだ」
「その通りね。それじゃあ後は」
「私はこのベルリンで全てを統括する」
バルバロッサ作戦のそれをだというのだ。
「ソビエトとの戦い、勝つ」
「何としてもね」
グレシアも勝利を確信していた。だが。
レーティアの顔色が思わしくないのを見てこう彼女に尋ねた。
「ちょっといいかしら」
「何だ?」
「寝てる?最近」
つまり休んでいるかどうかだというのだ。
「ちゃんと」
「寝ている暇なぞない」
これがレーティアの返答だった。
「バルバロッサ作戦成功の為には睡眠なぞ」
「寝ていないのね、つまりは」
「この作戦にドクツの全てがかかっているのだ」
このことはまさにその通りだ。ドクツの全てを賭けた空前絶後の作戦だ。
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