【完結】剣製の魔法少女戦記
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第三章 聖杯大戦編
第六十八話 『対サーヴァント会議』
前書き
前哨戦後の会議みたいなものです。
Side シホ・E・S・高町
あれから月村邸に帰宅して作戦会議を行っていた。
「今回はなんとかなったけど、英霊ヤガミには驚かされたわ。はやてには悪いけどキャスターはもう別人と思ったほうがいいわ」
「そうやね…。でも私にそんな可能性があったやなんてな。
シグナム達も理性をなくしてるやなんて、なんか悲しいわ…」
「主…もし今度キャスターが出てきましたら私達の相手は我ら自身が行います」
「そうだな。あたしらで方をつけなきゃいけないな」
「そうですね」
「うむ」
ヴォルケンリッターはやる気を出しているようだ。
「それより志貴がいるって本当!?」
「本当よ。ファニーヴァンプ。自分で殺人貴と名乗ったから間違いないわ」
「そっかー。志貴がいるんだー。えへへ」
ファニーヴァンプは恋する乙女のような顔になる。
「…そうか。妹もシエルもいないから私が志貴を独占できるチャンス…。そうね。決めたわ。志貴を捕らえたら私の使い魔にするわ!」
ファニーヴァンプは力強く宣言する。
「でも、それだとはやての負担がひどくなるけど大丈夫…?」
「それはどういう意味だ? シュバインオーグ?」
「単純な話よ。はやてのサーヴァントであるファニーヴァンプがアサシンをさらに使い魔にするって事ははやてが二人分の現界できる魔力を補わければいけないわ」
『あっ…』
全員がそれに思い至ったのか顔をしかめる。
だけどファニーヴァンプは慌てずに、
「そこはゼル爺に頼んで私と志貴の体を作ってもらうのはどうかな? ようは私自身で魔力を精製できればいいんでしょ?」
「まぁ、それなら…ちょっと待ってね?」
私は宝石剣を取り出して集中する。
すると少しだが色が宿りそれを合図に、
「大師父…聞こえますか?」
『…ん? どうしたのだ、シホ?』
「ちょっと相談したい事があります。お時間よろしいでしょうか…?」
『わかった。すぐに向かおう』
「ありがとうございます」
それで通信を終了させる。
だがそこでリンディさんが驚いた顔で、
「シホさん! 宝石剣は通信もできたのですか?」
「えぇ、まぁ。同じ世界にいる時限定ですが…」
そんな事を話している間に空間が歪み大師父が姿を現した。
「何用じゃ、シホ?」
「はい。ファニーヴァンプの件についてなんですけど…」
それで大師父にファニーヴァンプの提案を話す。
「なるほど、新しい体か。アルクェイド。遠野志貴…いや殺人貴を使い魔にするというのは本気か?」
「えぇ。ゼル爺。うまくやってみるわ」
「うむ。ならば蒼崎に依頼してみよう」
「ありがと! ゼル爺!」
「うむ。それで他になにか頼み事や相談ごとはあるかの?」
それならあれを聞いてみよう。フェイトも気になっていることだろうしね。
「でしたら大師父。ちょっとこの映像を見てもらっていいですか?」
そう言って私はアンリミテッド・エアに記録されているアリシアの映像を映す。
「彼女を見てどう思いますか? 彼女は一度死んでいるのに今はああして虚ろながらも生きています。
あれは何かの魔術なんですか?
大師父の知識をお借りしたいんですけど…」
「そうだのう…。もしやしなくても彼女の体は死体じゃ。そして魂も彼女のもので間違いない」
「それじゃ…!」
フェイトが声を上げる。
「じゃが無理矢理魂を呼び寄せているようじゃな。見たところ不安定と見て取れる。これはおそらく『死霊魔術師』の仕業じゃな」
「ネクロマンサー!?」
私が驚くとフェイトが反応して、
「シホ、ネクロマンサーって、なに? 一体アリシアに何が起こっているの?」
「わかったわ。ネクロマンサーとは死んだ人の魂を呼び出して使役し死体に宿らして操る者の事よ」
「そんな…。それじゃアリシアは…」
「おそらく考えている通りだと思うけど、多分アリシアの死体は火葬される直前に盗まれてしまったんでしょう」
「くっ…っ…許さない。アリシアを、お姉ちゃんの魂を踏み躙るような事をするなんて…!」
フェイトは涙を流しながらも悔しがる。
その気持ちには同意できるわ。
「…アリシアを救いましょう。もしうまく行けばアリシアを助ける事ができる」
「でも、どうやって…」
「ここは私の【第三魔法】が役立ってくるわ。
アリシアを助けたとしてもアリシアの体は死体だからそう長く持たない…。
だから魂の物質化で魂を救った後、………大師父、もう一人分人形の身体を依頼していいですか…?」
「…いいのか、シホ? つまりそれは死者を蘇らせる事になるんじゃぞ?」
「はい、わかっています。本当は禁忌だという事は…。でも、フェイトとアリシアには幸せになってもらいたい。だから…今回、一度だけですが禁忌を侵すのを許してください」
大師父はしばらくして「ふっ…」と笑い、
「よかろう。シホの好きにすればよい。じゃがその責任は重大じゃぞ?」
「はい、わかっています」
「了解した。蒼崎にそれも依頼してみよう。素体はフェイト嬢の身体でよいな?」
「お、お願いします…!」
フェイトは少し顔を赤くしたがそれで承諾した。
「フェイト。アリシアを必ず救いましょう!」
「うん…必ず!」
フェイトとアリシアを救おうと誓うが、でもやっぱり迷いが発生してしまう。
「でも、それだと私はプレシアに謝らないといけないわね」
「母さんに? どうして…?」
「だってプレシアが目指していたアリシアの蘇生を私が代わりにしようとしているんだから。
それにあのプレシアとの決戦の時、私は死者は決して蘇らないと声高らかに言っちゃったから今の私の行動は矛盾してしまうのよ」
「それは…」
「そして、いざ魂の物質化が使えると分かったら、アリシアを助けようとそれを使おうとしている。
言った言葉の責任を放棄する形になるかもしれない無責任な行為よ」
自分で救うと言っておきながら今更悩みだしている。
私に覚悟が足りていない証拠だ。
これでは後悔が残ってしまう。
そんな時にフェイトが私の手を握ってきて、
「母さんとアリシアの為にそんなに必死になって考えてくれてありがとう、シホ…。でも、きっと大丈夫だよ。
アリシアも今は操られているけどきっと心では今も助けてって叫んでいると思うんだ…。
だからシホが助けたいと思うなら私達もシホの行動は認めるよ」
「フェイト…」
「だからいつものシホに戻って。いつものように自信を持って言い切って! 私は、私達はそんなシホがいいんだよ!?」
『うん!』
それでなのは達も頷いてくる。
そうね…。
「ありがとう、みんな…。そうね…。弱気になっていたわ。だけどもう迷わない。この力で救える人がいるんだから救わなきゃね」
「うん!」
それで私も心を決めた。
「うん。それじゃ、後の問題はフィアだね」
ユーノがそう切り出す。
それは考えなかった事はないわ。フィアは私の妹分なんだから必ず救い出すと決めているんだから。
「クラウスのマスターがおそらくその彼女でしょう。クラウスもそれで本気が出せていなかったようですから…」
オリヴィエ陛下がそう言う。確かに彼ならもっと善戦できただろう。
「…あの、ファイター。クラウスって誰のことなんですか?」
「なのは。そうですね。古代ベルカ諸王時代には様々な王がいました。
その中で私は『聖王』と呼ばれ、クラウスは『覇王』と呼ばれていました。
彼とは幼馴染で何度も武を競ってきました。シホ…シルビアも会ったことがあるはずです」
陛下がシホではなくシルビアとして話を振ってきたので、
「はい。陛下。私の記憶にも彼の姿は残されています。まぁ、その時の私には錬金術の力はあっても武の才能はからっきしなかったので競う機会はありませんでしたが…」
それでつい昔話に花が咲きそうになるが今は会議中だという事で今は後の機会ということになった。
「それで話は戻りますがフィアは絶対に救い出すという事は決定ですね。フィアは私の大事な妹分で友達だから」
みんなもそれに関しては異論はないらしく無言で頷く。
「さて、では今のところのまとめと行こうか」
士郎がそう話を切り出す。
「今現在判明している敵は、
セイバーが『アルトリア・ペンドラゴン』。
ランサーが『ディルムッド・オディナ』。
ファイターが『クラウス・G・S・イングヴァルド』。
キャスターが『ヤガミ』。
アサシンが『殺人貴』。
バーサーカーが『ランスロット』。
…そして残りはおそらくアーチャーのクラス。
このサーヴァントは元から召喚されている『ギルガメッシュ』が当てはまるのだろう」
「そしてマスターは、
セイバーのマスターが『ノア・ホライゾン』。
ランサーのマスターが『ミゼ・フローリアン』。
ファイターのマスターがおそらく『フィアット』さん。
アサシンのマスターが『三菱彩』。
キャスターとバーサーカーのマスターはまだ判明していませんが、ギルガメッシュのマスターが『言峰綺礼』だというのは疑うべくもありません」
リンディさんがそう続ける。
「こうして並べてみますとやっぱり強敵だらけですねぇ…」
「呵呵呵、倒しがいがあるというものよ」
「しかし、聖杯に英霊の魂をあまり送るわけにもいきませんから私達は脱落するわけにはいきませんね…」
「金ぴかは絶対に殺すわ」
「俺もあの金バカは殺すつもりだぜ」
「奏者には勝利を捧げよう」
「必ず勝ちましょう!」
サーヴァント達はそれぞれ士気を上げているようだ。
だがそこでなのは達が、
「あの、私達はなにかできる事はありませんか?」
「うん。色々と協力したい」
「そうやね。少なくとも自分自身とだけは決着付けたいわ」
「…うん。気持ちは嬉しいけどやっぱりサーヴァント同士の戦いに人間は介入できるものではないから、だから令呪を使うタイミングをはかってもらっていてほしいわ」
「でも、シホは…」
「私はアルトリアとユニゾンする事でサーヴァントと同等の力を得られるから大丈夫よ。セイバーと同等とはいかずともそれなりに戦えていた事はもう知っているでしょ?」
「うん…」
それでなのは達は納得してくれたようだ。
「それじゃ今日の会議を終了しましょうか。今後もいつ敵が襲ってくるか分からないからまとまって行動しましょう」
「では儂も行くとしようか。…っと、フェイト嬢の体を調べんといかんな」
私の言葉で今日はお開きとなり、大師父もフェイトの体を何かの魔術で調べた後、色々と準備があるため姿を消した。
後書き
今回オリジナルのマスターにはApocryphaの赤のセイバーのマスターの獅子劫界離の使う魔術であるネクロマンサーの設定を使わせてもらいました。
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