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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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四章 モンバーバラの兄弟
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「マーニャ様!今夜が最後だなんて、嘘でしょう!」
「マーニャ様に会えないなんて!悲しくて死んじゃうー!」
「行かないで、マーニャ様ー!」

 通路と外とを隔てる柵に遮られ、出待ちの女性たちに取り囲まれることは無い。
 適当に手を振って愛想を振りまき、宿舎に入る。


「相変わらず()()ないね、兄さんは」
「お前はよくやるな。金にもならねえところで、いちいちやってらんねえよ」
「明日の出発も、大変そうだ」
「……明日は、早く出るぞ」
「ちゃんと起きろよ、兄さん。」


 翌早朝、ミネアに揺り起される。

「兄さん。おい、兄さん。」
「……んだよ……まだ、はえーだろ……」
「早く出るんじゃなかったのか。囲まれたいなら、いいけど」
「っ!そうだった!ミネア、とっとと出るぞ!」
「はいはい」

 宿舎を出て劇場を離れ、町に出る。

「ここまで来りゃ、そうそう囲まれねえだろ」
「じゃあ、予定通り。出る前に、もう一度ひと通り、町を調べようか」
「だな」


 (かたき)の姿を探し、情報を求め、町を歩く。
 今さら都合良く仇が見つかるはずも無く、キングレオ城で連日開かれる宴のために娘を集めていること、城に行くことになっていたリンダという娘が逃げ出して、行方不明になっていることを、聞くに(とど)まる。

「キングレオの話は、占いの客にも聞いていたけど。逃げ出したのは、なぜだろう」
「城なんて堅っ苦しいとこ。行きてえヤツばっかじゃねえだろ、逃げたきゃ逃げんだろうよ」
「また兄さんは。今は少しでも情報がほしいんだ、簡単に流すなよ」
「へーへー、悪かったよ。じゃあ探しゃあいいんだろ、リンダとかいうのをよ。」


「誰をお探しかは知らんが、この部屋にはわししかおらぬ。立ち去られよ!」

 リンダを探して訪れた宿屋では、旅の神父が部屋の前に立ちはだかり、周囲に睨みを利かせていた。

「……誰かいるって宣伝してるようなもんじゃねえか」
「……神父様だから。嘘はお下手なんだろう。逃げ出した娘が堂々と宿にいるとは思わないだろうし、悪くは無いね」
「よし。おっと!ごめんよ!」
「な、何をする!」

 マーニャは通りすがりによろけた風を装って神父に肩をぶつけ、押し返そうとした神父を身軽に避けると、すり抜けるように部屋に入った。

「甘い甘い。ちょいと、ごめんよー」
「なっ!ま、待たぬか!」

 中に入って行くマーニャを追って、神父も部屋に入って行く。

「兄さん……。なんて(がら)の悪い……。」 
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