DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-16世界の中心、エンドール
ブライが咳きこみながら言う。
「ううっ……。魔力酔いは、通常の酔いや、目を回すのとは、別物ですからな。こればかりは、なかなか、鍛えられぬものです」
「そういえば、ブライの。移動魔法の眩暈を、ひどくしたような。ブライも、結構、辛そうなのに。クリフトは、なんで。あんなに、元気なん、だ。」
「う、生まれつき。耐性が高いのでしょう、な。」
生まれつきか。
理不尽だが仕方ない。
アリーナの魔力酔いがひどく、日も暮れてきたため、祠の側にある宿で休むことにする。
宿の受付には先客がいた。
桃色の鎧を身に付けた女戦士には隙が無く、かなりの手練れであることが見て取れる。
声をかける前に女戦士は振り向き、微笑む。
「どうぞ。私は終わりましたから」
「あ。ありがとう、ございます!」
クリフトが赤くなる。
立ち去ろうとする女戦士を、呼び止める。
「待ってくれ。俺はサントハイムの王子、アリーナ。武術大会に出るため、この国に来た。名のある方と見受けるが、名を伺えないか」
「王子殿下でしたか。私はバトランドの戦士、ライアン。勇者を探して、旅をしております」
「勇者?」
ライアンはアリーナをじっと見つめる。
「……失礼。埒も無いことを申しました。連れを待たせておりますので、これにて」
「……ああ。呼び止めて、すまなかった」
ライアンは今度こそ立ち去った。
「なかなかの麗人でありましたの。眼福とは、このことですかな」
「美しい方でしたね。それにお強そうで……アリーナ様はやはり、あのような方が……」
「武術大会には出ないのだな。体調が良ければ、手合わせ願いたいところだが。目的あっての旅のようだ。邪魔はできないな」
翌朝、宿を発ち、祠からさらに南東にあるエンドール城を目指す。
魔物はさらに強さを増しているが問題無く蹴散らし、エンドール城下町に入る。
「よし、武術大会に行くぞ!」
「待ちなされ。他国の城下へ来たのです。まずは王族として、国王陛下にご挨拶せねば。旅の汚れを落とさねばなりませんし、今日のところは宿を取り、明日、王宮へ向かいますぞ」
「それなら今日のうちに、武術大会の情報を集めましょう」
どうせ食べ歩きと観光もするのだろうが、正論だ。
ここまで来て焦っても仕方ない。
その日は城下町を見て回り、手頃な価格のエンドール料理を食べ歩く。
エンドール名物のカジノは、三人とも賭け事に興味が無いため、覗くに留める。
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