DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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三章 トルネコおばさん
3-06お手紙をお届けに参りました
やっぱり狐は化かすんだわねえ、でももうしないっていうし、トーマスがいるから大丈夫でしょ。
「そうねえ。もうしないなら、いいんじゃないかしら。」
「よかった!逃がしてくれるお礼に、この鎧を差し上げましょう。」
鋼の鎧を受け取る。
「まああ。この辺じゃ見ない、お高い鎧ね。あたしもお金が要るのよ、ありがたく頂くわね。」
「こんこん、では、さようなら。」
狐は去り、男ははっとして周囲を見回す。
トルネコに気付き、声をかけてくる。
「私はドン・ガアデと言いますが、これは一体どうしたんでしょう?ふと気付くと、村が無くなっていて……。」
「どうって、そうですわねえ。とりあえず、橋を直して頂けないかしら。」
狐が化かしたって、言うのと言わないのとどっちがいいかしらねえ。
と考えていると、ドン・ガアデは思い出したように叫んだ。
「そうだ!早くボンモールのお城に行かなくては!では、失礼!」
ドン・ガアデは瞬く間に駆け去る。
あらやだ、大変。あたしも急いでお手紙を届けなくっちゃ。
そんなに早くは直らないでしょうけれど、ことは戦争ですもの、念には念を入れないと。
とばかりに、犬を返す時間も惜しみ、トルネコもドン・ガアデを追いかける。
トルネコが着くころには、もう橋は直っており、ドン・ガアデの姿も無かった。
どんな魔法を使ったのかしら、ともかく急いできて良かったわ。
と、そのままエンドールに向かい、城下町に入る。
「エンドールなんて久しぶりだわねえ。色々見て回りたいけれど、まずは用事を済ませないとね。」
久しぶりすぎてキメラの翼も使えないほどであったが、これでまた飛んでくることができる。
気を引かれる街の様子は見ないようにして、トルネコは城へと急ぐ。
城に入り、謁見を願い出て、順番を待つ。
通された謁見の間には、国王と姫が並んでいた。
「遠路はるばる、わしへのご機嫌伺い、御苦労である!見たところ、旅の商人か。ここエンドールに、店を出す許しがほしいと申すか!」
そんなに旅の商人らしく見えるのかしら。あたしもまだまだ、捨てたものじゃないわねえ。
「それも、ゆくゆくは頂きたいのですけれど。今日のところは、お姫様にお手紙を預かって参りましたの。お姫様、よろしいですかしら。」
「まあ、どなたかしら。あら、これはボンモールの。……大変。お父様、お父様!」
「どうしたのじゃモニカ。そんなに慌てて。」
「……これを、読んでくださいませ。」
「うむ。……ふむ、ふむ。なんと!」
驚いておいでだわ。無理もないわよねえ。
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