DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-12異国情緒漂う買物ツアー
「ごめんね。あたしほんとは王子様どころか、男でもないの。あたしの名前はメイ。ただの旅芸人よ。王子様の振りをしたら、みんな信じ込んじゃったから、引っ込みがつかなくなっただけ。」
男装して気付かれないとは、思わないよなあ。
女装も気付かれなかったが、あれは相手が魔物だったしな。
「重罪らしいから、冗談でもやめておいたほうが良いぞ」
「そうね、馬鹿だったわ。さあ、お迎えも来たようだし、あたしそろそろ行くわ。お礼と言ってはなんだけど、この盗賊の鍵をあなたにあげる。……あーあ、こんな出会いじゃなかったらな……。じゃあね、本物の王子様!」
偽王子メイは、神官風だった男と、老人の元へ向かい走り出し、共に姿を消した。
「撃たなくて良かったのか」
「おなごを後ろから撃つほど、非情ではありませんわい。まあ、今回だけは見逃してやっても良いでしょう」
「アリーナ様になりすまし、助けられ抱きとめられたうえ、女性とは……撃っておしまいになれば良かったのに……いっそ、死の呪文を覚えれば、この手で……」
クリフトが怖い。
「若いもんはええのう」
良くないだろこれは。
「さて、次の目的地ですが。南西の砂漠では、折り良くバザーを開催中であるとか。珍しい異国の品を扱う露店に、滅多に味わえぬ異国の料理を出す店もあるそうで」
「旅に役立つ、掘り出し物があるかもしれませんね」
ここまで来たら、エンドールに向かう南東の祠のほうが近いのではないかと思うのだが。
女性の買い物は、邪魔してはいけないものと聞く。
「砂漠の魔物も、楽しみだ」
長い買い物のことは、考えないことにしよう。
「砂漠で戦うのは良い鍛錬になるな!」
砂地での戦いは、砂に足を取られ、固い地面でのようにはいかない。
普段とは違う動きを強いられるのに身体の反応を合わせ、魔物の動きと噛み合わせて身をかわし、攻撃を入れる。
「照り返しが強いですね。日焼け止めを買っておいて正解でした」
「さすがに堪えるのう。魔法でも使わねばやっておれんわい」
動きにくい砂漠で効率良く身を守るため、ブライとクリフトは攻撃や幻惑、睡眠の魔法を使って敵をあしらい、時に倒しながらついてくる。
砂漠のバザーに着く。
ブライとクリフトは、これは珍しいが必要ない、これは長く使えそうな良いものだ、などと言い合い、楽しくも厳しく品物を見定め、アリーナに合う装備品なども見繕いながら、露店を次々に見て回る。
アリーナは達観、或いは諦観したように、ふたりの後をついて回る。
ひと通り回り終え、異国の料理を出す天幕で一息つき、出てきた一行に駆け寄る者がある。
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