ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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GGO編ーファントム・バレット編ー
49.波乱の予選
前書き
第49話投稿!!
ついに始まるバレット・オブ・バレッツ予選!!
転送された先は、暗闇の中に浮かぶパネルの上。
上部には【Siu VS 霊山】と表示されその下には、【準備時間:残り58秒 フィールド:荒れた街】とウインドウ。
残り時間表示がゼロとなり、俺の体は再びどこかへと転送された。
目の前に広がる風景は、窓ガラスが割れ、所々にヒビのはいった今にも壊れそうなビル、地面には崩れたビルや家屋の瓦礫、空はくすんだ色。俺がBFOでレイナと会った場所に少し似ていた。
とりあえず、暗剣《シンゲツ》を右手にファイブセブンを左手に持ち相手のレイザン?リョウザン?なんて読むかわからないがまぁ、レイザンと俺は呼ぼう。
レイザンを探しにあたりを見渡すと右に見えるビルの二階から殺気を感じる。その予想は、的中に十数発の弾丸がこちらめがけて飛んでくる。
「うわぁ!!」
地面を蹴飛ばし、後方へと跳び回避する。だが、十数発の銃弾をかわせるわけもなく飛んできた銃弾の一部にあたりHPの一割を削られる。
「くっ!あいつ!!」
俺は、銃弾が飛んできたビルへと侵入。二階へと駆け上がり銃弾が飛んできたであろう部屋に勢いよく侵入。
部屋に入った瞬間、無数の赤いラインが俺の体に伸びてくる。
「嘘だろ!!」
正面に見える迷彩服を着たアサルトライフルを肩のあたりに構えるプレイヤーが俺をとらえている。
このままいけば俺のHPは全部もってかれる。
(こうなったら.......一か八かだ)
右手で持つ筒のスイッチを押し、漆黒の光が出現する。
「いっ.....け!!」
掛け声とともに俺はレイザンに向かい駆ける。
敵との距離は、二十メートルくらい。ちょうどあの弾避けゲームのガンマンと同じ距離だ。
十数発の銃弾が俺めがけて飛んでくる。
(距離は一緒だ。ただ、弾数が増えただけだ)
ガンマンの時のように一番最初に飛んでくる弾にのみ意識を集中すると、あの時のように銃弾がスローモーションに見える。
(これならいける!!)
右手で持つ暗剣を今一度強く握りしめ、スローモーションに飛んでくる銃弾を弾き落とす。次に飛んでくる弾に意識を集中し、その銃弾を暗剣を振り下ろし叩き落す。連続でそれを行い飛んでくるすべての銃弾を弾き落とす。
「う......そだろっ!!」
レイザンは、再びアサルトライフルを構えるが、もう遅い!
暗剣《シンゲツ》のもう一つのスイッチを押し、持ち手を槍と同じような長さにまで伸ばし、肩に担ぎ上げレイザンに向かって暗剣を投げる。
槍投撃技《レイヴァテイン》
暗剣がレイザンの体を貫く。そしてトドメのファイブセブンでのヘッドショット。
敵の体から魂がなくなったように膝から崩れ落ちる。
床に落ちる暗剣を拾い上げ二つのスイッチを押し、初期の筒状の状態に戻し、腰に戻す。
こんなしんどい戦いがあと四回.........
肩を落とすと俺の体を転送エフェクトが包み込み、いつのまにか待機エリアへと戻っていた。
待機エリアに戻り、シノンとキリトがいないかフラフラと歩きながら天井のマルチモニタを確認する。モニターには幾つもの戦闘シーンが映し出されており、その中からキリトやシノンを見つけようとするが見つからない。
「あいつらどこに行ったんだよ......」
さらにあたりをキョロキョロ見渡すと少し遠くにキリトの姿が見え、名を呼ぼうとしたがキリトは誰かと話している。
全身、ボロボロに千切れかかったダークグレーのマント。フードまでかぶり、顔は暗く見えないが鉄のような輝きが少しちらつく。
「あいつ!?」
人混みをくぐり抜け、キリトとマントのプレイヤーの元へと駆ける。
(あの姿.......さっきの!?)
と、次の瞬間、俺を青白い光が包み込み別のエリアへと転送させられる。
試合を終え、再びキリトとあのマントのプレイヤーを探すがどこにも見当たらない。
「くっそ......」
(あの気配......あの感覚.....)
俺は違和感を覚えながらも、あのSAO内で最悪のギルド............殺人(レッド)ギルド、《ラフィン・コフィン》。
《PoH》がゲーム開始から一年が経過した、二〇二三年の大晦日の夜.......殺人ギルド、《ラフィン・コフィン》は結成された。だが、《ラフィン・コフィン》は結成されて、八ヶ月後、とある夏の日の夜に消滅した。
攻略組、五十人規模の討伐部隊によって壊滅させられた。その戦いは血みどろの地獄となった。
戦闘が終了した時には、討伐部隊からは十一名。ラフィン・コフィンからは、二十一名のプレイヤーが消滅していた。
その中にPoHの姿はなかった。
(やはり、さっきのやつって.......)
これで最後の青白い光だ。
Cブロック最後の戦い。
ここまで来た時点で、俺は本戦のバトルロワイヤルには出場が決定している。
だが、手を抜く気はさらさらない。
目の前に広がる荒れた地形の荒野。建物がない、ただ広い何もない荒野の中、俺と四十メートル先くらいに見える人影しかいない。
砂煙のせいで相手の姿は、よくは確認できないがマントをかぶっていることは確認できる。
相手に先に動かれると厄介だな。腰にぶら下がる、暗剣を握りしめ、一直線に姿が見えない敵に向かい駆ける。
駆けるとほぼ同時に俺の体を貫く赤いライン。それも的確に頭、心臓を狙う二本のラインが。
「くっ....!?」
(これは避けられない......それなら!!)
暗剣の二つのボタンの下のボタンを押し、暗剣《シンゲツ》を片手剣の長さから片手用槍の長さへと伸ばす。槍の中心あたりを両手で持ち高速で回転させ、飛んでくる銃弾を弾き飛ばす。
槍防御技《オーディフェンド》
槍を再び片手剣の状態に戻し、残り約二十五メートルまで距離を詰める。まだ、砂煙のせいでシルエットしか見えない。
どうやら相手は動かずまだその場で構えているようだ。
(なぜ奴は逃げることもしなければ、武器を構えようともしないんだ?)
さらに俺は距離を詰め、相手に近づく。
二十、十五、十..........
相手がシルエットから実体へと姿が変わっていく。
全身を覆う濃い灰色のフードマントを身に纏い、両手で大型のライフルを持っている。そしてその顔には鉄のような仮面をかぶっており、目は赤く光る。
だが、このプレイヤー両手に持つ大型のライフルの銃口が本来ならこちらを向いているはずなのにその銃口は俺ではなく下を向いている。
(こいつ戦う気があるのか!?)
「ふざけんなよ、テメェ!!」
暗剣《シンゲツ》を肩に担ぎ上げ、そのまま相手との八メートルくらいの距離を駆け、一気に距離を詰め前へと刀身を突き出し突進。
片手剣突進技《レイジスパイク》
暗剣は、マントのプレイヤーの体に突き刺さる。その時、耳元で低く乾いた、金属質な響きの声が響く。
「貴様もいるとは......好都合だ」
「お前は.......!?」
この距離に来てやっとわかった。
こいつが何者なのかを.......
「まだ終わってない、何も終わっていない。......イッツ・ショウ・タイム」
するとマントの男が光の結晶となり姿を消す。
その言葉で俺は確信した。
..........こいつの正体が。
「.........死銃」
試合時間、五分四十六秒。
第三回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメントCブロック決勝戦、終了。
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