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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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一章 王宮の女戦士
  1-18ごめん

「ライアンさんが苦しそうで、死んじゃうと思ったの」
「死なないよ」

「死んじゃうと、思ったの」
「そうだな」

「ライアンさんのところに、行きたかった」
「うん」

「行って、治したかった」
「うん」

「来るなって、言われた」
「うん」

「悲しかった」
「そうだな」

「ライアンさんが苦しそうで死んじゃうのに、ぼくは治しに行ったら駄目で。ライアンさんは死んだら駄目なのに、ぼくは治しに行ったら駄目で。」
「ごめんな、ホイミン」

「ライアンさんは、悪くないよ。悪いヤツらを、倒したよ。」
「きちんと説明しなくて、心配させて。混乱させて、悪かった」


 おおめだまは、瀕死になると、威力の高い痛恨の一撃を連続して()り出してくる、危険な魔物である。

 ライアンは、おおめだまの痛恨の一撃に、少なくとも二度は耐えられると見ていた。
 一度はかわし、受けた一撃の感触に、さらにあと二度は耐えられると判断し、確実に倒せる瞬間を狙って斬った。
 無駄に攻撃を受けるつもりは無かったが、万一受けても死なない状況ゆえの行動だった。

 対してホイミンは、痛恨の一撃には一度も耐えられない。

 ライアンは自分の限界を知っていたが、ホイミンは知らなかった。
 おおめだまの危険性も、知らなかった。

 ホイミンはこれまで、ライアンの指示に落ち着いて対応していただけに、ここまで取り乱すのも予想外だった。
 敵の目の前で作戦会議などできないにしても、予想できていれば、もう少しやりようはあった。
 それも、今になったから思うことではある。

 なにしろふたりは、今日出逢ったばかりなのだ。


「やっぱり、ライアンさんはすごいや!ぼく知ってるから、もう知ってるから!次はちゃんと、我慢できるよ!ちゃんと終わってから、ライアンさんを治してあげるっ」

 すっかり元気を取り戻し、浮き上がるホイミン。

「ああ、頼む」

 ライアンは微笑んで見守りつつ、浮力は魔力では無いのだな、体質であろうか、ならば沈むのはなぜだろう、などと思っている。

 元気になったホイミンを見て、子供たちがおずおずと近寄って来る。
 檻の魔力の錠は、解けていた。

「ライアンおねえちゃん、ホイミンくん」

 ホイミンはそれどころでは無かったが、ライアンは忘れていたわけでは無い。
 怖い場所から早く帰りたかろうに、泣きじゃくるホイミンを後ろめたそうに見つめ、耐えて待つ姿を、見ていた。
 ホイミンを泣かせたのはライアンであるから、悪いような気はする。
 しかし、彼らには良い薬になろう。

「ごめんなさい!」

 ホイミンは驚き戸惑っている。 
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