DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-06人もどき
まずは、数を減らす。
籠の覆いを払い除け、暴れ狛犬の一体に走り寄る。
反応される前に顔面に突きを入れ、怯んだところを追撃して、倒す。
もう一体の犬が跳びかかって来る。
身を低くして腹の下に潜り込み、回し蹴りで吹き飛ばす。
吹き飛んだところに追いすがり、止めを刺す。
呆気に取られたように動きを止めていた強い気配の主、錫杖を持ち、祭服のようなものに帽子をかぶった人もどきが、我に返って口を開く。
「な、なんと乱暴な娘だ!こんなことをして、村がどうなると」
一気に距離を詰め、腹に拳を叩き込む。
浮き上がったところに膝を入れ、そのまま蹴りで吹き飛ばす。
吹き飛んだ人もどきが、よろよろと立ちあがる。
さすがに、かたい。
「ルカニ!」
「スカラ!」
祭壇に向かってくるブライとクリフトが、走りながら補助の魔法を飛ばす。
人もどきは魔力に包まれて守りを弱め、アリーナは魔力の鎧に守られる。
ブライとクリフトが祭壇に駆け上がり、アリーナの後ろにつく。
「王子!時間を稼げと申したでしょうに!なぜもう、魔物が二体も倒れておるのです!」
「悪い。急に襲ってきて、仕方なかった」
「どの口でそのような」
「早く倒したほうが安全だったんだよ」
クリフトはせっせとスカラを唱え、ブライとクリフトの守りも固める。
人もどきが叫ぶ。
「おのれ、人間ごときが!かくなる上は、貴様らを食い尽した後、村を滅ぼして」
「まあ良いでしょう。さっさと終わらせますぞ」
「よし。倒すぞ」
ブライが氷の礫を飛ばし、辛うじて避けた人もどきに、アリーナが連撃を叩き込む。
闇雲に振り回される錫杖がアリーナを掠めるが、魔力の鎧が通さない。
アリーナの攻撃の合間を埋めるようにブライはヒャドを唱え、クリフトは後衛を狙って振るわれる錫杖を打ち払う。
間断無く加えられる攻撃に、ひとたまりも無く、人もどきは倒れた。
「なかなか手応えのある相手だったな」
「アリーナ様、お見事です!お怪我はありませんか」
言いながら返事も待たず、クリフトはアリーナを回復する。
「しかし、このようなところになぜ、魔族が……。考えてもわからぬことは、仕方ありませんな。長居は無用です。村に戻りましょうぞ」
一行を迎えた村人たちは、解放されたことを、仇が討たれたことを喜び、帰らぬ娘たちの無念に涙しながら、三人に繰り返し礼を言い、喜びあった。
村の蓄えを惜しみなく使い、一行への感謝と祝いの宴が始まった。
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