ヘタリア大帝国
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TURN62 太平洋経済圏その六
「国家とその代表としてな」
「はい、ただ」
「雨か」
「そういえばここにいても雨が降らないです」
フェムは何処にいても雨が自然に降ってしまう、部屋の中でもそうでありそのことで人に迷惑をかけているというコンプレックスもある。
だが今は降ってはいない、そのことを言うのだった。
「どうしてでしょうか」
「結界か」
「この御所の結界ですか」
「そのせいで雨が降らないのだ」
ベトナムはこうフェムに話す。
「日本の御所はまた特別な場所だ」
「帝という方が結界を敷かれているのでしょうか」
「いや、御所自体に結界がある」
「この御所自体に」
「多くの陰陽師が長い間結界を張っていってきている」
「それで私の雨も」
「蛙は正門のところにいる」
実はフェムの雨には原因がある。彼女の守護者である蛙の土地神が共にいるからそれで降るのだ。蛙は雨を欲するものだからだ。
「そこで御前を待っている」
「そうですか」
「その通りだ。あの蛙が入られないところを見ると」
「この御所の結界は相当なものですね」
「蛙は決して邪悪な存在ではないがな」
「雨を降らして水浸しにするからですね」
「御所に入ることは断られている」
フェムと共にそうすることをだというのだ。
「蛙にとっては残念なことだがな」
「そうですか」
「今は待ってもらおう。とにかくだ」
「はい、今からですね」
「太平洋の、私達の新しい時代がはじまる」
ベトナムは前を見ながらフェムに話す。
「いよいよな」
「そうですね。独立できて」
「太平洋経済圏、名前は確か」
ベトナムはその組織の名前も言った。
「太平洋共同体だ」
「共同体ですか」
「アジアだけでなく北米も加わった巨大な経済圏だ」
それが太平洋共同体だというのだ。
「これまで欧州に圧倒されていたが」
「独立も出来て」
「その中で生きられる、有り難いことにだ」
「その時代が今からはじまるんですね」
「そうなる」
彼女達もこうした話をしていた。御所の帝の前の畳の部屋の前に各国とその代表達が集まっていた。そこにはアメリカと中国もいた。
二人はそれぞれ妹達も代表達も連れて来ている。そのうえで今はお互いに向かい合って話をしていた。
まずは中国が少し溜息を出しそうな顔でアメリカに言った。
「経済圏を作る目的は同じだったあるがな」
「その通りだ、僕達がリーダーになるつもりだった」
「それがある」
「僕達はリーダーじゃないんだな」
「リーダーは日本ある」
戦いに勝ったからこのことは当然のことだ。
「僕達はナンバーツー、ナンバースリーある」
「そうなるな」
「残念なことにある」
「しかし領土も皆も返してもらったからな」
「賠償金も要求されなかったある」
「じゃあ満足すべきなのか」
「そういうことあるな」
二人は微妙な感じでそうした話をしていた。そして。
ダグラスも微妙な顔になりリンファ、ランファと話をしていた。帝はまだ来ておらずこうした話はまだできた。
「あんた達がこれからの中帝国を動かしていくんだな」
「はい、私が首相です」
「あたしが副首相よ」
リンファが首座だというのだ。
「ただ。残念ですが共有主義の政党は」
「まあそれは仕方ないな」
ソビエトは今や太平洋諸国にとって何時戦闘状態になってもおかしくない敵だ、こう認識されている相手なのだ。
「しかし君は共有主義は」
「まだ信じてはいます」
リンファは辛そうな顔でダグラスに答えた。
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