仮面ライダーディザード ~女子高生は竜の魔法使い~
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epic6 告白…エリカと片桐の過去
ベルフェゴールとの戦いから数日後…城北署の特別室で、片桐と宇佐美が破損したアームズの装甲と折れたメタルカリバーを見てため息をついていた。
何せ20年前の装備である、長い間使用していなかったとは言えあまりにも装甲の破損がひどすぎる事に、二人は頭を抱えていたのである。
その一方で…アームズリングは無傷であったものの、白い煙が上がっておりまともに使用できる状態ではない。
「…まさか、ここまで破損するとはな。正直、これはひどすぎる。」
「はい、高品の力はあなどれません。しかも一撃でこれですからね…。」
「ふむ。ここは一つ、わしの妻に頼むとしよう。」
「妻?まさか…。」
すると、宇佐美は携帯を取り出しいずこかに連絡を入れ始めた。
それから数十分して、特別室に白いローブをまとった魔法使いが五人の錬金術師を率いてやってきた。
腰まであるゆったりとした白いローブに身を包み、ディザードに似たスカイブルーの仮面をつけ、またエリカや片桐とよく似たディスクを持つ白い魔法使い…天王寺 サヤカは、エリカの祖母にして世界規模の魔導士特務機構『エーテル』の理事長である。
ちなみに、署長の宇佐美とは性こそ違うが夫婦であり、片桐とは師弟関係にある事をつけ加えておこう。
「片桐や、久しぶりじゃのう。」
「これは師匠、お久しぶりです。」
「サヤカ、遅かったじゃないか。」
「まぁ、支度とかで時間を割いてしまったからのぅ。…ところで、これかな?破損のひどい装甲と大剣は。」
「はい、かなり手ごわい相手でした。こんなにボロボロですが、何とか直るでしょうか?」
「まぁ心配しなくとも大丈夫じゃ、すぐに使える様にするからの。」
片桐がサヤカに被害状況を報告している中、早速二人の錬金術師がメタルカリバーの修復作業をすべく準備を開始していた。
「では理事長、修復作業を開始します。」
「うむ、ではすぐに始めてくれ。」
「わかりました。」
二人の錬金術師は準備が整うと、折れた箇所にくるみ大の銀色をした物体…『賢者の石』をかざして魔力を注入し、折れた刀身をつなぎ合わせていく。
一方で、別の錬金術師は袋からスマートフォンに似た装置を取り出し、柄と刀身の境に装置をはめ込むターミナル・スロットを組み込み、そこに装置をはめ込んでいた。
「師匠、その装置は?」
「あぁ、これか?…この装置は『エンチャント・フォン』と言ってな、これを使えばタッチパネル式で魔法が使える便利なアイテムじゃよ。」
「タッチパネルか…扱うのに時間がかかりそうだな。」
「この手の機械は苦手なのかえ?」
「いえ、そうでなくて…私は携帯の操作には慣れているのですが、さすがにこの手となると…。」
「まぁ慣れれば大丈夫じゃろうて。使い方に注意すれば、こんなに心強いツールはないぞ。」
「あ、はぁ…。」
本当に大丈夫だろうか…?
片桐は本当に使いこなせるか不安で仕方がなかった。
「理事長、やはり右腕関節部のマジックジェネレーターが破損していますね。あと、脚部は破損をまぬがれていますが、胸部装甲だけは50%新品に交換しないと、次の戦闘で攻撃を完全に防御しきれるか保証できません。」
「ふむ、なるほどのぅ。確かにこれはひどいわぃ。」
「それと、魔力伝達部が破損していて武装魔法が使用不能になっています。伝達部分を交換しその後各部を調整すれば、また使える様になります。」
「そうか、これは大規模な改修作業になりそうじゃのぅ。」
サヤカは頭をかきながら状況報告を聞き、片桐は完全に全てが破損していない事にホッと一安心して、胸をなで下ろしていた。
だが、修復作業はすぐに終わる程簡単ではなく、装甲の修理を含めた全修復が完了できるまでに最低半日はかかると錬金術師は三人に告げる。
そう、ベルフェゴールは前の戦いでかなり手加減していたのかも知れないが、それでも片桐のアームズをいとも簡単にあしらっていた…彼の魔力はそれだけ強大なのである。
が、片桐はまるで大した事がなかったかの様にサラリと答えた。
「…いや、むしろ半日なんてそんなに長く感じませんよ。魔力を封印していた時期に比べれば、まだ軽い方ですから。」
「そうですか、では早速作業を始めます。」
「あぁ、大至急頼むよ。」
「なるべく早く仕上げておくれ。」
サヤカからの許可が下り、錬金術師達は伝達部の修復作業を開始した。
アームズの胸部装甲が外され、そこからひび割れた大人の手のひらくらいの魔力伝達用魔法石が現れる。
錬金術師達は周囲にある魔力伝達パーツを取り外し、魔法石の交換を開始すると同時に装甲の修理も始まった。
「さて、わしは皆が修復を進めている間にエリカのいる館に行ってくるよ。ちょっと渡しておきたい物があるからのぅ。」
「では師匠、俺も一緒でいいですか?」
「ふむ、いいじゃろう。ボディガードを頼みたいが、よろしいか?」
「はい、師匠。よろこんで!」
「サヤカ、エリカによろしくな。」
「あぁ、ちゃんと伝えておくよ。では、行ってくるわぃ。」
「「「理事長、いってらっしゃいませ。」」」
『テレポート・ワム!!』
サヤカは皆にエリカの元へ向かう事を告げると、片桐をボディガードに西条家の館に向かってテレポートリングを使った。
さて、西条家の館前にやってきた二人は、庭でティーセットを用意していたメイド姿のエリカに会い、手厚い歓迎を受けた。
実は、前日にティーパーティーをやりたいとサヤカから連絡を受けており、二人はパーティーの仕度をして待っていたのである。片桐は数日前エリカが受けたダメージを気にしていたが、彼女の白い肌は傷一つついておらず美しいままであったため、片桐は一安心していた。
「おばあちゃん、いらっしゃい!それに片桐さんも、さぁどうぞ!!」
「エリカや、久しぶりじゃのう。」
「それじゃ、おじゃまするよ。」
ティーセットの準備が整った後二人は席に着き、ケーキを持ってきた同じくメイド姿のサラも加わり、四人によるティータイムが始まった。
テーブルの上には、自家製ハーブティーはもちろんパイ包みのカップケーキや手作りのクッキーが並び、テーブルに彩りをそえる。
サヤカは仮面を外し、穏やかな笑みを皆に見せハーブティーを一口飲んだ。
よく見ると彼女の顔つきはエリカに似ており、しわの一つも全くなく白い肌をしている。
そう、下手すれば双子か?とさえ思えるほど似ているのだ。
「さすがエリカのいれたハーブティーじゃ、うまいのぅ。」
「師匠、私が言うのもなんですが…エリカちゃんによく似ていますね…。」
「ん?そうかぇ?」
片桐はサヤカの顔をしげしげとながめ一言告げたが、サヤカは全く意に介さずサラリと流し、手前にあったクッキーを一口かじった。
「…ん?このクッキー、やたらと塩気が強いのぅ。」
「…それを作ったのは私です。すみません、おば様…orz」
「いいんじゃよ、サラや。」
サヤカの前で深々とあやまるサラを、サヤカは笑って許した。
実はスイーツを作るのに関しては全くの素人のサラは、本日理事長が訪ねてくると聞いてクッキーを作ったのだが、どうやら塩の配分を間違えたらしい。
そして、ハーブティーの中身が半分になったところで、エリカは片桐にこんな話を切りだした。
「…ところで、片桐さん。」
「ん?どうしたんだ、エリカちゃん。」
「実は、この間からずっと気になっていたのですが…片桐さんが魔法使いになった理由が何なのか、それを知りたいのです。」
そう…以前の戦いで見せた、片桐の魔法使いとしての姿。
彼女はあの姿が今でも頭から離れられず、授業中でもポスターカラーの配色を間違えるミスをしたりと上の空状態だったのである。
気にならない、と言えばうそになるが…気になるのはどうしても気になって仕方がない。
そこでエリカは、今回それをはっきりさせようと話を切りだしたのである。
もちろんただで話し合う訳ではなく、自分の過去もきちんと話す事を念頭に置いて。
「魔法使いになった理由か…わかった。エリカちゃん達とはいずれ話そうと思っていたが、まぁ秘密にする気もないしな。」
「では、お願いします。」
北海道生まれの俺は、3才の頃から魔法を操る力を自然と身につけ、小学2年生に上がると魔法だけではだめだと思い立ち、空手家の両親から空手の技も教えてもらったんだ。
と言うのも、この当時…世界では魔法や超能力を使った犯罪が多発しており、毎日流れてくる犯罪のニュースに俺は心を痛めていた。
両親の血は争えないもので、この頃から悪は絶対に許せなかった…いかなる理由があろうとも、なかろうとも。
だが、そんな中『魔法刑事』こと宇佐美刑事の活躍には目を見張るものがあったんだ。
あらゆるリングを操り、超能力者や魔導士の犯罪者を逮捕してゆくその様は、まさに英雄そのものだった。
その時俺は思った…何としてでも宇佐美刑事の力になりたい、悪を許してはならない、と。
そのため俺は魔法と体、そして空手の技を更に磨いていき、そして11才の頃に師匠が主宰するエーテルが人材募集をしているのを雑誌で知ると、俺はそこの門を叩いて理事長の弟子になった。
理事長の師事を受けた俺は、その後も実力で小中高を卒業後警察学校に入校し、実力と魔力と空手の技を更に磨き…やがて俺は刑事に昇進した。
そしてエーテル幹部陣からアームズリング一式までいただいた俺は、それを犯人逮捕に役立てていったんだ。
そう言えば、俺は不死身の体力と人間ではない剛腕で事件を解決すると噂され、仲間の刑事や部下から「妖怪刑事」と呼ばれていたのも、この頃からだったな。
「これが、俺が魔法使いになった理由だよ。」
「おじいちゃんは、やっぱりすごいです…私、感動しました!」
「そうだな、何だかんだ言ってもやはり宇佐美署長は、すごい人だよ。」
エリカは、おじの宇佐美の偉大さをかみしめながら天を仰ぎ見ると、姿勢を正し片桐に次の質問をした。
「…では、あのベルフェゴールとの関係は?何か訳ありだと思うのですが。」
「……。」
だが、エリカからの質問に片桐は急に黙り込んでしまった。
話しても別にかまわない…片桐は先程そう言ったのだが、この件に関しては別である。
何より、あのベルフェゴールとの戦いを体験したエリカに、これ以上の重荷を背負わせたくはない…そう感じていたからだ。
片桐は言葉を選びながら、エリカに力なく答えた。
「エリカちゃん、今はこの事は話せないんだ。本当にごめん。」
「えっ…。」
片桐はエリカに深々とあやまっていたが、エリカは「どうして?」と喰い下がり引く気配がない。
しかし、それを察知したサヤカに止められ、続いてサラも止めに入った。
「まぁ、落ち着きなさいエリカ。こればかりは大人の事情ってやつさ、聞かない方がいい。」
「うん、私もおば様と同じ意見よ。あまりこれ以上片桐さんの事に首を突っ込まない方がいいよ、エリカちゃん。」
「…あ、はい。そうですね、私も片桐さんの私情を考えないで質問した事にあやまります。ごめんなさい。」
「あ、いいんだよエリカちゃん。…時期が来たら、その時は俺の方から話すよ。」
空気を読んだサヤカとサラのフォローもあり、片桐は内心ホッと胸をなで下ろし、エリカは先程の非礼をわび深々とあやまっていた。
だが、片桐は思う。
エリカちゃん自身、まだ完全に自分の力を引き出していない…その状態でベルフェゴールに立ち向かっても、正直な話勝てる保証はどこにもない、むしろ自分から死にに行くようなものだ。
しばらくはエリカちゃんの力になって、奴と互角に戦える程の実力を蓄えてから因縁話をしても、遅くはないだろう…と。
「さて、次はエリカちゃんの番だ。いろいろ話を聞かせてほしいな。」
「はい、わかりました。では、稚拙ながら…。」
次は私の番ですね…。
エリカは軽く深呼吸した後、自身がなぜ魔法使いになったのか、そのいきさつを話し始めた。
スウェーデンで生まれた私は、お父さんとお母さんが魔法使いと言う事もあってか…生まれて間もなく簡単な物体浮遊魔法を使って、両親の知り合いの錬金術師さんや魔導士さん達から将来大物になれるよ、とほめられました。
実は、中学生の頃にお母さんから私が生まれる前に不思議な夢を見た、と話してくれた事があるのです。
それは、はるか遠い地からやって来た魔法竜・マギカドラゴンの魂が、生まれてくる胎児…つまり私に宿った夢なんだよ、と。
そして私が幼稚園に入ると、魔導士さんや錬金術師さん達が、私に魔法のいろはやリングとディスクの使い方を徹底的に教えてくれました。
やがて両親の都合でスウェーデンから日本に来て、東京の小学校に入学した時もおばあちゃんから魔法の事を教わり、小学2年生になった頃には私の体内にいるマギカドラゴンとディスクで会話ができるまでになりまして、小学3年生に上がった頃にはおばあちゃん達ですら舌を巻く程に魔力と実力が高まったのです。
もちろん、マギカドラゴン…マックのサポート無しではここまで伸びる事などあり得ませんし、私自身も相当努力しました。
それに元々私に備わっていた魔力の高さも、大いに関係しているのかもしれませんね。
やがて私が中学校に入学すると、夢の中でマックに会う様になり…彼から魔法の歴史や更なる知識を色々と教わりました。
また、マックからは歴代の竜の魔法使いに関する知識や剣技も同時に教えてもらい、私はより一層竜の魔法使いに近づいたと感じました。
そして、その時私は思いました…私自身の魔法を人助けに役立てたい、弱い人の力になりたい…と。
「俺と生活環境が違うとは言え、エリカちゃんはエリートすぎる…orz」
「か、片桐さん、そんな事はありませんよ。私だって魔法や剣技を覚えるのにすごく苦労したのですから。」
片桐が若干へこみ、エリカが何とかなだめながらも、エリカは更に話を続ける。
中学を卒業した日の深夜、私は夢の中でマックに会い…彼から一つの仮面を象った青いリングを託されました。
聞けば、このリングは初代竜の魔法使いが使用していたリングであり、竜の魔法使いに代々受け継がれてきた物だとか。
私はマックからリングを受け取り、歴代の使い手の重みを体で感じ取りました。
世界を守るために命を懸けて戦った歴代の竜の魔法使い達の息吹が…鼓動が…私の体を包み込み、春風の様に駆け抜けていくのを感じました…。
やがて朝が来て、私が目覚めると…夢の中でマックからもらったリングが右手に握られていたのです。
これが、私が竜の魔法使いになったいきさつです。
「…なるほど、これでエリカちゃんが竜の魔法使いになった理由がわかったよ。」
『うん、エリカちゃんは僕の話を素直に聞いてくれたし、何より他の人より血がにじむ程の努力をしたから、竜の魔法使いになれたんだと思うね。』
「マック…///」
「本当に、若いっていいのぅ。昔を思い出すわぃ。」
「うん、エリカちゃんがすごくうらやましいよ。私なんて、魔法の成績はあまりよくないし。」
「そんな…先輩にだって指輪職人の腕があるじゃないですか、魔法が弱くてもそれだけで十分立派ですよ?」
「いえいえ、私なんてまだまだよ。私みたいな腕前じゃ、ご先祖様に肩を並べようとしても…並びきれないよ。」
「そこは、まぁ…今後の経験と気合いじゃな。」
そんなこんなで四人の話は盛り上がっていき。
やがて夕日が沈む頃になり、ここで四人のティーパーティーはお開きとなった。
四人で食器の片付けを始め…やがて一段落ついた頃、サヤカはエリカを呼び止めるとコネクトを使い、二つのリングを取り出しエリカに手渡した。
一つは金色に輝く美しい剣とユニコーンの青い角が交差するリング、もう一つは巨大な爆弾が刻まれている何やら怪しげなリングである。
「おばあちゃん、これは?」
「エリカの新しい力さ。きっと役に立つから、大事に使うんだよ。」
「…はい、ありがとうございます!」
そして、サラも呼び止めると今度はローブの裾から青く輝く魔法石を手渡した。
サヤカの話によると、スペイン・アンダルシア地方で発掘された魔法石で、かなりの貴重品だと言う。
「お、おば様…いいのですか?これをもらって…。」
「なに、エリカをサポートしてくれたお礼じゃよ。大事に使うのじゃぞ。」
「あ、ありがとうございます、おば様。このご恩は、絶対忘れません!」
二人の笑顔を見届けたサヤカは、片桐と共に警察署に引き返すべく、別れの挨拶をしていた。
「エリカや、今日はありがとう。楽しいお茶会だったよ。」
「ありがとうございます、おばあちゃん。また、おいで下さい。」
「エリカちゃん、また明日な!」
「片桐さんも、お気をつけて!」
そして二人は、テレポートリングで警察署へと引き返していった。
警察署に戻った二人は、早速特別室へと足を運ぶ。
すでに改修が終わり、仕上がったであろうアームズの装備一式を受け取るためである。
「あ、理事長。お待ちしておりました。」
「おぉ、サヤカか。待っておったぞ。」
「うむ。それで、改修作業はどうなった?」
「はい、こちらに。」
「やはりサヤカが厳選した錬金術師じゃ、手際が良すぎてわしもびっくりしたぞ。」
錬金術師が、うやうやしく改修を終えたアームズリングを片桐に差し出し、片桐はそれを受け取るとアームズドライバーをセットしアームズリングをドライバーにタッチした。
『A・R・M・S、GO!アームズ!!』
音声は以前の男臭い音声からさわやかな男性の声に変わり、更にアームズの装甲はメタリックグレーから白を基調としたカラーリングに大変身し、防御力も上昇していた。
当然中のシステムもリニューアルされ、関節部の動きやすさも大幅に向上している。
現に、アームズが一歩進むと今まで機械的に動いていた関節部も、普通に歩く感じでスムーズに稼働していた。
「…おっ、なめらかに動く!これはすごい!!」
「それはよかったわい。…今後はあまり無茶をしてはいかんぞ。」「わかっています、師匠。次からは十分に気をつけます。」
その後も、武装の取り出しや取り回し等のチェックを済ませ大満足で変身を解除した。
本局に帰る時が近づき、帰り支度を整えたサヤカに片桐と宇佐美は感謝の言葉を贈った。
「師匠、今日はありがとうございました。」
「今度来た時に、わしの自慢の手打ちうどんでも作ってごちそうするよ。」
「ありがとうな。…では、まだ雑務が残っているから、これでおいとまするよ。」
「ではまた、お会いしましょう。」
そしてサヤカはテレポートリングで錬金術師達と共に本部へと引き返していった。
見てろよ、高品。次こそは…。
夜になり、片桐は城北署の屋上で一人夜空を見上げながらタバコをくゆらせ、きらめく星空に誓っていた。
いつか、高品…ベルフェゴールを完膚無きまでに叩きのめしてみせる、と…。
その頃、ベルフェゴールは城北町から数百メートル離れた小岩山の中腹にある洞窟で、一個の培養カプセルに魔力を送り続けていた。
そのカプセルの中には、人型をした謎の発行生命体…新しいホムンクルスが静かに横たわっている。
「さぁ、私の魔力をたっぷりと吸いなさい。そして、生まれ変わるのです。」
中にいるホムンクルスは、ベルフェゴールの魔力を吸収すると満腹になったのか静かに眠りについた。
このホムンクルスは一体何なのか?また、ベルフェゴールの真の目的とは?
そして、エリカ達とベルフェゴールの知らないところで…新たな脅威が動き出そうとしていた。
後書き
次回、epic7 「驚愕…新たな敵・ベクターノイド」
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