DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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四章 モンバーバラの兄弟
4-10えげつなくて派手
「なんだそりゃ……。随分えげつねえな」
「僕くらいの力でも威力が出るし、遠くから攻撃したり、やりようによってはまとめて倒したりできるし。いいと思うんだけど。」
「まあ、オレが使うんじゃねえし。いいけどよ、間違ってぶつけんなよ」
「兄さんには、これはどう」
鉄でできた扇を差し出してくる。
「うーん。悪くはねえがな」
「舞の動きには合いそうだけど」
「どうせ、そう威力は出ねえからなあ。どうすっかな……お。こいつは」
刀身がギザギザした造りのナイフを手に取る。
「敵を麻痺させる、毒蛾のナイフ、ね。悪くねえな」
「造りといい、効果といい。よっぽどえげつないじゃないか」
「牽制にも、いざって時にも使えるじゃねえか。オレはこれにするわ」
「オーリンさんは」
「私は、この鉄の槍で十分です。使いなれておりますから。」
次に、防具屋をのぞく。
「お、いいのがあるじゃねえか」
毛皮のコートを手に取る。
「また、派手だね……。」
「軽い割に守備力が高くて、しかも派手。オレにぴったりだな」
「そうだね、ぴったりだ。僕はこれにしようかな」
鉄の鎧を手に取る。
「また堅実ってか、地味ってか。まあ、お前にぴったりだな。」
「オーリンさんは」
「私は、このままで十分です。身に馴染んでおりますから。」
装備を整え、町を出る。
少し行ったところに、祠を見つける。
「ん?あれは。まさか鉱山ってこたあ、ねえな」
「この辺りに、お告げ所があると聞いたことがある。何か気になる、行ってみよう。」
「そういうなら、そうすっか」
祠の中には、巫女がただひとりでいた。
「ここはお告げ所。神のお告げが下る、聖なる祠。」
「巫女様。私たちは、仇討ちの旅の途中なのです。私たちにもお告げを、くださいませんか。」
「お待ちください。……。
あなたがたが、仇と狙う男は、巨大な、暗黒の力によって、守られています。」
「なんだよ。縁起でもねえ」
「兄さん。静かに」
「しかし、案ずることは、ありません。」
「もったいぶってんなあ」
「兄さん。」
「わかったよ」
「私には、見えるのです。あなたがたもまた、光り輝く力によって、守られているのが……。」
「光り輝く、力……。」
「今は、小さな光ですが。いくつも、いくつも、導かれて。やがて大きな、力となるでしょう。」
「今は……。」
「焦っては、いけません。あなたがたが、絶望に打ち拉がれた、そのときこそ。あなたがたの、旅が、始まるのです。」
「絶望に、か。本当、縁起でも無かったぜ。……なあ、ミネア。お前さ。」
「……」
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